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4  Verrat Tränen  tear 

きおるです

おこしいただき、光栄です。

4話目となりました。


どうぞごゆっくりしていってください。


 しばらく、トラネルの涙は止まることがなかった。少女もピクリとも動くことなく、トラネルの前にしゃがんでいた。


「……ごめんなさい…………」

 

「えっ!…………」


 突然のトラネルの謝罪に少女は声を上げて驚いた。涙でボロボロとなった少女の顔の顔がきょとんとした。少女はやっと、当初の落ち着きを取り戻していた。


「何を謝るのですか?」


「こんなに、見ず知らずの方の前で泣いてしまってっ……心配かけてしまって……しかも、っ……質問にだってちゃんとっ……答えられてないし…………」


「いいんです。そんなこと、気になさらないでください。私が悪かったですから……」


 少女はトラネルの目をじっと見つめた。


 少女は再びふんわりと笑った。天使を思わせる笑顔に、女の子であるトラネルもどきりとした。


「やっぱり、あなたにはたくさんの感情がまだまだ、残っていますよ」


 落ち着いてきたトラネルの頬に再び涙が伝った。体全体が熱くなるのを感じた。手足の力が抜けた。


「だって、あなたからはたくさんの音が聞こえてきますもの」


「あなたも、人間ではないのですね……やはり……」


 ずっと、聞きたかったことなのに、その言葉はポロリと口から出てきた。


「ええ。……そして、わたしも、人間に戻りたいんです。」


 少女はふんわりと笑った。トラネルはうれしかった。自分と、同じ考えの人がいて喜びに満ちていた。


(あっやっぱり感情がある……)


 少女は目を閉じた。長いまつげが美しくカールしていた。少女は呼吸を少し整えるように、深呼吸をして、トラネルを見つめていった。


「フェラットです」


「えっ……」


 少女の笑顔は天使であった。


「名前です」


「あっ……私……トラネルです」


「宜しくお願いしますね。トラネルさん。これからも、奴隷と堕ちた後でも、また会いたいです。お話できて、うれしかったです。今、この時、私人間となれたような気がしました」


(この子は私の感情を引き起こす天才だ。また会いたいのは私の方……)


「また、会えますよね。フェラットさん」


「ええ。絶対」


 いつまで命があるかわからないトラネル達にとって、絶対なことなど本当は何一つない。それは二人ともわかっていたし、もう明日には死んでしまうかも知れなかった。


(こんな、鎖でつながれている身であっても、私は死ぬことが怖いんだな……)


 トラネルはそう心の中でつぶやいた。


 頭に激痛が走った。


(そうだった……私は死ねないんだった…………)


 



(生きることのほうが……よっぽど怖いや……)

お読みくださり

ありがとうございました(・ω・´)ゞ


ダークなお話となってしまっておりますが


今後ともよろしくお願いします。

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