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82 姿(し) クリーム山ソーダ之助 バイソンカマ虫党の野望の巻 銭の章

「おい仙台ッッッッッ!もっと子どもに配慮しろッッッッッ!」


 岐阜が叫んだが、無駄である。






 ■





「ヘイ、ソーダノスケ。カイカツク●ブのソフトクリームダシテクレ……」


「贅沢言うな」


 ソーダノスケことクリーム山ソーダ之助はこめかみをヒクつかせた。


「バルクッッッッッ!バルクッッッッッ!バルクッッッッッ!バルクッッッッッ!」


「テメーらもうるせえんだよッッッッッ!」


 ガチムチは例外無く利己主義者です。ソーダ之助への配慮はありません。ひたすらスクワットを繰り返します。


「ソーダノスケ、コンゲツノヤチンダ」


 プロレスラーがたくさんの小判を差し出すとソーダ之助は上機嫌になります。


「よっしゃあッッッッッ!町を見回りに行くぜッッッッッ!」


 飛んで、宙返り。身を捻って、床に手をつき、転がって、そのまま障子をぶち破りダイナミック退室。家が壊れたからどうだと言うのか。金ならプロレスラーがいくらでも出すッッッッッ!






 ■







「「「教育に悪すぎるッッッッッ!」」」


 虚しい叫びが周囲に響いた。






 みしり。






 ■







 ソーダ之助は浪人です。ですが、江戸の八百八町を自主的に見回りしています。


 大通りを歩きますが、町は平和です。今のところは。


「江戸は平和ッッッッッ!なら俺が抱える問題は有り余る金をどう使うかだッッッッッ!」


 プロレスラーが居候してからのソーダ之助は堕落気味です。主人公としてどうなのでしょうか?


 ちくフルクオリティなのだから、これで良いのかも知れませんね!






 ■






「ちくフルを混ぜるなッッッッッ!」


 仙台はいつその言葉を知ったのか。







 みしり。






 聞き覚えの無い何らかの効果音に菊池は気付く。気にはなったが、続きが始まったのでそちらを優先する。







 みしり。







 ■






「クリーム山ソーダ之助ってアンタか?」


 ガラの悪いゴロツキが声をかけて来ました。


「だとしたらどうする?」


 ソーダ之助は刀に手をかけます。


「おっと、争うつもりは無ぇんだ。アンタ……強ぇえんだろ?伝言があるんだ」


 ゴロツキは手紙をソーダ之助に渡しました。






『お金を貸して下さい』






「……新手のカツアゲか?」


「違う違う、アンタのダチ公のツクスイとXからの伝言さ」


 家X家は町では『X』と名乗っています。同名のロックバンドとは無関係です。


「あいつらはな、富くじで大金を手に入れて吉原に繰り出して来たのは良いが……ちいとばかり粗相しちまってよぉ」


「何をやったんだ?」


「ドン●リを飲みまくって払えねぇってんだわ」


「……世界観を考えて物を言え」


「いやドン●リ……普通に売ってるだろ」


 ゴロツキが指差す先にはワイン蔵。『本日大売り出し ()()()()一本二十両』とのぼりが立っていました。


「今は大暗黒時代と呼ばれてるが、江戸には何でもあるだろ」


 ア●ヒスーパード●イ、エ●スビール、ストロン●ゼロ、チョ●ヤの梅酒、養●酒、消毒用アルコール。この頃の江戸には何でもあります。






 ■







「「「無ぇわッッッッッ!」」」







 みしり。







 ■







「ノンアルコールビールの試飲、いかがっすか~♪」






 道端の売り子が叫びます。






「おっ、旨そうだな。一杯いただくか」


 たまたま歩いていた大工が声をかけます。


 ゴクリ、ゴクリ、ゴクリ……


「プハァ……旨ぇッッッッッ!」


 その様子を見たソーダ之助とゴロツキは顔を見合わせました。


「「とりあえず飲むか」」






 ■






「「「子供への配慮ッッッッッ!」」」






 みしり。





 みしり。






 ■






 ソーダ之助とゴロツキは意気投合しました。


 夕暮れまでノンアルコールビールを楽しんだ二人は、それぞれ笑顔で家路につきましたとさ。


 めでたし、めでたし。






 ■






「「「終わりかよッッッッッ!バイソンカマ虫党ってッッッッッ?」」」


「第2部をお楽しみにッッッッッ!」


「ふざけんな仙台ッッッッッ!」


 ブチ切れた岐阜。


「感動したッッッッッ!」


「どこに感動要素があるのよッッッッッ!」


 鎌倉にブチ切れた菊池。






 みしり。






 菊池のアイテムボックスが勝手に開く。






「続きが聞きたければ……ここから出しなさいッッッッッ!」


 仙台がクバリを脅す。


「くっ……なんちゅう卑怯なッッッッッ!」


 効果はてきめんだッッッッッ!


 菊池と岐阜は顔を見合わせた。






 みしり。






「「(棒読み)いやあ続きが気になるけど、クバリさんが譲らないなら諦めるしか無いなぁ」」


 わざとらしい菊池と岐阜に、クバリは歯ぎしりした。


「「(棒読み)バイソンカマ虫党って何だろうなぁ~」」


「それには儂が答えよう」


 鎌倉が口を開いた。


「「おいやめろ」」


「バイソンカマ虫党とは……甲斐武田氏に仕えたと言う『歩き巫女』をモチーフにした『歩き呑み巫女』の集団でな……」


 ネタバレで台無し、と思ったが逆に気になる。


「もちろん架空の団体だ」


「「「それは知ってる」」」


 モチーフとか抜かしてる時点で架空だ。


「ボジョ●ーを置いてくのは、歩き呑み巫女の里がボジョ●ー(かくれ)と呼ばれていて、自分たちの存在をアピールするためなのだ」


「「「なぜボジョ●ーを出したッッッッッ!」」」


「ほら、忍びの団体はだいたいナントカ隠とか言うだろう?」


「「「だからなぜボジョ●ー?」」」






 みしり。






 アイテムボックスの中から、機械の顔が外を伺う。

クリーム山ソーダ之助第4弾は……

時間を下さい。


また長編になりそう。

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― 新着の感想 ―
長い長編の長編ですね。 ドン◯リは、ドングリだと思ってしまった。 そして。 歩き飲み巫女… にんにん。
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