第1話「俺が一番、セクシー」
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S県在住の名塚翔助は、どこにでもいる不良少年。
昔のマ○ジンに多い典型的なツッパリだ。
喧嘩はするわ、タバコは吸うわ、盗んだバイクに乗るわ、ガラスは割るわ、ハードラックとダンスはするわ、わざわざ湘南へ行くわ、髪型は今時は流行らないリーゼントにしてたりと、不良街道真っ盛り。
しかし、そんな彼の不良街道に終焉が来たのは進路相談にて…。
………………
放課後の教室にて、担任の教師と、机同士向かい合って進路相談をやっていた。
成績と登校日数の少ない翔助本人は、希望の就職先はなく、ただ適当な仕事に就ければいいと思っている。
そして、担任の体育系教師が静かに進路について語りはじめた。
「貴様、こんなんで就職出来ると思ってんのか?」
教師は、呆れ気味で言う。
「適当な求人あっとこで、夜露死苦…」
明らかな私語を、翔助は言った。
「お前はな、出席日数、成績は足らない!しかも、童貞だ!!例えようがないほどのダメーンマンだ!!例えると、低脂肪製品の食べ過ぎ並に駄目だわ!!!」
そう言われ、翔助は担任の胸ぐらを乱暴に掴んだ。
「うるせぇええーー!!!童貞が、てめーに迷惑かけたかボケ!!童貞が、てめーのハートに傷つけたか!?コラ!!?」
翔助は、キレた。
机を投げたり、椅子を投げたり、何故か、教室にあったロードローラーを投げたりした。
教室は、メチャクチャだ。
まさに、ガラスの心を持つ少年だった。
このことがキッカケで、彼は卒業を前にして退学。
そして、ここから彼の奇妙な冒険が始まった。
ちなみに、担任の教師も童貞だ。
………………
学校から飛び出した翔助は、町中を歩いていた。
さすがの彼も、退学には参った。
「あー、さすがに退学はマズイな。家からは出されるし、金はないし、泊まるとこはなんとかするとして、問題は金だよな。金を稼がないと。とりあえず、アルバイト探さないといけないかなー」
町中を歩きながら、不自然な独り言を彼は言う。
すると、ふと見上げた電柱に貼り紙があることに彼は気付く。
その貼り紙に書かれた文を読んでみた。
『アルバイト募集中!君の若さと情熱を無駄遣いしてみないかい!時給千円より。誰でもいいから、募集中!』
うほ…、いいバイトの広告…。
翔助は、そう思った。
なんという都合の良い展開だろうか。
迷わず、彼は貼り紙に書かれた住所の元へ駆け出す。
徒歩で。
………………
翔助は、そのバイト先に到着した。
かなりボロボロの2階建てのビル。
そこに、『なんでもやります! ヨウロピア』と書かれた看板があった。
ビルの前に立ち、翔助は息を呑む。
果たして、仕事内容も解らないバイトの面接に彼は受かるのか!?
翔助は迷わず、ビルの中へと入って行った。
すると…。
(裏切りと愛の末に待ち受ける感動ラストシーンが含まれますので、カットさせて頂きます)
「合格だ」
額から血を流しながら、悪っぽい容姿をした、いい男の店長は言う。
机、椅子すらない個室の面接会場は、翔助、店長の阿部義和の血を浴びて真っ赤に染め上げられた。
こうして、翔助は、腱鞘炎になりながらも合格。
翔助と激しい戦いを繰り広げた店長は、血まみれになりながら仕事の内容を説明し始める。
「いいか、ホイホイ、バイトして…。この店は、お客様から電話で頼まれた仕事を、殺人以外で何でも実行する『なんでも屋』だ。全国で、20店舗」
「微妙に店舗多いな…」
翔助のアルバイト先、『ヨウロピア』は、なんでも屋だった。
お客様から来た、いろんな頼み事を電話で受付け、実行し収入を得る。
「このお店に、店員が私しか居なくなったので、ちょうどいい時に君は来たよ」
そう店長は、血まみれの笑みで言う。
よく20店舗も広げられたな、と翔助は思った。
「よし、男は度胸ってモンだ。まず、服を脱ごうか…」
店長は、脈絡もないことを言い出した。
思わず、翔助は殴った。
返り血が、彼の顔を染め上げる。
………………
というわけで、テレビと電話だけある個室の椅子に翔助は座り、依頼の電話が来るのを待つこととなった。
翔助は、暇つぶしにTVを眺めていた。
正直、仕事内容をよく理解してない。
店長はホモだし、普通のバイトではない。
しかし、黙って電話来るのを待つだけで、自給千円は良すぎて反吐が出る。
「これなら、一ヶ月で新しい単車が買えるぜ」
そう、翔助は思った。
だが…。
ジリリリリーー!!
早速、机の上の電話が来てしまった。
楽なバイトだと思った矢先にだ。
「はいよ、もしもしー」
仕方なく、翔助は電話に出た。
「助けてください!!」
受話器から女性の声が響いた。
その声は、あまり悲痛な声だ。
翔助は、受話器を片手に驚く。
「どうした!!」
「お願いします!!助けてください!!!息子が…!!」
女性は、とても必死な様子だ。
「落ち着け!子供が、誰かに襲われてるのか!!」
翔助が、そう聞き返すと…。
「息子が、銀行強盗しにきた宇宙からの侵略者に人質にされてるんです!!!」
ガチャッ…。
受話器を翔助は置いた。
どう考えも、いたずら電話にしか聞こえない。
「なんだよ、このイタ電…。今時、宇宙人なんか居るかよ…」
そう言いつつ、ふとTVに目が行くと…。
「大変です!!たった今、謎の安月給宇宙人こと『ヤスギュー星人』が、0083銀行に子供を人質に立て篭もっています!!!!」
そう必死に、TVのリポーターが訴えていた。
生放送で。
翔助の目が、点になった。
電話の内容は、本当だったのだ。
「ヤスギュー星人の要求は、15万だそうです!!このままでは、人質の無事は保障されません!!!」
更に、TVリポーターが言う。
「保障されるよ!!15万くらい渡せ!!!上京して金使いすぎた奴が、親から借りるレベルの金額だろ!!」
思わず、翔助はTVにツッコむ。
しかし、頭より体で考える彼は、部屋から走り出す。
いつも思うことがあった。
『なんで、大人になると、誰かが傷ついても無視してしまうんだろう』
不良だが、彼はそう考えた時期がある。
宇宙人に捕らえられている子供は、知らない子だが助けなければならない。
そう彼は、感じた。
だから、銀行へと向かう。
ビルの前に停めていた愛車のバイク、ゼファー400に翔助は乗り、彼は銀行へと向かう。
バイクはビルから飛び出し、道路へと。
徐々に、バイクのスピードは速くなる。
「早く行かないと…!」
アクセルを握る力が、より強くなる。
道路の景色を飛ばし、ようやく銀行を目の前にして大きなカーブが見えた。
その時、彼は気づいた。
(ブレーキが効かない!!)
ブレーキを握っても、バイクは減速しない。
思わず、前輪を見てみると、翔助は驚いた。
バイクのブレーキホースが、切れている…。
ホースから、オイルが垂れる。
これでは、バイクが減速出来ない。
更には、曲がり切れない…。
彼がそう思った瞬間…。
目の前に、カーブ壁が目の前に迫った。
だが、減速出来ずにハンドルも上手く切れない。
そして…。
ドガッ!!
翔助とバイクは曲がり切れず、カーブ壁に激突。
衝撃で、バイクは粉々。
部品がバラバラと、飛び散る。
激突の衝撃で、バイクから離れた翔助の体が宙を舞う。
宙に舞いながら、翔助は思った。
(まさか、一話でもう死ぬの…)
彼は、宙に舞いながら死を覚悟した。
だが、このあと、彼に驚愕事態が起きる。
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