表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/258

063-2

「確かに結婚前に子供ができるようなことをされては困りますが、あまりに手を出さなすぎるのも、どうかと思います」


「ほほう?」


 メルヴィンがシルヴィアの話に興味を持ちだした。

 どうもこの兄は、ちょっと野次馬なところがあるようだ。

 シルヴィアは眼鏡のブリッジを抑えて咳払いすると、さりげなくメルヴィンをスルーしてアルフレッドに向き直る。


「アルフレッド殿下。我が主は箱入りの清純な乙女でございますが、いささか男性に対して初心(うぶ)すぎるところがございます。それだけならまだしも、将来の王子妃として、少し自覚が足りないようにも思えるのです」


「それと、僕と、どう関係があるんだ?」


「大ありですわ!」


 テーブルをダン! と叩いてみせると、アルフレッドの体がビクッと反応した。


「もう十七歳というのに、アルフレッド様がまったく手を出そうとしないからと、それをいいことにいつまでも子供のような気分でおられるのです」


 シルヴィアの剣幕に、アルフレッドは考えてみる。


「手を出すって……どうすればいいんだ? 手を握るとか?」


「アルフレッド、小等学院の児童じゃないんだから」


 さっそくメルヴィンの突っ込みを受けた。


「じゃあ、肩を抱く……とか?」


「中等学院の生徒並みですね」


「ええ? じゃあ、何をすればいいんだ?」


 アルフレッドの叫びに、シルヴィアとメルヴィンが同時に答える。


「「キス、でしょう」」


「えええっ?」


 意見の一致をみたシルヴィアとメルヴィンが握手をしている前で、アルフレッドが真っ赤にのぼせ上った。


「そそそ、そんなこと……してもいいんだろうか?」


「してくださいませ!」


「うーん、兄としては少々複雑な気分だが、キスくらいまでなら、まあ……」


 純情にもほどがある狼狽(うろた)えっぷりを見せるアルフレッドに、メルヴィンが追い討ちをかける。


「で、キスのとき、舌は入れる?」


「ししし……舌あーっ?」


 今にも頭の天辺(てっぺん)から湯気を噴き出しそうなアルフレッドを眺めながら、こっそりシルヴィアは考えていた。


(お嬢様の小説の中でのあなた方お二人は、あんなことやそんなこと、舌どころか下を入れ……おっと、これ以上は自粛、自粛)


 思わず自粛してしまうくらい、過激な妄想の餌食になっているとは、まったく気づいていない男二人。

 もし彼らがメリーローズの小説を読んだら、どうなってしまうことか。


(そんな事態を防ぐためにも、お嬢様にはそろそろ現実の恋に目覚めていただかなくては)


 それこそが、今回のシルヴィアの計画であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ