81 姿(し) クリーム山ソーダ之助 バイソンカマ虫党の野望の巻 地の章
「あんたの子どもなの……」
侮蔑の視線でクバリを見る菊池。しかし。
「あんま……似てないわね」
「子どもなわけ無いやろ。ワイは独身やで。さらにD☆O☆U☆T☆E☆Iでもあるわ」
「……偉そうに言うな」
「ねえねえ、エヌティーアールって何?」
子どもは好奇心豊かだ。
「お前が大人になったらわかるで。さあ、続き聞こか……」
■
ボジョ■ーを失った家X家は、ふて腐れて城下町に行きました。
しばらく歩くと、立て看板に気付きます。
『バイソンカマ虫党 見つけたら奉行所に連絡を』
立て看板にはそのように書かれていました。
家X家は、ちょうど近くを歩いていた知り合いのお合金に聞いてみることにしました。
「なんだい、Xさんじゃないかい。今忙しいんだよッッッッッ!」
お合金は追われているようです。
「「「「「御用だ!御用だ!御用だッッッッッ!」」」」」
「税金はジンバブエドルで払いますから許してぇッッッッッ!」
疾風のようにお合金は逃げて行きます。捕まるのは時間の問題でしょう。
「自業自得だな。しかし……バイソンカマ虫党って何だろ」
「有名な酒泥棒ですよ」
家X家にそのように答えた侍は、『乳ヶ岡 机水』と言う名前です。奉行所勤めで巨乳見回り同心です。
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「「「巨乳見回り同心って何だよッッッッッ!」」」
菊池、岐阜、クバリに怒鳴られた仙台は、青い顔で鎌倉を見た。
「知らぬか」
知らぬ。
「中世の日本では巨乳は少なかった。稀少な女性を守る同心……と言う設定の架空の職業なのだ」
「うん、架空なのは知ってた」
「きょ……巨乳の同心ではないんかい?」
「乳ヶ岡はオッサンと言う設定だが……クバリ殿が良ければ今すぐ巨乳のデブのオッサンに変えても……「やめろ」
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乳ヶ岡は、肥満体である己の巨乳を揺らしながら……
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「おい、やめろッッッッッ!」
「仙台も乗っかるなッッッッッ!」
「ア タ シ の 胸 を 見 る な」
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乳ヶ岡は言いました。
「バイソンカマ虫党とは、酒専門の盗賊だ」
「そんなのいるんだ。で、バイソンカマ虫って何?」
「猿酒を好むと言われる架空の虫さ」
木や岩の窪みで自然に発酵してできたお酒を『猿酒』と言います。……見付けても飲まない方がよろしいです。
「バイソンカマ虫党は、バイソンカマ虫を信仰するカルトでもある」
「そんな奴らがお酒を盗むんだ……ひどい奴らだ」
「ただ盗むだけじゃない。犯行現場にボジ●レー・ヌーボーを置いて行くのだ」
「何故にッッッッッ!」
「さらに●ジョレー・ヌーボーを見習え、と書き置きを残して行く」
「いや、ワインと日本酒は別物だろ」
「バイソンカマ虫党が狙うのはワイン蔵だけだ」
「色々おかしいだろッッッッッ!時代考証とかッッッッッ!」
クリーム山ソーダ之助サーガをご存知の方にとっては、今さらです。
「つい先日、そこのワイン蔵が被害に遭った」
乳ヶ岡が顎をしゃくった先には葡萄畑、その向こうにはワイン蔵があります。
「あるんだ……」
徳川大暗黒時代には何でもあります。ガン●ムやマク●ス、コードギ●ス、ボト●ズ……
「大量のロマ●・コンティを盗まれ、蔵は破産。借金を抱えたオーナーは……なけなしの金を富くじにつぎ込んで……」
「なんてことを……」
富くじなんて当たるわけがありません。
「見事に大当たりッッッッッ!」
「当たるんかいッッッッッ!」
「だが……富くじごときで返せるわけが無い。そこでオーナーは米相場に手を出して……」
「儲けたんだ」
「……よくわかったな。大金を手にしたオーナーはハワイに移住してウハウハだ」
「よし、俺も富くじに……」
将軍なんてくだらない。どれ程努力しても部下に台無しにされてしまうのですから。
「一発当ててッッッッッ!エロマンガ島に移住だッッッッッ!」
「FUOOOOO……ワチキも一口噛ませて貰おう」
「何だ……その一人称」
乳ヶ岡のキャラクターはまだ固まっていません。予告も無く一人称が変わる場合があります。ご了承下さい。
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「「「「「エア紙芝居ッッッッッ!エア紙芝居ッッッッッ!エア紙芝居ッッッッッ!」」」」」
「子どもたちはなぜこんなクソ昔話にフィーバーしてるのよ?」
ちくフルクオリティである。
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「「「「「バルクッッッッッ!バルクッッッッッ!バルクッッッッッ!……」」」」」
家X家がなけなしのお金を富くじにブチ込んでから、半月が経ちました。
「「「「「バルクッッッッッ!バルクッッッッッ!バルクッッッッッ!……」」」」」
とある道場では、暑苦しいガチムチの群れがスクワットを繰り返します。どのガチムチも汗びっしょり。きっと体脂肪率は1%未満でしょう。
「「「「「バルクッッッッッ!バルクッッッッッ!バルクッッッッッ!……」」」」」
様々な理由で彼らは体を鍛えています。
たとえば、女人にモテたい。女人を侍らせたい。女人に貢がせたい。中には女人に罵られたい、と言う変わった方もいます。ロクなのがいませんね。
「アイアムッッッッッ!プロレスラーッッッッッ!ウィイイイイイイイイイイイッッッッッ!」
ロクでなしをガチムチへ導くのは、謎のプロレスラーです。わかっているのは日本人では無いと言うことだけ。彼は縁あって、この道場に居候しているのです。
この道場の主は別にいるのです。
「「「「「ウィイイイイイイイイイイイッッッッッ!」」」」」
「うるせえええええええええええええええええええええええええええッッッッッ!」
奥の部屋から1人の浪人が叫びます。激おこです。暑苦しくて、とてもうるさいのです。
「今何時だと思ってんだッッッッッ!」
朝の4時です。まだ夜明け前。
浪人が、なぜか手に持っていたあ●きバーを投げつけます。しかしプロレスラーはあっさり受け止めかじります、が。
「オウ……ハグキカラチガデタ」
それもそうです。あず●バーは世界で1番硬い食べ物のひとつです。そのうち本格ミステリで凶器に使われるでしょう。
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「「「子どもに何を聞かせてんだよッッッッッ!」」」
しかし続きは気になる。菊池も、岐阜も、クバリも。
「「「「「エア紙芝居ッッッッッ!エア紙芝居ッッッッッ!エア紙芝居ッッッッッ!」」」」」
そして作者も。




