82 姿(し) クリーム山ソーダ之助 バイソンカマ虫党の野望の巻 銭の章
「おい仙台ッッッッッ!もっと子どもに配慮しろッッッッッ!」
岐阜が叫んだが、無駄である。
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「ヘイ、ソーダノスケ。カイカツク●ブのソフトクリームダシテクレ……」
「贅沢言うな」
ソーダノスケことクリーム山ソーダ之助はこめかみをヒクつかせた。
「バルクッッッッッ!バルクッッッッッ!バルクッッッッッ!バルクッッッッッ!」
「テメーらもうるせえんだよッッッッッ!」
ガチムチは例外無く利己主義者です。ソーダ之助への配慮はありません。ひたすらスクワットを繰り返します。
「ソーダノスケ、コンゲツノヤチンダ」
プロレスラーがたくさんの小判を差し出すとソーダ之助は上機嫌になります。
「よっしゃあッッッッッ!町を見回りに行くぜッッッッッ!」
飛んで、宙返り。身を捻って、床に手をつき、転がって、そのまま障子をぶち破りダイナミック退室。家が壊れたからどうだと言うのか。金ならプロレスラーがいくらでも出すッッッッッ!
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「「「教育に悪すぎるッッッッッ!」」」
虚しい叫びが周囲に響いた。
みしり。
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ソーダ之助は浪人です。ですが、江戸の八百八町を自主的に見回りしています。
大通りを歩きますが、町は平和です。今のところは。
「江戸は平和ッッッッッ!なら俺が抱える問題は有り余る金をどう使うかだッッッッッ!」
プロレスラーが居候してからのソーダ之助は堕落気味です。主人公としてどうなのでしょうか?
ちくフルクオリティなのだから、これで良いのかも知れませんね!
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「ちくフルを混ぜるなッッッッッ!」
仙台はいつその言葉を知ったのか。
みしり。
聞き覚えの無い何らかの効果音に菊池は気付く。気にはなったが、続きが始まったのでそちらを優先する。
みしり。
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「クリーム山ソーダ之助ってアンタか?」
ガラの悪いゴロツキが声をかけて来ました。
「だとしたらどうする?」
ソーダ之助は刀に手をかけます。
「おっと、争うつもりは無ぇんだ。アンタ……強ぇえんだろ?伝言があるんだ」
ゴロツキは手紙をソーダ之助に渡しました。
『お金を貸して下さい』
「……新手のカツアゲか?」
「違う違う、アンタのダチ公のツクスイとXからの伝言さ」
家X家は町では『X』と名乗っています。同名のロックバンドとは無関係です。
「あいつらはな、富くじで大金を手に入れて吉原に繰り出して来たのは良いが……ちいとばかり粗相しちまってよぉ」
「何をやったんだ?」
「ドン●リを飲みまくって払えねぇってんだわ」
「……世界観を考えて物を言え」
「いやドン●リ……普通に売ってるだろ」
ゴロツキが指差す先にはワイン蔵。『本日大売り出し ドンポリ一本二十両』とのぼりが立っていました。
「今は大暗黒時代と呼ばれてるが、江戸には何でもあるだろ」
ア●ヒスーパード●イ、エ●スビール、ストロン●ゼロ、チョ●ヤの梅酒、養●酒、消毒用アルコール。この頃の江戸には何でもあります。
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「「「無ぇわッッッッッ!」」」
みしり。
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「ノンアルコールビールの試飲、いかがっすか~♪」
道端の売り子が叫びます。
「おっ、旨そうだな。一杯いただくか」
たまたま歩いていた大工が声をかけます。
ゴクリ、ゴクリ、ゴクリ……
「プハァ……旨ぇッッッッッ!」
その様子を見たソーダ之助とゴロツキは顔を見合わせました。
「「とりあえず飲むか」」
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「「「子供への配慮ッッッッッ!」」」
みしり。
みしり。
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ソーダ之助とゴロツキは意気投合しました。
夕暮れまでノンアルコールビールを楽しんだ二人は、それぞれ笑顔で家路につきましたとさ。
めでたし、めでたし。
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「「「終わりかよッッッッッ!バイソンカマ虫党ってッッッッッ?」」」
「第2部をお楽しみにッッッッッ!」
「ふざけんな仙台ッッッッッ!」
ブチ切れた岐阜。
「感動したッッッッッ!」
「どこに感動要素があるのよッッッッッ!」
鎌倉にブチ切れた菊池。
みしり。
菊池のアイテムボックスが勝手に開く。
「続きが聞きたければ……ここから出しなさいッッッッッ!」
仙台がクバリを脅す。
「くっ……なんちゅう卑怯なッッッッッ!」
効果はてきめんだッッッッッ!
菊池と岐阜は顔を見合わせた。
みしり。
「「(棒読み)いやあ続きが気になるけど、クバリさんが譲らないなら諦めるしか無いなぁ」」
わざとらしい菊池と岐阜に、クバリは歯ぎしりした。
「「(棒読み)バイソンカマ虫党って何だろうなぁ~」」
「それには儂が答えよう」
鎌倉が口を開いた。
「「おいやめろ」」
「バイソンカマ虫党とは……甲斐武田氏に仕えたと言う『歩き巫女』をモチーフにした『歩き呑み巫女』の集団でな……」
ネタバレで台無し、と思ったが逆に気になる。
「もちろん架空の団体だ」
「「「それは知ってる」」」
モチーフとか抜かしてる時点で架空だ。
「ボジョ●ーを置いてくのは、歩き呑み巫女の里がボジョ●ー隠と呼ばれていて、自分たちの存在をアピールするためなのだ」
「「「なぜボジョ●ーを出したッッッッッ!」」」
「ほら、忍びの団体はだいたいナントカ隠とか言うだろう?」
「「「だからなぜボジョ●ー?」」」
みしり。
アイテムボックスの中から、機械の顔が外を伺う。
クリーム山ソーダ之助第4弾は……
時間を下さい。
また長編になりそう。




