表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/178

044 公爵令嬢のライバル令嬢、階段から落ちる

 さて、クローディア・パクストン伯爵令嬢の階段落下事件である。


 メリーローズたちは一方的に「一件落着」としてしまったが、当人には何が原因で誰が起こしたものなのか、何一つ伝わっていない。

 わからないまま、誰もいないはずなのに、後ろから背中を押されて階段を転げ落ち、怪我をしたクローディアにとっては、気味が悪いことこの上ない。


 おまけに「確かに、誰かに押されたのよ!」と主張すればするほど、「他人の目を引きたいのね」と残念な人扱いされて、これまた腹立たしいこと、この上ない。


 実のところクローディアは心の奥底に、「これは精霊からの罰を受けているのではないか」という考えが浮かび、それを否定したいという思いが強かった。


()()()()を持っているからといって、いちいち罰なんて当たるわけがないわ)


 そんなわけで、今日も今日とて、事件が起きた現場である階段に、取り巻きをしているミルドレッド・ブロムリー公爵令嬢を引っ張って来ていた。


 ……一応断っておくが、ミルドレッドの方が身分は上である。

 あくまでクローディアはミルドレッドの()()()()である。


 しかし実情は、ミルドレッドの気の弱さをいいことに、クローディアの方がミルドレッドを振り回していることが多い。


 クローディアはミルドレッドより、自分の方が優秀であると決めつけていた。


 自分の方がミルドレッドより頭がよくて、ミルドレッドより美人だと思い込んでいる。

 実際は、ミルドレッドの成績が学年四位であるのに対し、クローディアは二十位だし、美人かどうかは人それぞれの好みがあるが、目鼻立ちがはっきりしているクローディアより、妖精のように儚げな雰囲気のミルドレッドを好む男性もそれなりに多い。


 しかし両親から蝶よ花よと育てられ、「お前は世界一美しい娘だ」という親の欲目に満ちた言葉を信じて育ったその果てに、クローディアは自信とプライドの(かたまり)のような娘に育った。


 彼女は考える。


(わたくしがミルドレッドのようなグズな女の取り巻きなどをしているのは、公爵家とのつながりを持てば、この先の人生に有利だからよ)


 公爵家とコネを持ち高位貴族の仲間に入り込めば、自分の美貌に気がついた殿方から、ひっきりなしに求婚されることだろう。


(それには、この高等学院に在学している間に、上手く立ち回ることだわ)


 そう考えていた矢先の、階段落ちである。

 まさに出鼻をくじかれたクローディアだった。


(見てらっしゃい。原因究明して、汚名を返上してやるんだから)


 そのはずだった。

 なのに、愚図なミルドレッドがその思惑を壊してしまった。

 つまり、ミルドレッドが階段から転げ落ちてしまったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ