15 行く末
朝時と沙夜は、その昔沙羅が隠れ住んだ邸に暮らします。鎌倉から侍女夫婦が密かにやってきて、二人はそこで静かに幸せに暮らします。
朝時にとっては、生涯で一番幸せな日々でした。
後に朝時は、自分は政治にかかわらないのが幸せだと思っていた、沙夜と二人で過ごしたことは何よりも幸せだったが、北条家に生まれた身としては、自分だけが逃げる事はできない運命だったと思い返します。
後鳥羽院が朝時に興味を持ち。北面の武士として仕えないかと言い、朝時が、身に余る名誉ではあるが、自分の使える主は将軍実朝ただ一人であると断ったという話が鎌倉に伝わってきました。
朝時がいなくなり、北条家と実朝の間は遠くなっていきました。
実朝は以前より和歌にのめりこみ、(今までは朝時が実朝を出座させていいた)流鏑馬試合などを見なくなります。和歌がうまい和田朝盛がお気に入りとして近侍となりました。御所を守るのは和田の朝比奈三郎です。
義時は、実朝を制御することが難しくなってきていました。
実朝は、御台:信子と八重の二人を大切にし、御家人出身の侍女などに暇をだしました。
御所にいる侍女は信子が京から連れてきた者や、帰る家がないもの(若い侍女たちには縁談をすすめ御所を去らせました)などだけでした。
茜は、真玉が懐妊した事もあり、時房邸に戻り、病気と称して閉じこもっていました。
泰時は、桂が死んだ家は引き払い、茜と暮らすはずだった家に形ばかりの引っ越しをしましたが、家には殆ど帰らず、幕府に仮住まいしていました。
政子は、義時に言います。八重は大人しく、御台所にも気に入られている。和田の出身ではあるが、跡継ぎが生まれるのではれば、それでよい。
実朝は、頼家と違って大人しい女性が好みで、自分が茜を側室になどと考えたのは早計だった。泰時は今も妻を迎えていない。あの時に、自分が口を出さずに、茜と泰時を一緒にすればよかった。
今からでも泰時と茜を一緒にできないだろうか。
義時は、泰時と茜の事は本人に任せるしかない。
朝時の事で、時房とは今関係が良くないので、自分が入ると拗れるに違いない。
自分も泰時には幸せになってほしいので、もう政略結婚はさせないつもりだ。
真玉に、男女の双子が生まれました。太郎(朝直)と玉手です。
また、沙夜に娘(初音)が生まれたという事もつたわってきました。
茜は、病気にかこつけて暫く鎌倉を離れようと思っていました。




