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シカせんべいっておいしいの?

文豪たちは森に来ていた。


ばあさんとの約束を果たすためとは言え、えらいものを引き受けてしまった。


まったくちゃっかりしているのう。

ええ、侮れないわ。


まあいいじゃないか。ご馳走のお礼にさ。

でも、顧問も時間がって嘆いていたじゃないですか。

そりゃあ君たちと違ってミッションの失敗は即魔王の里だ。ぞっとするよ。


ガサガサ


森の陰からモンスターが現れた。


ヘンとグレ。


儂に任せておけ!

文豪は刀を振る。


グググ……

剣が急に重くなりバランスを崩す。


顧問とサマーマンの連続発散。


ヘンとグレは目を光らせた。


発散が跳ね返される。


ヤバイ! こ奴らは無敵じゃ!

そんな事……

蓮が前に出る。


あなた達は何者なの?

我らは迷子。ここを通さぬ!


ちょっと待ってよ。お姉さんたちはおばーさんの頼みで薬草を取りに行ってるの。

だからここを通してね?


ダメだ!


あんたはもう! 彼女はどうなの?

お姉さん。ごめんなさい。


仕方ないわね。これでどう?


蓮はばあさんの家にあったチョコを取り出し投げる。


モンスターは戦意を失った。


蓮とホセはレベル6になった。


薬草、薬草っと。


踏んでるよ文豪!

もう、早くどいてよ!


薬草をゲットした。


一ヶ月分には足りないわね。よし奥まで行きましょう。


草をかき分け奥へ。


小鹿の剥製が現れた。


こ奴はモンスターか? 保護動物か?

試してみましょう。


顧問は両刀攻撃。


当たるも手ごたえがない。効いてないらしい。


小鹿は糞攻撃。大量の糞をまき散らす。


臭い! 臭い! 

文豪さん! これ。

せんべいを渡す。


小鹿は寄ってきた。

お腹が減っていたのか五枚も食べ、律儀にさっきの糞に砂をかけ駆けていく。


顧問がレベルアップした。


いやー、危なかったですね。

うん、ホセ君。ナイスだ。


またあのおばーさんのおやつが役に立ったわね。

うむ。しかしこのせんべいは薄くていかん。

文豪! 

大丈夫じゃ。まだこんなにたくさんある。食いきれるかの方が心配じゃ。


森の奥にやってきた。


おう、薬草がこんなに。顧問よ。これでいいじゃろうか?

そうですね。では戻りましょう。


ねえ、ちょっとまって。泉があるわ。

おおこれは丁度いい。一杯。


文豪は完全回復した。知能がアップした。


皆、文豪に倣い水を飲む。


蓮とホセはレベルが7になった。


ばあさんが持たせてくれた水筒に満杯まで入れる。


文豪の知能が開花した?


文豪!


文豪は躊躇せず刀を泉に投げ入れた。


文豪君何を?

ほら顧問もやるのじゃ!


顧問の双剣を泉へ。


文豪! 

見ておれ、そのうち女神さまが現れるじゃろ。


十分が経った。

更に十分が経過した。


待ちくたびれたメンバーは立ち去ろうとしたが突如泉からそれは美しい美しい女性が現れた。

女神さま降臨。


おい。この刀を投げ捨てたのはお前だな?

そうじゃ。如何にも儂じゃ!


よろしい。正直者にはこれ与えよう。

女神が手にしたのは黄金に輝く剣であった。


次の者参れ!

ははあ!


この双剣を落としたのはお前だな?

まったくその通りでございます。


受け取るがよい。

同じく光り輝いていた。


文豪に続き顧問も双剣を頂戴する。


冒険者よ強き心を持て!

女神はそう言い残し泉へ帰っていった。


世にも不思議な現象で文豪と顧問の攻撃力が格段に上がった。


よしみんな戻ろう。今回ばかりは文豪の手柄。見直したぞ。


待て!

モンスターが現れた。


聖域を冒すものは許さぬ!

森の精霊とこの水守が成敗する!


ははは。森の精霊? 何をハッタリ抜かす!

文豪気をつけて。

このゴールデンソードでいちころじゃ。


水守は攻撃をかわし発散。


ワータースプレッド!


ぶぶぶ…… ダメじゃ近づけん。


サマーマンが盾で水を跳ね返す。


しかしサマーマンが堪えられない。


うん?


声が漏れる。

笑っているようだ。


森の精霊がサマーマンの動きを封じている。


マズい! 堪えきれないようだ。みんな退却!


どうしましょう。顧問?

ホセ君と文豪で惹きつけてくれ。


二人は同時に左と右へ駆け出した。


目には見えない精霊が慌てたのか盾が機能しだした。


よし今だ!

顧問は黄金に輝く双剣を振るう。


水守が構えるもサマーマンが気になって疎かになる。


行け!


見事に水守を切り刻んだ。


サマーマンがレベルアップ。


森の精霊は逃げ惑う。


厄介だ。よし虫よ、突撃せよ!


服の中で気持ちよさそうに寝ていたティンを無理矢理起こし戦わせる。


逃げ惑う精霊。

追いかける妖精。


まあ、似たようなものと言う事で送り出した文豪の判断が裏目に出る。


あー疲れた。なんとか始末したわ。あれは何だったの?


この森の妖精。そうですよね顧問?

ああ、ホセ君の言う通り。助かったよ。妖精さん。


ふん、儂の虫もようやく役に立ったか。


あら、この子は?

紹介はまだじゃったな。妖精のティンじゃ。


ティンは凍り付く。


どうした。虫よ。


森の妖精……


何か不都合でもありますか?

ゲインを見てみなさいよ。


おうどれどれ。だいぶ貯まったかのう。

うん? どこにも見当たらないが誰か取ったか? 蓮?


冗談言わないで!


ではサンチャゴか?

文豪さん。それは無いよう。管理は任せてますが。


まさかサマーマン。いや顧問。

二人は睨んで否定の意志を示す。


良かった。まだ大丈夫ね。全く私になんてことさせるの!


ティンは言った。


森の精霊はモンスターではない。


水守は操られていたので仕方がありません。しかし精霊は森の守り神。決して手を出してはならない存在。始末するなどもっての外。最悪強制的に魔王の里へ送られるところだったのよ。


しかし、儂らは無事じゃ。虫の考えすぎじゃ。


そんな事…… だってゲインが無いでしょ? これは罰で全額没収。


いい皆。特に文豪。少しでもモンスター以外の生き物を倒せば罰金になります。

あなた方は今ゲインがありません。ゲインがマイナスになれば即魔王の里。慎重に行動してください。


そう言うと服の中へ。


ティンの忠告を受け、文豪たちはなるべく戦わない戦法をとる。


走れ!


こういう時に限ってモンスターが出現する。


小鹿の剥製が現れた。


おいどうする?

念のため逃げましょう。


小鹿の剥製が糞をする。


マズいぞ。つい剣を振りたくなってしまったわ。


蓮がせんべいをばら撒く。


逃走する。


急ぎましょう。このままでは生きた心地がしない。

まあ、でも顧問。自分達は不死身ですよ。ははは。

この世界ではだろ。しかしいつ送られるか。全く…… 君は呑気だなあ。文豪君に似てきたようだ。


小鹿の剥製が三頭現れた。


蓮が大量にせんべいを投下する。


逃走。


よしもう間もなく。


おばあさんの家が見えた。


小鹿の剥製が団体で現れた。


蓮がせんべいを撒く。


何とか振り切る。


もうせんべいが無いわ!


子連れのシカが道を横切った。

どうやらばあさんの畑を荒らした帰りらしい。


もう我慢できん! お仕置き!

待って文豪! 完全に野生のシカじゃない。


そんな事知るか! いつまでもコソコソしていては武士の名折れじゃ。

もう、滅茶苦茶なんだから! あなたは文豪でしょう。武士はいません!


そうです。文豪君今は堪えるんです。


ならぬ!


まずい。文豪が切れちゃった。お願い誰か!


文豪は今にも切りかかろうと構えている。


ぐぶ!


文豪は意識を失った。


サマーマンが首に一撃。


ごめんなさい。


文豪は遠のく意識の中でその言葉の真意を探った。

 

                        続く


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