ゴール
気づけば、僕は佐々木さんに運ばれていた。軽量にしているのか、片手で浮かぶように運ばれていた。
「あ、目が覚めた。」
「ここは?」
「今、スタート地点に戻ってるところ。3人とも異能は使い切ってるし、このまま行ってもゴールできないと判断した。勝手に決めてごめんね。」
青年は現状を報告してくれた。確かにそうだ。あのまま行っても勝てなかったと思う。
(…?)
「ヴィランは?」
「ああ、それなら僕が倒したよ。」
「一人で!?」
「うん。」
「あ、そうだ。」
佐々木さんは言った。
「自己紹介しようか。せっかく今日出会ったわけだし。」
「そうだね。」
「じゃあ僕から。僕は弍替創人。異能はものを作り出せる。」
「じゃあ次私。私は佐々木梨香異能は知っての通り重力操作。」
「…僕は共川人吉。異能は共感した人の異能が使えるもの。」
「…」
一通り自己紹介が終わった。そして、創人は思わず聞いてしまった。
「え?異能が使える!?強すぎじゃない?」
「うーん…確かに便利だけど、これ、異能を使おうとした時、違う人の異能を使ったり、コントロールがうまくいかなかったり、色々欠点もあるよ。」
そんなことを話していたら、スタート地点が見えてきた。
スタート地点に戻った創人たちは、不思議な光景を目にした。僕たちの他に4人の参加者がスタート地点に戻ってきていた。そして、そのまま創人は安心したのか、意識を手放した。
「廻、どう言うこと?」
人吉は廻と呼ばれる青年に聞いた。
「なんか、1番奥まで行ったんだけどゴールがなくて、引き返したらここのスタートの表示がゴールになってた。だからここがゴールなんじゃないかな。」
「?何それ。まぁ、いいか。危うく不合格になるところだったよ。」
「まぁ、お前は初動弱いよな。」
二人の会話のペースから、以前から知り合いだったことが読み取れる。そんな二人を横目に佐々木は創人の無事を祈った。
佐々木は今回の試験で異能の使い過ぎによる一時的な意識障害を起こしたが、すぐに解消した。人吉は、体に複数の弾丸を撃ち込まれたが、殺傷能力がないため、ほぼ無傷。創人に関しては、疲労と運動不足、能力の乱用が重なり、今は意識を失っている。が、ひとまずは全員軽傷で済んだ。
「これにて、実技試験を終了する。」
試験開始の時に居た試験管は言った。創人は保健室でしばらく休み、回復していた。
「合否は後日自宅に送る。では解散」
試験管は去っていった。
佐々木さんと共川くんに一通り挨拶をし、雄藍高校を後にした。この三日後に創人、佐々木、共川の3人の家に合格通知が送られた。
次回「初登校」




