作戦開始
創人はイメージした。糸と糸が結び合い布ができていく様を。虹色の光に包まれ、少しづつイメージが実態を成していく。初めに出てきたのは小さな布切れだったが、少しずつ大きさを増していく。時間は秒で表すと50秒くらいだろうか。
「これが生成の異能…」
青年は呟いた。
「うん。もうすぐできる。」
生成が終わると同時に佐々木さんが飛んできた。いや、飛ばされてきたと言うべきか。
「佐々木さん!」
「大丈夫。それよりもアレは?」
アレとは、今創人が作った布のことだろう。
「完璧です。」
「よし。あとは…」
今囲まれている状況から抜け出さなければならない。ヴィランは速度はとても遅い。赤子がハイハイするぐらいの速度だ。だが、確実に迫ってきている。
「……こうなったらやるしかないか。」
そう言うと、佐々木さんは僕と青年に触れた。すると、僕たちの体は少し浮き上がった。そして佐々木さんは自身にも手を当てた。3人とも浮遊した状態だ。佐々木さんは膝を曲げ、伸ばすと同時に強く地面を蹴った。佐々木さんは僕たちの服の襟元を掴み、蹴った勢いでそのまま浮上した。ヴィランの手がギリギリ届かない距離。銃を撃とうとするものもいたが、間に合わない。僕たちはゆっくり降下し、地面に着地した。敵から逃げ切れたわけではない。でも良い。ヴィランに囲まれていなければ。
「創人くん、布を!」
僕は佐々木さんに布を渡した。そして布を軽くし、それを上空に投げた。
数メートル上まで上がった布は綺麗に広がり、佐々木さんの異能の効果を失い落下する。布はただの布だが、佐々木さんの異能の反動で重さが倍以上になっている。ヴィラン達に覆い被さった布はヴィランの動きを封じてくれた。
「よし、急ごう。」
僕たちはゴールを諦めスタート地点に戻ることにした。
「あ、アレは…実弾…」
30手前ほどの男と試験官は会話をしていた。
「んなわけあるか!アレは部分的な麻酔と着色料だ。本人への被害は何もない。」
「良かった〜。ついに血迷ったかと。」
「はぁ…。」
男はモニターを見た。そこには創人達3人の姿があった。
「彼ら、中々ですね。いいヒーローになれそうだ。」
「お前もそう思うか。まぁ、俺も創人には才能があるとは思う。が、俺はあいつを応援したいかな。」
試験管の視線の先には、創人達が助けた青年がいた。
「なるほど。彼ですか。彼の異能、なんか広い可能性を秘めてそうですからね。」
「ああ。」
「!!」
ヴィランに覆い被せていた布の重さが元に戻った。ヴィラン達はこちらに向かおうとしてきたが、こちらとの距離はかなりあるため大丈夫だろうと思っていた。
バタンッ。
佐々木さんが倒れた。誰にも攻撃は受けていない。だが、確実に何かしらの影響を受けている様に見えた。




