砂漠で迷子は命取り
モンスター出現。
怪風潮風が様子を窺っている。
文豪得意の一太刀。
手ごたえがない。
なかなかやるではないか。
文豪、真面目にやってよ!
よかろう。こちらも急いでいる身。
もう一太刀。今度は大きく振りかぶって。
だめじゃ!
文豪さん。剣ではなく他の方法で。
よしパイナップルを寄越せ!
無いよ。文豪。そんな余裕は家にはないわ!
金欠か。致し方ない。それでは嵐が過ぎるのを待とう。
ダメです。時間がありません。
顧問。それでは他に手は。
考えても仕方ありません。すべて試すんです。
冷やすのはどうかな。
サンチャゴ。良いところに気が付いた。
だから違う。ホセ!
顧問! ギャグで凍り付かすのはどうかのう。
よしそれでいこう。まず手始めに私から。
緊張の一瞬。咳をして落ち着かせる。
ラクダが楽だ。
男が大男。
文豪!
おう。儂は鷲で文豪は文語だ。
ダメじゃ。恥ずかしい。
もう、おやじギャグ最低。文豪は言えてないし。
ええっと、凍り付かすなら。サマーマン!
発散!
モンスターは凍り付いた。
アイスを使用し難なく勝利。
サマーマンはレベルアップ。
連とホセもレベル3へ
おお、その手があったか。
先を急ぐ。
新手がが現れた。
南追いはぎがラクダを強奪。
待て!
急いで文豪! 徒歩はごめんよ!
南追いはぎはコースを外れた。
ダメだ文豪君! これ以上は危険だ。先を急ごう!
しかし顧問……
文豪が反論する間もなくモンスターが現れた。
南追いはぎが三体。
気を付けて! もうラクダを攫われるのは勘弁願いたい。
発散!
サマーマンのアイスがかわされた。
恐ろしく俊敏。すぐに囲まれてしまう。
どうします顧問?
蓮君とホセ君はラクダにしがみつくんだ。
文豪が無闇に切りかかろうとするのを顧問が制止する。
誰か食べ物を。
食べかけのパンならあるけど。
でかした! 後方に投げろ!
文豪が連から奪い取り半分にしてから思いっきり後方に投げる。
三体が争うように食らいつく。
よし、いまだ急げ!
ラクダを全力で走らせ何とか巻くことに成功。
一頭を失い文豪と蓮とホセが押し合う。
暑い! 邪魔!
無茶を言うな!
文豪! 動かないで!
ホセは大人しく様子を見守る。
蓮!
文豪!
ポジション取りに必死だ。
ちょっと文豪! ごめんホセ。文豪が!
何? 儂のせいだと言うのか!
そうでしょう!
喧嘩がヒートアップ。
ホセも巻き込まれてしまう。
大丈夫だった?
儂は大丈夫じゃ!
あんたじゃない!
ははは……
ホセは頬を赤く染める。
ラクダは重くなった荷を気にする素振りも見せずに黙々と砂利と砂の混じった悪路を進む。
一行はようやく第一ポイントの砂漠に到着した。
急ぐぞ! 時間がない!
ちょっと待って! お土産を買わなくちゃ。
どこにあるんじゃそんなもの?
ほらラクダショップ。
ラクダがデザインされた看板があった。
観光客用だそうでここではお土産の他、怪しげな砂にラクダも置いてある。
いらっしゃい!
おい、主人! ラクダを一頭頼む。
へい、五万ゲインになります。
高い! もう少し負けんか!
では三万ゲインでどうでしょう。
顧問?
無理ですね。一万ゲインなら大丈夫ですが……
お客さん。レンタルもありますよ。一万ゲインです。
レンタル?
お客さんは旅の人?
そうじゃ!
なら砂漠を抜ける?
そうじゃ!
では、抜けてすぐにお店がありますのでそこでお返ししていただければ結構です。
交渉成立。
ラクダ一頭を手に入れた。
蓮がサボテンを抱えて手を振る。目的のお土産を買えたようだ。
再び三頭で元通り。
蓮は嬉しそうだが、ホセは少し残念な様子。
砂漠へ。
嫌な雲が湧いてきた。
気温が下がり過ごしやすくはなったのだが……
一昨日からの体調不良もあり寝不足気味の文豪。
ウトウトし始めた。
ラクダから転落しないようにしっかり掴まって鼾をかく。
高等テクニック。
ラクダのゆっくりした動きが余計に眠気を誘う。
文豪だけでなく顧問もホセも眠そうだ。
徐々に傾斜を上っていく。
半分意識を失った文豪に突き刺さるトゲ。
痛い! 何じゃこれは?
もう文豪ったら! サボテンが折れるでしょう。
サボテンか? 何ちゅうもんを携帯しとるんじゃ!
いいでしょう! この形がまた堪らないの。
儂とサボテンどちらが大事なんじゃ?
サボテンかな。
良い武器になりそうですね。
ホセが様子を見る。
これはダメよ! お土産なんだから。
誰にじゃ?
元カレ…… へへへ。
何と!
記憶が記憶が!
サンチャゴ! 何か思い出したか?
いえ、混乱するだけで何も思い出せない。
そうか。蓮はどうだ。
元カレは…… あれ?
どうでもいいのは思い出せませんよ。そんな事より急ぎますよ。
顧問!
冷静じゃ!
ただ、冷たいだけじゃない。
強風が顔に当たる。
砂嵐が現れる。
どうしましょう? 顧問。
何も効きそうにない。逃げるしかない。
ラクダを全速力。
砂嵐が辺りを居座り視界を奪う。
目が! 目が!
落ち着け! もう少しだ。我慢! もう抜ける。
顧問!
抜けそうで抜け出せない。格闘すること三十分。ようやく砂嵐が進路を変更し影響から逃れた。
ぶっぶ……
ぺっぺ…… 砂が
視界が良くなっていく。天気も急速に回復していく。
あのー、顧問。本当にこちらでよろしいのでしょうか?
どういう事だいホセ君。
どうも変なんですよ。
うむ!
文豪さんもお気づきですか?
ねえ、ねえ。どういう事。
たぶん出発して三時間は経っているはずです。
ああ、生憎時計がなく苦労しているよ。今日はもうトレインは諦めるしかないだろう。それで?
道を間違えたのでは。方角はこちらでよろしいのでしょうか?
うーん何とも。地図があればはっきりするが……
ちょっと! 迷子になっちゃたの私達?
うむ! そうらしいのう。
冗談じゃないわ! 遭難って誰が助けてくれるわけ?
そりゃあ。良い人が助けてくれるじゃろう。
良い人?
ああ、完全に意識を失いカラカラに乾いた姿で連れ戻されるわけじゃ。
それってやばくない?
大丈夫。儂らは不死身じゃ。
文豪さん。それではたぶんクリアできませんよ。
そうじゃった。顧問の言う通り。時間切れじゃ。
あのー。私なら……
サマーマンがボソボソと何かを言っている。
文豪には全く聞こえない。一緒の顧問も聞き取りずらそうに耳を傾ける。
私は方角が分かるので。この太陽の位置と風の向きである程度は……
顧問通訳を頼む!
ええと、当初は予定通り北へ直進、その後嵐や暑さから来る眠気、疲れでコントロールを失い、左方向に進んでいる模様。以上。
どいう事じゃ?
真っ直ぐ進んでると思ったらだいぶ明後日の方向に進んでしまったから修正せよと言う事でしょう。
サンチャゴも賢くなったもんじゃ。
だから自分はホセだって!
よし、皆。サマーマンに着いてきてくれ!
サマーマンが先導する。
文豪は最後尾へ。
ラクダは砂漠をひたすら北へ。
続く