誓い
外は快晴だった。
朝7時とは思えない明るさだ。
なんかちょっと変な気分、遅刻して昼ごろ出勤しているのではないかという錯覚に襲われた。
もちろん、そんな訳ない。
俺は遅刻をしないよう、常に早めにアパートを出るようにしている。
一度遅刻をして以来、そうゆうルールを自分に課したのだ。
嫌な夢を見た性で、気持ちは天気に反して晴れていない。
会社への道のりは、今日は長く感じた。
電車の窓から見える景色、すれ違う人の表情、駅の自動改札機、なぜか違和感を感じる。
何も変わっていない筈なのに。
あぁそうか、俺の気持ちが変わったんだ。
内海さんに対する罪悪感が、自分の世界を歪めているんだ。
あれこれ考えている内に会社に着いた。
内海さんの席を確認した。
「はぁー」俺は思わず溜め息を吐いた。
そこに、普段通り内海さんが座っていたからだ。
俺は内海さんに声を掛けた。
「内海さん」
内海さんは、席に座ったまま、直ぐ傍で立っている俺を無感情な目で見た。
「なに?」
「昨日はごめん」
長い沈黙が訪れた。
そして内海さんの口が開く。
「気にしてないから、いーよ」寂しげな笑顔で内海さんは言った。
内海さんに、こんな顔をさせてしまったのは俺なんだ。
俺は誓った。
もう二度と内海さんにこんな顔をさせまいと。