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ヒーロー戦記  作者: イチゴボール
エピローグ
9/15

終義の異能・再義の異能

男は椅子に座り、客人を待っていた。

「やぁ、遅れてすまないね。」

「前置きはいいから話を始めてくれ。」

待ってた男は、身長は180近くの黒髪。遅れてきた方は、薄黒いピンクの髪をした、身長170ほどの男だ。

「まぁ、まぁ。そう焦るなって。」

「…何のようだ。」

今度は先ほどと違い、威圧に近い形で聞いた。すると、ピンクの髪の男は言った。

「俺の名前は藤山瑠花。死血峰会の会長的なことをやってる。」

「ヤクザか。面倒ごとはごめんだ。帰ってくれ。」

黒髪の男は瑠花に背を向け去ろうとした。瑠花は黒髪の男の肩に手を置き、一つ質問を投げかけた。

「お前はヒーローを正義と思うか?」

「…」

「お前もヒーローに対して不満を持つ側の人間だろ?」

「…」

「ヒーロー狩り。興味ないか?」

「ヒーロー狩り?そんなことするわけねぇだろ。」

「まぁ、ゆっくり考えてくれ。不死アンデット。」




「よし。全員揃っているな。じゃあ、授業を始める。」

糸田先生は言った。

「まぁ、ここは主に実技しかやらないから、中学の復習が主になる。」

「…」

所々眠そうな人がいる。創人は中学の時居眠りしたことがないため、居眠りする人がいれば、(夜寝てないの?)と思ってしまう。

「じゃあ今回は、終義と再義の異能について話す。」

「確か、異能の最終形態でしたよね。」

鬼音は聞いた。中学の時に習っていたのだろう。

「ああ。自らの異能に向き合い、極めた者のみがたどり着ける極地だ。まぁ、辿り着けた者をあの人以外見たことはないがな。」

「質問いいですか?」

鬼音は聞いた。

「ああ。構わない。」

「終義の異能と再義の異能って、何が違うんですか?」

少し間を開け、考えてから糸田先生は話し始めた。

「結論から言うと、自分に対するバフか、他者に対する範囲攻撃かと言う違いだ。」

「なるほど。わかりました。」

「じゃあ、どこから話そうか…。よし。初めから話すか。」

そう言った後、糸田先生による異能の授業が始まった。


異能の始まり。それは1人の胎児から始まった。今から数十年前、1人の男の子が生まれた。体重も顔も体型も。何もおかしなところはなかった。だが、産み落とされてからしばらくして起きた異変に、医師は気づかなかった。

生まれたての赤子は母親の元へ連れていかれた。が、母親の顔は険しかった。その赤子の目は黒く染まり、瞳だけが赤く輝いていた。その異様な赤子を目にし、母親は言った。「化け物」と。すると、まだ言葉も理解できぬはずの赤子は右目から一雫の涙を流し、泣き出した。それを見て、母親が我に帰り、目の前の赤子は自分の子だと理解した。恐る恐る赤子を抱きしめようとした。すると、母親の伸ばした手は赤子に近づくたび黒い痣が浮き上がった。出産で体力をだいぶ消耗したため、自らの手に痣が浮かび上がっていることに気づかなかった。母親の手が赤子に触れた途端、母親の手は塵となって消えた。手が消えたと同時に母親の体に黒い痣が広がり、全身を覆った。母親は最後、「ごめんね」と言いながら消えていった。

この光景を一部始終ずっと見ていた医師は、近くにあったハサミを取り、赤子に突き刺した。赤子は激しく泣き出し、痣が医師にも現れた。医師の体に痣が周り、医師が母親と同様に消えた時、赤子の命も尽きた。こうして、人類史上始めての異能が誕生した。


「これが異能の始まりだ。」

「…」

「その後はどうなりましたか?」

梨香は聞いた。確かに、このままでは終わらないだろう。皆、そう思っていた。

「じゃあ、続きを話すか。」


病院は赤子の暴走から数分後、医師の通報で集まった警察に包囲されていた。警察は恐る恐る近づいた。だが、内部の情報が分からないため、動くことができなかった。この事件後の翌日、警察は中を隅々まで見た。母親と医師の遺体を回収することができた。が、誰も赤子を見つけることはできなかった。

次回「異能強化訓練」

※これは、自宅出産した直後の話です。

※母親の放った「ごめんね」と言うのは、普通の子供に産んであげれなくてごめんという意味です。


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