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042-3

 * * *


 そしてランドルフ先生もまた、アルフレッド兄様とは違う形で僕を慰めてくれた。


「体を動かしましょう、王子。体を動かし、鍛えるのです。自らの努力で力を得れば、魔法の力がなくても、自分に自信を持つことができます」


 そう言って剣の稽古に一層精を出してくれたのだ。


 剣の振るい方だけではない。

 そのために体をどう鍛えればいいのかも、教えてくれた。


 おかげで僕は次第に、魔法への興味が薄れていったのだ。

 全て上手くいっていた。

 ……あの時までは。



 勉強をし、剣の鍛錬を積んでいても、僕はやっぱりやんちゃ盛りの子供だった。


 ある時、王宮の庭にある大きな木に登ってみたくなった。

 あの木の上から見渡したら、どんな景色が見えるのだろう。

 そんな、子供らしい単純な考えからだ。


 どんどん高く登っていくと、下からメイドたちの声が聞こえた。


「王子様、お止めください!」

「王子様、危ないです!」

 ってね。


 そう言われて、急に自分がどれだけ高くまで登ってきたのかに気がついた。

 ただ登っていたときは平気だったのに、気がついてしまった途端、足が震えだした。


 足が(すく)んだ僕は、そこから登ることも降りることも、できなくなる。


「怖い……怖い……」


 木にしがみついて、泣きだした僕を助けにきてくれたのが、ランドルフ先生だった。


「フェリクス、下を見るな」


 そう言って、僕がいるところまでよじ登ってくる。


 先生が来てくれた。もう、大丈夫だ。

 安心から、一瞬気が緩んだのかも知れない。

 しがみついていたはずの僕の腕が、木から離れてしまったのだ。


「きゃああああ!」


 悲鳴を上げて落ちる僕を受け止めるため、途中まで登ってきていたにも関わらず、ランドルフ先生は木からダイブした。


 先生は僕を腕の中で守り、自分が下敷きになるように受け身の体制を取って、僕が落下の際に受けるだろう衝撃を、なるべく小さくしようとしてくれたのだ。

 実際、地面に着いたとき、僕は何のダメージも受けなかった。


 ただし、先生も同様だった。


 目撃したメイドの話によると、空中で一度落下が止まり、そこから僕たちはゆっくりと地面に()()()()()のだそうだ。


 * * *

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