表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/37

イーストポールの夜

武器屋


いらっしゃい。安いよ。

ああ、主人。このゴールドソードの手入れを頼む!


ええと、どれどれ。うーん、ゴールド?

慎重に頼む。大事なものじゃから。


お客さん。この金メッキは高いんで?

金メッキ?

ええ、間違いありません。誰かの形見か何かで?


おやじ! これのどこが金メッキだと言うんだ。嘘を言うでない!


だって、ほら簡単に取れるし剥がれる。

何だと!


文豪は凍り付く。後ろでは同様に顧問が凍り付く。


これは泉の女神から与えられたもの。本物ではないのか?

ええ、残念ながら。金メッキです。


お主、さては魔王の僕。叩き切ってやる!

お助け!


顧問が間に入り刀を振るう。


見事に両刀とも折れてしまう。


儂のゴールドソードが!


一杯食わされましたね。行きますよ文豪君。


ちょっと待ってくれ! 主人。これを交換してくれ。一番高いのとは言わん。最新の刀と変えてくれればいい。


お客さん。無茶言わないでください。こっちも商売なんですから買わないなら出て行きな! 田舎者!


何を!


時間がありません次に行きますよ。


質屋


まさか? 顧問?

顧問の様子がおかしい。


蓮君。身に着けている物をすべて外してください。


顧問。それはいかん! 考え直してくれ!


私…… 嫌です。先生。しかもこんなところで。どこか静かなところで二人っきりの時でないと嫌!

ダメだ! 今すぐ脱ぐんだ!


嫌!

早くしたまえ!


助けて文豪!

儂が成敗してやる!


呆然とするホセ。


お客さん! 店前でふざけちゃあ困ります。用がないなら出て行ってください。


あー、待ってください。ほら早く蓮君。マハラジャから貰った貴金属を渡して。

仕方ないなー。 ほらこれで全部よ。


ネックレス、指輪、計三点で十万ゲイン。


後で返してよ!


分かってます。一週間以内であれば取り戻せますから安心してください。


よし次に行きます。


二時間かけ必要な装備を買いそろえる。


道具袋も満杯。


最新のシルバーソードと銀の着物を購入。


出撃の準備が整う。


イーストポールへ。


歩いて一時間。


重いのー。

我慢! 我慢!


お主の役目であろうに。

私はか弱いお姫様なんだから当然でしょう!


初耳じゃ。

ほら、文句ばっかり言ってないで遅れるわよ。


皮肉なことに道具袋はぎっしりで重さも十キロを超える。もちろん自分の荷物や装備に剣がプラスされ相当な重さになっている。


ふふふ 

能天気にスキップ。


ハアハア フウ!

体力の限界?


しかしなぜこんなところへ? 歩きで行くこともないじゃろ。


文豪さん。何言ってるんですか! イーストポールにこそ我らの目的があるんですから。ついでに異世界ポストもあるそうですから。


サンチャゴよ、日が沈んできた。明日でよくないか?

それが駄目なんです。夜に行われるんです。それに明日の午後にはノースエンドに向かう予定です。


大変な旅になってきた。


おーい!

先頭の顧問が手を振る。


イーストポールの看板がでかでかと掛っていた。


ありました。異世界ポスト。

赤いポストの横に青く塗られた箱が置いてあった。


しかし誰も居ませんね。

ホセ君。ここは忘れられた街なのさ。


静かに役目を終え眠っているってところだろう。話によると昔は銀が良くとれ、栄えたそうだが今となっては廃坑。時代の流れかな。


ではこのシルバーソードは?

ああ、それはねウエストエンドで取れるのさ。


急ぎましょう。暗くなってきました。

久しぶりにサマーマンが口を開く。


そうだった。ではホセ君青い方のポストに入れてくれ。


投函。


これでおばーさんとの三つ目の約束を果たす。


ミッション

コンプリート!


自分も書いてみようかな。

私も!

儂は夏に!


急いでください。あと十分で出発しますよ。


投函。


誰に何のために。果たして意味があるのか。届くのか。疑問は尽きない。


三キロ過ぎ。

 

日が落ちかけている。

よし暗くなるまでには辿り着かねば。


辺りは街灯もなく人が住んでいる様子もない。

家どころか建物さえ見当たらない。


外れの外れ。


道路も舗装されておらず昨晩降った雨によってところどころ水たまりを作る。


どんどん暗くなっていく。


暗くなるにつれまた、深くなるにつれここが本当にセンターポールの隣なのかと思えてくる。


森が広がっている。


着きましたよ。


目印は骸骨。


白く輝くスケルトンの線。


ここからが森の入り口。スタートライン。


さあ行きますよ。

                         続く




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ