お助けキャラ登場 文豪合体
目印は骸骨。
白く輝くスケルトンの線。
ここからが森の入り口。
スタートライン。
お洒落なスタートラインだこと。
蓮よ近づくな! 気持ち悪い。
あれー、文豪怖いの? ただのオブジェでしょう。
何も考えてないと楽でいいのう。
もしかして本物? まさかね。冗談? キャアー!
久しぶりのお客さんだね。ようこそ。イーストポールの森へ。歓迎するよ。
キャー! ギャー! ヒー!
あなたは?
暗闇から突如現れた黒い影。フードのようなもので顔を隠し、奇妙な笑い声と共に語りだす。
失礼。驚かせてしまいましたね。私はここの管理者。もしこの森へ立ち入るのであれば私の許可が要ります。
あんたは何者じゃ?
すいません。訳あって名乗れないのです。まあお助けキャラだとでも思っていただければ幸いです。
紳士的な男。決して悪い者ではないが何か違和感がある。何かが決定的に違う。それが何なのか今の文豪たちでは見当がつかない。
私が何者であるかはおいおい分かってきます。そこまで我慢して、今はあなた達の目的を果たそうではありませんか。
まさかお主が良い人?
まさか。文豪の考え過ぎよ。
そうですよ。こんな得体の知れない者が良い人であるはずがない。
どうじゃ?
ええ、確かに。そう呼ばれることもあります。
良い人?
伝説の良い人。
瀕死の者を死地から連れ出し宿まで送り届ける救世主。
私の役割が分かったところで本題に入ります。
良い人は骸骨の向こうの森を指さす。
あなた方はたぶんレベルアップを目指してここに来た。違いますか?
そうです。博士の教えてくれた情報をもとにここへ来ました。
やはり。あなた方は魔王を倒す使命があります。その手助けをするのも私の役割です。
どうぞ私を信用してください。
うむ、信じるとしよう。
この世界はモンスター自体が少なく、放っておけばすぐにゲームオーバーです。
賢明な判断であったとな?
そうです。まずレベルアップについてですが……
理解した。
話では最大で20までレベルアップできるそうだ。しかしそのためには数々の試練に立ち向かわねばならない。
入りますか? 止めますか?
五人はもちろんイエスを選択する。
注意事項
スタートラインを超えたらゴールラインまで突き進む。
制限時間は日が昇るまで。現在は七時。
この森は良い人も近寄れない。よって救出されない。即魔王の里へ転生。
三つの巻物を探すこと。
腐った弁当
でがらし茶
万能薬
以上三点を好きなだけプレゼント。
では、この巻物をやろう。
勇者よ! 覚悟が決まったらこのスケルトンを持ち森へ進め。
スタート。
勇者。アド・ハーツの五人は未知の森へ足を踏み入れる。
振り返ることなく。
あの人ヤバくない?
ええ、目つきが怖いっすね。
うむ。顧問といい勝負じゃ。
皆さんお静かに! 肝試しではないんですから。
ねえ、このスケルトン気持ち悪くない?
蓮よ、ただのオブジェじゃ。気にするな。ハハハ。
あのねー。ただ在るのと手に取るでは大違いよ! ああ、気持ち悪い。
まあ、本物らしいからのう。いつ動き出すか……
止めてよ! 文豪!
良いではないですか。ランタンの代わりにちょうどいい。
しかし顧問。これ何に使うんでしょう?
さあ、良い人の話ではゴールで必要だとか。
へ―そうなんだ。不思議。
お喋りはそこまでです! 来ますよ!
巨大蝙蝠が現れた。
文豪の三倍はあるだろうか。
はるか上空からいきなり羽を広げ突撃。
反応できずに前方のサマーマン、ホセ、文豪の三人が負傷する。
マズい! こ奴ものすごい攻撃力ではないか。
発散!
びくともしない。
また来ます。気を付けてください。
アタック!
構えたことによりさほどダメージを受けずに済んだ。
巨大蝙蝠の連続アタック。
文豪と顧問と蓮が逃げ遅れ瀕死の重傷を負う。
サマーマンが三人の元へ。
腐った弁当で体力を戻す。
よし、今だ!
巨大蝙蝠が木の上で休憩。
五人で一斉にかかる。
ギャア―
巨大蝙蝠は奇声を上げ消滅。
勝利。
うん?
喜びもつかの間。
二体の巨大蝙蝠。
獲物を前に興奮しているのか冷静さを失っている。
どうしたんじゃ?
久しぶりのお客さんですからね我々は。
二体同時に襲い掛かってくる。
発散!
やはり効かない。
どうする?
呆気なく全滅してしまう。
マズい!
早く弁当を!
何とか腐った弁当を手にすることができた。
危うく全員一緒に魔王の里に行くところだった。
全員が無事に体力を回復。
反撃。
ホセがパイナップルを投げつける。
巨大蝙蝠は一匹負傷。もう一匹も戦意を喪失している。
そこに顧問と文豪の連続攻撃。
一匹が消滅。もう一匹は蓮に襲い掛かる。
蓮は瀕死の重傷。
なおも蓮に襲い掛かる。
蓮さん!
ホセが身代わり。
顧問の会心の一撃で何とか勝利。
ホセ! ホセ!
呼び掛けには応じず意識を失っている。放っておけばホセは魔王の里。
サマーマンが腐った弁当を食べさせ事なきを得る。
蓮も同様に回復。
大丈夫ですか?
ホセ君も蓮君も初めての経験でしょう。
ええ、危うく魔王の里に行くところだったわ。ホセも大丈夫?
彼女なりに気をつかう。
何とか。生還しました。
ホセったら。
二人は笑いあった。
若い人は良いですね。と呑気な事は言ってられません。このままではいくらアイテムが有っても心もとない。早く巻物を探しましょう。
暗闇をスケルトンの光を頼りに前方へ猛ダッシュ。
良いですか。気づかれなければ襲ってきません。
本当だ。
遠くの方で光が見えた。
何じゃあの奇妙な輝きは?
たぶんあそこに巻物があるに違いありません。
一体、二体、三体とかわしていく。
待て!
逃げに逃げ回った結果、最悪の展開。
集まったモンスターが道を塞ぐ。
マズい! 囲まれた。
どうするの文豪?
どうしようかのう顧問?
文豪は顧問へ丸投げ。
あのー、最初に貰った巻物で何とかできませんか?
忘れてました。ホセ君光をこちらへ。
集まったモンスターは全部で十二匹。
一匹でも大変なのに一ダースである。
巨大蝙蝠が五匹。
ダークウルフが三匹
吸血男が二匹
餓鬼が二匹
興奮状態。
合図を待っているのか仲間同士で牽制しあっている。
急いで! 顧問。
えっと、そうか分かったぞ!
文豪君! サマーマン!
二人に巻物の端と端を加えさせる。
うん? 何が起きた?
二人は戸惑う。
合体。
お主は?
あなたは?
文豪は温かさに包まれた。
暑いのう。
しかし懐かしい。
私は……
どうしたの二人は?
大丈夫。巻物の通りなら合体技ピラミッドの第一段階。心配いりません。
暑い! 暑い!
体が! 体が!
二人は合体に成功した。
身長が三メートルに達し、強靭な肉体を手に入れる事に成功。知能も大幅にアップし動きも俊敏になった。
文豪マン? の完成。
三人は後ろに下がりバックアップに回る。
逃げ惑う巨大蝙蝠。
一掻き。
五匹が一瞬にして消滅。
文豪マンは動きを止める。
どうしたの二人とも?
マズい消費エネルギーが酷い。体力の回復が必要だ!
急いでホセが腐った弁当を渡す。
復活。
今度は発散で残りを消滅させる。
勝利。
第一ポイントへ。
続く
アイテム
パイナップル 手榴弾のこと 破壊力抜群の武器 主に道具係が使用
腐った弁当 体力回復アイテム 瀕死の状態で使うと効果倍増
でがらし茶 毒素を取り除く
万能薬 ありとあらゆるものに効果がある