046 公爵令嬢の婚約者、慣れない嘘をつく
次の休日、メリーローズは生徒会のいつものメンバーと一緒に、王都の大聖堂にお参りに出発した。
この世界では、日本と同じく七曜の暦が採用されているが、曜日が少しだけ違っている。
月・火・水・風・金・土・日――木曜日ではなく風曜日となっているのは、「大精霊教」の四大元素が「火・土・風・水」となっているからか。
また、休日は日曜の一日だけで、土曜日は昼までか一日仕事のところも多い。
(ふむ、週休二日制が浸透していないということね)
メリーローズたちも、土曜日は昼まで授業が入っている。
そのため「お休みの日」と言えば、自然と「日曜日」を指した。
高等学院では、自宅から通う者あり、寮に入っている者ありなので、寮生活を送っている学生も、休日に関しては特に外出許可を取る必要はない。
とはいえ門限はあるので、それまでに必ず帰ってくる必要がある。
聖堂でお参りした後、遊びに行くだけの余裕が欲しくて、朝食後すぐに校門に集合して出掛けることになっていた。
寮生活組は、メリーローズ、シルヴィア、アデレイド、ミュリエル、ヘザー、エルシー、アーネスト、フィルバートで、自宅から通っているのはアルフレッド、フェリクス、メルヴィンの三人だけである。
メルヴィンはいつも通り馬で学院まで来て、馬駐につないだ。
学院に通う学生のほとんどが貴族ということもあり、そうしておけば世話係が来て、何も頼まなくても水や餌を与えておいてくれるのだ。
アルフレッドとフェリクスは馬車でやってきた。
毎日の登下校も馬車を使っており、ランズダウン邸と違って王宮から学院までは近いので、お尻の痛みに悩まされることはない。
むしろ歩いた方が近いくらいなのだが、それでも馬車を使うのは、安全上の配慮からであった。
寮から校門に向かう間に、アデレイドはすでに絶好調だ。
「楽しみですねえ! お参り! お参り!」
「アデレイド、今日はミュリエルさんがお役目を果たせるよう、大精霊様にお祈りを捧げに行くのですよ。ピクニックに行くわけでは、ありませんからね」
「はあい」
ミュリエルはアデレイドの様子に「いいんですよ」とクスクス笑う。
「お参りにはそんなに構えずに、気軽に行く方がいいと思うんです。私は故郷の町の聖堂に、何かあればすぐお参りに行っていました」
「その熱心さが、奇跡を起こすようになったのかも知れないわね」
エルシーがうんうんと首を振りながら言った。
集合場所に近づくと、すでにアルフレッド、フェリクス、そしてメルヴィンも来ていて、手を振っているのが見える。
「まあ、いけない。王子殿下方をお待たせしてしまいました!」
ミュリエルが慌てたが、アルフレッドがそれを制した。
「いいんだよ。僕らも楽しみで早く到着してしまったんだ」




