025-2
夕刻、その日の授業が終わった後自室に戻ったメリーローズとシルヴィアは、今日確認できたことと、その理由の分析について話し合いをした。
シルヴィアは当然のように、まずメルヴィンとアルフレッドに強制力の影響が見られなかったことについて話をしようとしたが、メリーローズは興奮して真っ先にミュリエルのことをまくしたてた。
「ミュリたんが! 『プリムローズの君』だったのよ!」
「……ミ、ミュリ……たん……?」
その勢いに、一歩後ろに下がるシルヴィア。
「ほぉらー、前に言ったでしょ? プリムローズの花の絵がついたファンレターを送ってくれた方。名前がわからなかったから『プリムローズの君』って呼んでたのよ」
「ええ、わかります。今日の話で、わたくしも、もしやと思いましたが……」
「間違いないわ! ミュリたんが『プリムローズの君』だったのよお」
引き出しから引っ張り出したその手紙を、胸に抱いてクルクルと踊り出す。
(ミュリたん、ねえ……)
「お嬢様、いったん落ち着きましょう」
シルヴィアは軽やかに謎ステップを踏んでいるメリーローズの肩を掴んで、座らせる。
「なぜ? これってつまり、ミュリたんからわたくしへの攻撃は心配しなくてもいいってことじゃないの?」
「全然違います! 考えてもみてください」
① ミュリエルが『プリムローズの君』だとする。
② しかし彼女はBL本の作者マリーゴールド・リックナウの正体が、メリーローズだとは知らない。
③ 例えミュリエルがマリーゴールドに心酔していたとしても、この先アルフレッドとの恋愛にメリーローズの存在が邪魔になった場合、排除しようとしてくるかも知れない。
④ ミュリエルが自分から進んで排除しなくても、ゲームの強制力が働く可能性もある。
「以上の点から、安心するのはまだ早すぎるかと存じます」
「さすがシルヴィアだわ。それに比べ、わたくしったらすっかり浮かれてしまって、大事なところを見落とすところでしたわ」
「まあ、お嬢様はだいたいいつも、浮かれていますがね」
「ええっ? シルヴィアったらひどいわ! えい! えい!」
頭をポカポカと殴ってくるメリーローズを華麗にスルーしながら、シルヴィアが続けた。
「えー、次にアルフレッド殿下とメルヴィン様の本日のご様子と、今後の対応についてでございます」




