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048-2

 お祈りは最後のミュリエルの番になっていた。

 実家の村にいた頃も毎日のように聖堂で祈りを捧げていたというミュリエルらしく、手順も手慣れていてスムーズだった。


 人生の中で数えるほどしか、聖堂でお祈りしたことがなかったというフィルバートと比べると、天と地ほども違う。

 実際フィルバートが祈りを捧げようとすると、ここが違う、あそこが違うとミュリエルの指導がはいった。


「ったく、うるせえ奴だなあ、お前」


 ミュリエルに悪態をつくフィルバートに、エルシーから文句がきた。


「フィルバート先輩がいい加減な作法でお祈りしようとするから、ミュリエルが教えてくれているんじゃないですか。作法がなっていないと精霊様がお願いを聞いてくださらないんですよ」


(エルシーって大人しそうに見えて、意外とはっきり言いますね)


 シルヴィアがメリーローズに囁くと、意外な答えが返ってきた。


(そう? わたくしは最初からそう感じていたけど)


 これにはシルヴィアは驚かざるを得なかった。


 ミュリエルに連れられて生徒会室に来ていた――彼女の登場で、ゲームと違いヘザーがミュリエルの隣にいたことに気がついた――ということは覚えていたが、最初からそういう性格だと思わせるような印象があったとは思えなかった。


(あの、後学のために教えていただきたいのですが、エルシーは何を言って、お嬢様にそういう印象を与えたのでしょうか?)


 話が長くなりそうなので、メリーローズがシルヴィアの袖を引き、皆から少し離れた場所に来る。


「そうね、はっきりとは言えないのだけど、強いて言えばわたくしに対して『高貴なご身分にも関わらず、とても気さくで親切な方』って言ったときね」


「それの何が変なのでしょうか」


 メリーローズは一瞬、「うーん……」と迷いつつ言った。


「変っていうわけじゃないけど『高貴なご身分にも関わらず』『気さくで親切』っていうことは、言い換えれば『高貴な人は気さくじゃないし、親切じゃない』って言っているみたいじゃない?」


「…………なるほど」


「まあね、ちょっと穿ちすぎかな、とも思ったんだけど、あのときの印象に間違いはなかったみたい」


「へえ」


 シルヴィアは自分たち以外の、ここにいる少女たちを眺める。


 素直で従順だけど、言うときは言うミュリエル。

 一見大人しそうだけど、言うときは言うエルシー。

 何を考えているかわからないけど、やりたいようにやっているらしいヘザー。


 なかなか個性的な少女の集まりである。


 でも、「こういうのも、嫌いじゃない」そう思って口元が少しほころぶシルヴィアだった。

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