047 公爵令嬢、おしゃれ指南する
馬車に乗らずに徒歩で歩くには、さすがに十一人という数は多い。
道幅いっぱいにならないよう歩いているうちに、自然と二、三人ずつで縦列になっていた。
メリーローズはアルフレッドに他の攻略対象、つまりダーリン候補の誰かと並んで欲しいと思ったが、彼の方から自分の隣に並んできたので、追い払うわけにもいかずそのまま歩く。
一番前はミュリエルとフィルバート、その後ろがフェリクスとエルシー、ヘザーとアデレイドとアーネスト、その後ろにアルフレッドとメリーローズで、一番後ろはメルヴィンとシルヴィアの年長組が見守りながら歩く形だ。
メリーローズは、アルフレッドとダーリン候補のツーショットを楽しむ代わりに、挙動不審になったアルフレッドを愛でようと、更に突っ込みをいれることにする。
「アルフレッド様、『奇跡のバラ』って響きが素敵ですわね。どんなお花が咲くのかしら?」
「さ、さ、さあ。誰も見たことがないらしいよ」
「あら、『奇跡のバラ』のことを、ご存じだったんですの?」
「あ、ああ、えーっと、そう、話にはね、聞いていたよ」
「もし咲いたら、わたくしも見てみたいわあ」
「そ、そうだね。もし機会があああったらね」
(お嬢様、楽しそうだな)
後ろに付けているシルヴィアは、会話が丸聞こえなので、アルフレッドの動揺も手に取るようにわかる。
何も知らないメルヴィンは不思議そうだ。
「今日のアルフレッドはやけに噛んでいるね」
「ええ、どうしたのでしょうね」
適当に相槌を打ちつつ、前方の様子を観察した。
ヘザーとアデレイドが一緒にいるのは、まあわかる。
そこにアーネストが加わっているのが不思議な組合せだ。
よく見てみると、何やらアーネストがヘザーに突っかかっているようである。
「お前さあ、妙齢の貴族令嬢なんだよな、一応」
「はい、そうです」
「今日は外出だから、制服じゃなくて、私服なんだよな」
「はい、そうです」
「少しはおしゃれとか、しないのか? 何だその貧相な服装は」
「わたくしの勝手です」
「いや、身だしなみというものがあるだろう」
「ちゃんと洗濯はしていて清潔です。文句を言われる筋合いはありません」
ああ言えばこう言うといった感じで、ヘザーの方は取りつく島もない、といった様子だ。
「いや、その服装じゃ庶民に間違えられるだろう。貴族なら貴族らしい装いをするべきじゃないか?」
(うむ、確かに一理ある)
シルヴァイアはそのまま聞き耳をたてた。




