重量操作の異能
ヴィランに囲まれて身動きの取れない僕の前に、佐々木さんが現れた。
「ねぇ、その棒借りていい?」
佐々木さんは鉄パイプを指差し言った。僕は佐々木さんに鉄パイプを渡した。すると、佐々木さんは鉄パイプをヴィランに向けて投げた。鉄パイプはヴィランに吸い込まれる様に飛んでいき、見事ヴィランに命中した。すると、さっきはびくともしなかったヴィランの腕は、少しずつ鉄パイプに押され始めた。
「?」
鉄パイプは本来なら失うはずの速度を保ち、さらに力が増していく。
ヴィランは判断が追いつかず、とっさに棒を振り払った。
「佐々木さん、今のは…」
僕が質問すると、佐々木さんは振り向かずに答えた。
「私の異能は重量操作なんだ。軽くできるのは五秒間だけだけど、軽くしたら反動で重くなって、今みたいに通常の何倍かの威力で攻撃できるんだ。」
人は「反動」をどう捉えるだろうか。大体の人は副作用というふうに言うことが多いいが、彼女にとって反動はデメリットではなく、戦術の一つであり、攻撃系ではない異能でも攻撃できる様に改良されているのだ。この時、創人は異能の可能性は解釈次第なのだと知った。
「!!」
目の前の敵に集中しすぎて、周りを見ていなかった。気づけば、僕たち3人は、10体のヴィランに囲まれていた。
「…」
俺は一瞬迷ったが、人命が最優先。僕は青年の方へ急いだ。
左足の感覚がない。それほどまでに深いダメージだったのだろうか…。だが、歩くことはできる。足を引きずりながら創人は歩き出した。その光景をみた佐々木さんは僕に近づいてきた。
「…、何かあったんですか?」
「いやぁ、私ね、近距離で戦う方法がないんだ…」
「え…。」
(こんなことならハンマーとか作れる様にしとくべきだったな…)
すると、助けた青年が目を覚ました。
「…ここは…。」
「起きて突然だけど、走れる?」
佐々木さんは青年に聞いた。
「…うん。なんとかいけそう。」
「良かった。創人くん、私に作戦がある。」
「分かりました。でも、ちょっと作るのに時間がかかります。」
「分かった。時間は私が稼ぐ。」
佐々木さんは僕が作り渡した鉄パイプを持ち、ヴィランに向かって行った。それを合図に僕は生成を始めた。
次回「作戦開始」




