表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/37

サウスエンド駅


魔王の手下が襲ってくるとは我らアドハーツを脅威と捉えているらしい。

今後も同様の事が起きうるかもしれない。

それにしても奴らはこちらの動きを正確に把握しているとなると厄介だ。

まさかこの中に内通者が? いやそれは考え過ぎだろう。

我らは制限時間内に魔王を倒す仲間。

疑うに足る証拠もない。

それどころか我らの誰であってもメリットが見当たらないのだ。

とにかく慎重に見極める必要がある。

次の襲撃に備える意味でも……


文豪は柄にもなく真面目に思い悩む。


どうしたの文豪?

いや何でもないわ。


危機が去ったのを察知したのだろうか。

どこからともなくラクダが姿を現した。


1,2,3,4,5,6,7,8,9,10、


目の錯覚でなければ十頭いる。


文豪は目を擦った。


あら、増えたわね。私はこの子。

蓮はすっかり元気になった。


どこかの迷子じゃろ。

野ラクダですね。


五頭を後ろに従い砂漠を抜ける。


見えて来た。終着点が目の前。


ゴール。


私が先よ!

儂じゃ!

どっちかと言えば自分!


三者で醜い争いを始める。


おい、何をやっている!

顧問が窘める。


文豪が!

蓮が!


早くラクダを戻すぞ!

 

長旅ご苦労様。

ラクダ業者が迎えに来る。


隣にはえらく身なりの良い男性が笑顔を浮かべている。


ありがとうございます。助かりました。

こ奴は何を言っている?


失礼ですよ。こちらの紳士は世界を旅するマハラジャ。

ははーあ! うん?


金ぴかのスーツからケースを取り出しゲインをひったくる。


豪快な所作。さすが大金持ち。手にはごっつい貴金属。黄色や青のカラーストーンが太陽に反射して目が眩みそうである。


葉巻に火をつける。煙を吸い込み咳き込む。


おおっと失礼。朕の所有するラクダが逃げ出して難儀しておった。


1,2,3,4,5


うん、ちゃんと揃っているな。よし、お礼をしなくてわな。


ゲインを五万。

ネックレスと指輪を蓮に。


では先を急ぐでな。さらばじゃ。

朕はうれしいぞ。ははっはは。


ラクダを引き連れ砂漠へ。


おかしな奴もいるもんじゃのう。

文豪。聞こえるって。


おい、主人。この辺りにトレインが走っていると聞くがどうじゃ。

ああ、お客様方。駅ですね。それでしたら三キロ先に駅があります。こちらです。


主人の指す方へ歩き出す。


急ぐぞ!

話ではもうあと一時間もないそうだ。


速足で駅へ。


走ってすぐにサウスエンドの看板が目に入った。


トレインは一時間前には駅についており出発の準備に取り掛かっていた。


顧問とサマーマンで食料の調達を。

文豪たちは乗車券を買いに走った。


ホセ!

ホセは買い方が分からず手間取っている。


早くせい!

だって……


イライラする文豪に影が忍び寄る。


こっちこっち。

怪しい男が手招きをする。


何じゃ?

なおも手招きをするので文豪は無理矢理二人を連れて男の元へ。


文豪さん! 買うのを邪魔しないでくださいよ。

そうよ文豪! ここが何?

知らぬわ!


いらっしゃいお客さん。今、乗車券を買い求めておりましたね。うふふ。

ああ、センターポールに行くんじゃ。


そうですか。ではとっておきの物があります。

男は乗車券を見せる。


これはですね。とってもお買い得な商品なんですよ。

ほほー


一週間乗り放題のチケットです。本当にお買い得。

ほうほう。


センターポールまで? そんなケチは申しません。全部のトレイン乗り放題。

ご自由にそして気ままに旅をしてくださいますようにご用意しました。


今すぐ購入しなければなくなりますよ。もうこんなお得な商品は出ません。

出血大サービス。


おおう! して幾らじゃ?

一枚二万ゲインでございます。


高いわ! そんな金などないわ! 

文豪! そんなのに付き合ってないで早く行くわよ。


顧問の声も迫ってきている。


よろしい。大サービス。一人一万ゲインでいいよ。

うむ。それなら大丈夫じゃ。五枚貰おう。

ありがとうございます。では五万ゲインになります。


契約成立。


文豪は勝手に乗り放題のチケットを購入してしまった。


顧問の呼びかけに反応し歩き出す。


再びゲインは底をついた。


顧問に悟られることなくホームへ。


汽笛が鳴る。


時刻は一時。


トレインはサウスエンドを出発。

センターポールに向かう。


文豪!

お怒りを頂戴する。


ホセ編へ。


                           続く



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ