お助けキャラ・ティン降臨
何とか第一ポイントに辿り着いた一行。
光。
その中心に巻物が置かれている。
巻物を中心に前後左右に十体ずつ骸骨が並べられている。
何らかの儀式であろうか?
気持ち悪いわね……
があー
うごー
文豪マンは言葉にならない。
あんたも随分気持ち悪いわね。
顧問。分かりますか?
何かの暗号?
文豪マンもダサいわね。
文豪マンは何かに気付いた様子。
さっきから発声している。
何よ! 気持ち悪い!
蓮は聞き取ることができない。
蓮君。そこの骸骨を調べてくれないか?
えー! 私が?
自分が代わります。
ホセは一体一体、手に取り眺める。
どうだい?
特に変わったところはありません。
そうか。手掛かりなしと。
待ってください! 光が光が……
そうか分かった! 光るのと光らないとがあるんだ。
大した意味なんてないんじゃない。故障したとか?
いえ、必ず意味があります。しかしさほど時間は無いようだ。ひとまずここを離れ、第二ポイントを探しましょう。
ウガ―
グルルル
文豪マンは何かを言いたげである。
ホセが耳を傾ける。
ちょっと聞き取れるの?
何をしてるんですか? 皆さん急ぎますよ!
あのー文豪マンが!
文豪マンは手振りを交え方角を示す。
そうですか。うんうん。分かりました。
西です。
西に三百メートル。それから北へ五百メートル。
どういう事だい?
文豪マンは知能が上がり一瞬でこのゲームの仕組みを理解したようだ。
良いですか。
歩きながら蓮と顧問に説明する。
さほど難しくない暗号です。子供でも分かります。
ちょっと待ちたまえ! 私たちは子供以下だとでも?
ゆっくり考えて実験を繰り返した場合の話です。
まず、巻き物を囲むように骸骨が置いてあります。その中のいくつかが光り輝くスケルトン。よく見ると上下左右に十体ずつ。これがポイントです。
左の三までがスケルトンが置かれ、上の五までスケルトンでした。それ以外はただの骸骨。
ほうほう。要するにスケルトンの置き方で方角を示していたわけだね。
そうです。
でも本当にそうなの? メートルじゃなくてキロだったり、ただの飾りの可能性もあるんじゃない。
いえ、決して意味がない事は無いでしょう。ホセ君。キロではない理由はやはり骸骨の量?
そうです。この森がいくら広いと言ってもこの暗い中徒歩でそれもモンスターだらけの森を抜けるには十キロは無理でしょう。
よし、君の意見に従おう。さあ行くぞ!
アドハーツは顧問を先頭に第二ポイントへ向かった。
西に三百メートル。歩数を数えスケルトンで辺りを探る。
アーバンダークネスが現れた。
光にさらされたのは一瞬だった。
ものすごい速さで左へ右へ動き回り、捉えることができない。
すばしっこいわね!
後ろに回られた! 顧問!
よしまずはガードを固めろ。相手の動きに惑わされるな!
文豪マンを盾に体を回転。
アーバンダークネスは文豪マンに鋭い牙で襲い掛かる。
しかし文豪マンには効かない。
よしいいぞ。今だ!
顧問は両刀を下ろした。
ぎゃあー
動きが鈍くなった。
文豪マンが引っ掻いた。
勝利。
よしこの調子だ。なるべくダメージを受けないように。
顧問! 新手です。
ルーラルダークネスが三匹出現。
高速で動き回る。鋭い牙はまったく同じだ。
よし文豪マンに隠れろ!
ルーラルダークネスは周りを囲み襲い掛かる。
ダメ! 防ぎきれない!
堪えてくれ!
絶対絶命のピンチ。
その時だった。文豪マンから突如光が溢れ出す。
へ?
あー暑かった!
ティンが現れ、術を掛ける。
お助けキャラの登場にモンスターまでが唖然としている。
ティンによって文豪マンは速度が上がった。
文豪マンは二匹を一気に掻き消す。
しかし、やはり弱点克服とはいかずエネルギー切れとなってしまった。
あら、どうしましょう。想定外だわ。
残りの者は文豪マンの後ろに回る。
ルーラルダークネスは文豪マンに噛みついた。
ルーラルダークネスの闇は深く文豪マンの体を弱らせる。
マズいわ。このままだとやられてしまう。
大丈夫ですよ。文豪マンは無敵なんですから。ねえ顧問。
ちょっとまずくないか?
早く弁当をあげなきゃ。そこの子!
イヤイヤ。
蓮は恐怖で震えている。
早く食べさせてあげて!
無理無理!
仕方ないわね。
ティンは命の水を文豪マンに振りかける。
文豪マンは完全回復。傷口も塞がった。体も動くようになった。
一掻き。
ルーラルダークネスは消滅。
ティンは仲間に加わった。
よろしく。あの中は暑くて暑くて。少しの間お世話になるわね。
暑い?
ええ、文豪は暑苦しいし、中は酷く暑い。二人が合体すると大変な熱量みたい。
まるで夏だわ。おっと余計だったわね。
改めまして、妖精のティンです。文豪のお世話してます。
顧問! そろそろです。
よし!
北へ。前進あるのみ。
スケルトンとティンの光で闇は薄れていく。
注意してください。何が待ち構えてるか分かりませんよ。
ティンが列を抜け前方を窺う。
大丈夫みたい。
そうですか。うわー。
光の死角からモンスターが不意打ち。
顧問はガードが間に合わない。
顧問!
蓮とホセもあっと言う間に瀕死の状態。
敵は複数なのか効率的に打ち倒していく。
ティンは命の水を倒れている者にかけて回る。
皆! 文豪マンの後ろで待機して!
ティンは敵の正体を探る。
カマイタチ?
ものすごい速さで肉を裂いていく。
ダメ! 見えない!
待機!
文豪マンを盾に体を低くする三人。
正体不明のモンスター。
透明人間?
発散!
ティンは円を描くように火を放つ。
ぎゃー ぐぉ!
正体不明のモンスターが炙り出されていく。
お前は?
ダークストーカー。
何か発したらどうだ!
様子を窺っている。
再び襲おうと目を剥き、走り出す。
何とか暗闇を利用してとスピードを加速させるストーカー。
捉えた!
文豪マンが一掻き。
ダークストーカーは左にかわすが思ったよりも手が速く力も強力だったため叩き落される。動きが止まる。
ティンによって顧問が復活。
顧問の連続両刀切りが決まりストーカーは戦意を喪失。
仕上げにホセのパイナップルで吹っ飛ばす。
勝利。
ダークストーカー恐るべし。
マズいですよ。十個もありません。
腐った弁当が思った以上の速さで消費されていく。
ティンさん。命の水はあとどれぐらい?
あなた達、命の水がどれだけ貴重で高いのか知らないでしょう!
命の水は有限なのよ。
ティンの言からして限界は近いのかもしれない。
もういや! 帰る!
蓮さん。ギブアップは認められてない。自分と最後まで頑張りましょう。
ホセ君はこの現状が理解できてないのよ!
ついに仲間割れが始まった。
文豪もそう。顧問だって能天気。この妖精が私たちを救ってくれるの?
それは……
無理でしょう?
蓮は後悔から涙が止まらない。
恐ろしこんな場所、一刻も早く抜け出さないと! もうレベルアップはいいから戻りましょう。降参すれば許してくれるわ。そうでしょ顧問?
私だってできる事なら…… でもそれは不可能なんです。
そうだよ蓮。一緒に戦おう!
まったく。私はか弱いお姫様なのよ。あなたとは違うの!
ティンは様子を見守る。
あなた文豪以下ね!
私が? この私が? これが普通の女の子の反応じゃない。
そう言うと蓮は泣き止んだ。
ここは異世界。あなた達が思っているほど平和ではないし理想郷でもない。
半端な気持ちで旅を続けるなら覚悟することね!
絶望と苦しみが支配する世界があることを!
蓮は立ち上がる。
再びアドハーツは動き出した。
よし、行こう。私たちの未来へ!
続く
ティン お助けキャラ。普段は文豪の服の中。ピンチに登場。小さい女の子。虫と呼ばれる。
文豪マン 文豪とサマーマンの合体技。ピラミッド。闇夜の奇跡。簡単には元に戻らない。
アイテム
命の水 完全回復するレアアイテム。有限で高価なもの。