3 wish fear fear
3話目となりました。
こんにちは(○^∀^○)きおるです。
どうぞ、ごゆっくりしていってくださいな。
『胸を突き刺されたような気分』とは、本当にこのようなことで、トラネルは身動きどころか呼吸すらできなかった。ただ、トラネルの体は痙攣しているかのように大きく震えていた。
「! ごめんなさい……」
少女は膝をついて、ガチャリと鎖をならしながら謝った。
「気にしないで」とトラネルは言ってあげたかった。
見るからに優しく繊細そうなこの場には不釣り合いな少女を困らせたくなかった。
彼女の癒される、明るい笑顔を守りたかった。
トラネルは震える体を鎖とともに腕で押さえて、ゆっくりと傾いていた体を起こした。呼吸がしずらかったために。そして、首にもある鎖のせいで頭がやたらと重たく感じていた。
「…………気にしないでください………………」
やっとの思いでその言葉をはっして、少女の顔を見たときには、少女の涙がコンクリートを濡らしていた。
「……そうですよね……思い出したくもなかったですよね。……それにわからないですもんね。誰が、どんなことをした人が……。どんなこと考えている人が…………罪人かだなんて」
少女の小さな体がガタガタと震えていた。声はほとんど息となっていた。
さっきまで、微笑んだりトラネル(他人)に話しかけたりと、あまりにこの場ににあわない子であったのに、少女は一瞬にしてここの場所にふさわしい姿となった。
トラネルはすぐ近くにある少女の肩にそっと、ゆっくり手をおいた。少女の方もトラネルの腕も震えていた。
(……大丈夫…………。私にはまだ感情がある)
「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」
少女は声にならない声で謝り続けた。
トラネルはゆっくりと声を出した。震える声だった。勇気を出したのに、声にはまったく力が入っていなかった。
「私こそ……ごめんなさいね。…………私だって……そのことがどうしても知りたかったんです……」
トラネルの目から涙があふれてきた。それはトラネルに感情があるということの確かな証明であった。止めようとしても止めようとしても、指の間から涙が流れ、涙は鎖をつたっていった。
少女はじっと、まるで祈っているかのようにトラネルを見つめていた。
「っ……それにっ……自分が罪人なんてっ…………絶対にっ信じたくなくて、っ…………でもっそれなのに今更、っ……人間に戻りたいっって……思っちゃうんです……」
トラネルは情けなく思った。見るからに年下な少女の前でこんなにも泣きじゃくってしまうことが。ただそれと同時に、こんなにも感情があふれ出ていることが、うれしかった。
「……私っ……人間に戻りたいんです…………。私っ自分がっ……どんどん化け物に近づいているように感じちゃうんです」
トラネルの涙は止まらなかった。
お読みくださり光栄です。
ありがとうございました。
これからもイノセンスを宜しくお願いします!!
また、読んでくださったら、うれしいです。