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066-2

 こうしてメリーローズたちを心配するあまり、姿を現したシルヴィアたちだったが、むしろ事態を悪化させることとなった。


 メリーローズが不安定なボートの上を無理やり移動し、アルフレッドの手からオールを奪おうととする。

 アルフレッドはアルフレッドで、まだメリーローズと二人きりでいたいがために、奪われまいと抵抗した。


 その間ボートはユーラユーラ、グーラグーラと大きく揺れて、今にもひっくり返りそうだ。


「お嬢様、お止めください! じっとしていてください!」


「こら、メリー! ボートの上で立ち上がるな!」


 メルヴィンとシルヴィアの叫びも虚しく、ボートは大きく傾くと船上の二人を湖へと放り出した。


 激しい水飛沫をあげて、水中に消えるメリーローズとアルフレッド。


「お嬢様!」


「メリー!」


 シルヴィアたちの注意は、まず泳げないメリーローズに向かった。


「お嬢様! 今お助けします!」


「待て! 君は泳げるのか?」


「泳げません!」


「じゃあ、水に入ってはダメだ。俺が行く!」


 メルヴィンが湖に飛び込もうとしたそのとき、メリーローズの体がプカーと浮いてきた。


「お嬢様、ご無事で!」


 涙するシルヴィアをよそに、メリーローズは余裕の表情である。



 実のところ、メリーローズとしては水泳をしたことはないが、前世では体育の授業で水泳をしているし、何なら水の事故にあったときの対応なども教わっている。


(えーっと、水に落ちたときは慌てず仰向けになって、少し腰を曲げた姿勢になるんだっけ……)


 一度は水に沈んだものの、その体制をとることで顔が水の上に浮かび、呼吸も楽に出来た。


(うんうん、オッケー。このまま救助を待てばいいのよね)


 ドレスが水を含むので水着で泳ぐより重く感じるが、衣装が夏の薄い生地で作られていることが幸いする。


「おっお嬢様! お嬢様が浮いています!」


「よし、今助けにいくぞ、メリー!」


 シルヴィアとメルヴィンの声が聞こえてきて、その必死すぎる声に可笑しくなってアルフレッドに話しかけた。


「あんなに慌てること、ございませんのにねえ。アルフレッド様」


 ……シーン……


「アルフレッド様?」


 ……シーン……


「あ、アルフレッド様がいない? まさか、溺れちゃった? アルフレッド様ぁー!」


 メリーローズの叫び声に、ようやくメルヴィンたちがアルフレッドの異変に気づいた。


「アルフレッド殿下は、泳げるのではなかったのですか?」


「そ、そのはずなんだけど……。 おい、アルフレッド、返事をしろ! アルフレッドー!」


 急いで水に入ったメルヴィンによってアルフレッドはすぐに救助されたが、気を失っていた。

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