第二話:最後の夜〜もっとこのときが続いてほしいと願う僕〜
もう少し続きます・・・・
僕はあいとしばらくコーヒーを飲んでいた。あいは今日あった出来事とか楽しそうに話して、僕がそれに相槌をうった。コーヒーがなくなるとあいはまたキッチンに立って、お湯を沸かした。
僕は『庭で飲まない?』と誘うと、あいは『おぉ!』と言って笑って頷いた。
僕はマグカップを2個手に持って、脇でテーブルクロスをはさみサンダルを履いて庭に出た。
外はやらひ寒く風呂あがりの僕は手のひらを口に近付けて息を吐いた。手がそれに呼応するように温かみを帯びていった。僕はあいに上着を頼んで、コーヒーが出来るのを待っていた。視線を上に傾けると、星が今という時を越えた過去の光を宇宙の風に乗せて伝えていた。僕は宇宙にも人にも過去と今と未来を結ぶものがあると思った。
ちょっとするとあいがコーヒーを持ってきた。
あいは白い息を吐いて身震いをして、コートを羽織り椅子に座った。僕はコーヒーをあいのマグカップに注いで次に僕のマグカップに注いだ。あいにコーヒーを渡すとあいは喜んで受け取り口に運んだ。僕もコーヒーを口に運び、『やっぱりおいしいね』といった。あいは相変わらず簡単に照れた。相変わらず面白かった。
なぜ、外で飲むコーヒーがこんなにもおいしくなるのか、僕にはいまいちにわからなかった。特に今の季節はそうだ。あいは『寒いときにラーメンを食べるのと同じじゃない?』と言って笑うが、なんだか違うような合っているような気がした。
ふと、そんな疑問を抱いた自分がどんなにも幸せな存在かと考えた。くだらないことに頭を使えるなんて、深く幸せな存在かと考えた。
あいは僕の顏を覗きこみ『何考えてるの?』と言ったので、『あいのコーヒーの作り方かな』と笑って言った。あいは『作り方ちょっとコツあるんだ。教えてあげよっか?』言ったが、断った。『多分、僕じゃおいしくならないよ』驚くほどすんなり出た言葉だった。
僕とあいはしばらくそのあともコーヒーを飲んでいたが瞬間、眠気がいきなり襲ってきた。半分閉じためであいを見るとあいも眠いらしく目をぱちぱちさせていた。僕はあいに『もう寝る?』と尋ねるとあいは『う〜ん……』と言った。というよりは唸った。僕はあいを起こそうとした瞬間、異常な眠気に襲われてその場に寝てしまった………
次、僕が目を覚ました時には世界の法則は大きく乱れ、そして終わりへ………