02 出会い
政子が沙夜の琵琶を聞きたいと姉妹を呼び寄せました。
沙夜が政子の許で琵琶を奏している間、茜は次の蹴鞠の催しの件で実朝に呼ばれました。
真玉は侍女と共に、御所の花を摘もうと庭におりました。真玉はうっかりして茜のおいていた毬を転がしてしまい、毬は御所の床下に入ってしまいました。
侍女は、真玉に、でここで待っているように伝え茜を呼びにいきました。真玉が困っていた所、突然、良い香がして、絵物語から出て来たような若君がそこに立っていました。
真玉ににっこりと笑いかけると、その若君は御所の床下から毬を取り出し、袖で毬の汚れをはらい、真玉に渡してくれました。それが、京から実朝の和歌の師として呼ばれた橘高明と、真玉の出会いでした。
そして、それが真玉の初恋でした。
朝時がやってきました。朝時は、高明に、御所様がお待ちですと伝え、(真玉の事情を察し)、義妹がご迷惑をおかけしたと言います。高明の袖が破れているので、当家で衣装を直すので、帰りに御寄りいただきたいと告げますが、高明は、お気になさらずと、実朝の許に向かいました。
時房は、朝時から事情を聞き、高明(長谷に仮住まい)の邸を訪問します。邸は、書物を収納するために、書庫を広くとってあるだけで、京から来た貴族の邸とは思えない粗末なつくりでした。
高明の家人が主は、今、調べもの中なので暫くお待ちいただくようにと、白湯を出してもてなします。
そこに、高明が衣装を改めて出てきました。
時房は、高明の顔だちが、少し朝時に似ているような気がしました。似ているが高明は女顔でした。
ただ、何か、見おぼえてあるような気がしましたが、朝時の母は公家の血を引いているからかともおもいました。
時房は礼を述べ、本来なら高明の衣装を直すべきだが、公家の高明の衣を自分達があつらえる事は難しいの、代わりに我が家にお招きしたいと伝えます。
高明は、自分は、和歌のための調べものに専念したいので、辞退させていただく。また、姫君たちのいる邸に自分が行くのは、好ましいとは言えないので、お気にされずにいて欲しいとも言います。
時房の持参した酒については、喜んで頂くと伝え、自分は、この鎌倉には静養も兼ねてきているので、将軍家以外のお招きには応じない予定であるので、お気を悪くされないようにと言いました。
時房は、高明の許を辞して邸に戻りましたが、義時から、政子の許に来るようにとの使いがきていました。
末の娘の真玉が、絵物語の若君に出会ってしまいます。