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第85話 魔王城

勇者がこちらの大陸に来て、文明度の違いに気付くと厄介なことになりそうなので旧マシア王国の更地にした土地に城を建てている。なので勇者が旧教皇領を抜ける前に、その城へと移動。勇者視点、魔王が支配する大陸に行ったらすぐに魔王が出てきたことになるけど、まあ冒険したがっていたわけじゃないし別に良いだろ。


あとどうせなら魔王RPもしたかったので、美人な奴隷2人を連れて来ました。ピエールの剣の師匠に当たる、アンヌとエヴァです。いつぞや拾った双子姉妹が、今では帝国でトップクラスの剣士2人になっているし、幼い頃から痛めつけていたので回復力が尋常じゃない。


普段は魔素爆弾に耐える謎金属を使用した耐久力のある鎧を着ているけど、今はボロ布に加えて、鉄球のような足枷を付けている。こうしないとピエールが勝てないから仕方ない。ピエールも毎年強くはなっているけど、まだ双子の弱い方のエヴァにすら勝てないからなあ。


最後の打ち合わせも終わって、特注した玉座で頬杖をついて待っていたら勇者ご一行が入城。結局、ずっと4人パーティーだったな。対面すると勇者の身体の大きさが異常だし、元の世界でも英雄とかそういう存在なのかなと思う。勇者本人とピエール以外は一般人に毛が生えた程度なので、さっさと退場して貰おう。


「貴様が多くの人を殺し、平和を破壊した魔王だなぁあああ!?」


勇者が挨拶して来たので、挨拶代わりに魔砲を放つ。魔素爆弾が生み出すエネルギーを、反射することが出来る金属板を組み合わせ、魔素爆弾が生み出す莫大なエネルギーを一方向に向かって撃つ。標的は、勇者のパーティーメンバーの一般人2名。勇者とピエールが庇えないよう、アンヌとエヴァを仕掛けさせて、その後ろから魔砲を撃つ俺はたぶん最高に魔王してると思う。


「行け、最高傑作共」


一瞬にしてパーティーメンバーの2人が消え去り、怒りを露わにする勇者とピエール。なお仕掛けさせたアンヌとエヴァに剣で押されてます。え、弱い。


あ、でも勇者の方は莫大な魔力が生み出す魔力の鎧のせいでアンヌの剣が通ってないわ。何だあのチート。純粋に剣技を磨きまくったアンヌが可哀想。そしてピエールの方は、エヴァがちょっと足枷に気を取られた隙を突いて肩から袈裟斬りにする。


血が大量に出て地面にうつ伏せになるエヴァだけど、この程度で死ぬわけがないのに若干ピエールが取り乱した。アホかあいつ。勇者に感付かれたらどうするつもりだ。


一方で勇者は、相変わらずアンヌの猛攻に押されているので後押ししてあげよう。アンヌの後ろから、もう一度魔砲をぶっ放し、アンヌを巻き添えにする。これに気付いたアンヌは大袈裟に避け、尻餅をついた。なお避けなくてもアンヌは耐え切れる模様。


肝心の魔砲は、勇者の魔力鎧にかき消される。自身の魔力鎧が魔砲に対しても有効な鎧ということに気付いた勇者は、尻餅をついたアンヌに剣を突き付け、立ち去るよう要求。うん、とりあえず立ち去り要求には従っておいて。


アンヌはエヴァを引き連れ、足早に離れる。その後、俺と勇者が戦い始めるわけだけど、威力を上げた2回目の魔砲が直撃した時に勇者自身が後方に吹き飛ばされて壁へ叩きつけられる。ガードを貫通したようだし、一都市を壊滅させるほどの魔素爆弾のエネルギーが直撃したら、無傷とは行かないのか。案外大したことないチートかもな。


押され始める勇者に対して、ピエールは2人の力を合わせて魔法を使うことを提案。それに勇者が頷き、ピエールが空中に魔法陣を描く間、勇者はピエールを守るよう立ちはだかる。……魔法を使用する際に魔法陣を使うのは、この世界では一般的ではないから、俺に何を使うのか覚られたくないのだろう。


あの勇者の膨大な魔力を利用して俺を殺す方法は、幾つかあるけど古臭い魔法陣を使う魔法だと何をするのか分からないな。完成した魔法陣に、勇者とピエールが魔力を込め始めるので魔砲で妨害しようとするも勇者の魔法で迎撃される。


……ん、ピエールから合図があった。プラン36か。勇者の魔力を根こそぎ吸い取るっぽいから、今ならナイフの投擲でも殺せるな。タイミングを見計らってピエールに向かって毒を塗った剣を投げると、勇者が庇う。読み通り。


地面に倒れ伏す勇者がピエールに「行けえ!」と叫んで、ピエールはそれに応えるよう、勇者のありったけの魔力が込められた魔法陣を起動し、巨大な氷を作っていく。一応、抵抗のために最大威力の魔砲を撃つけど何の意味もないな。どんどん押されて、とてつもない大きさの氷の壁が眼前に迫って来た。


氷漬けか。これはたぶん死なないというか、ピエールが死なない魔法を選択したな。天文学的な量の魔力が込められているから、どんなに時間が経ってもこの氷は溶けないだろう。物理的に、俺を封印することにピエールは成功した。……殺す手段が見つけられない無能ではないし、最初からこうするつもりだったのだろう。


お、透き通った氷だからこの後の展開も見れるな。毒が回った勇者を助けようと駆け寄ったピエールは、回復薬っぽい液体を飲ませる。しかし回復薬っぽい液体を飲ませた直後に、勇者は力尽きてしまう。そりゃ猛毒中の猛毒が身体を駆け巡って死にかけている中、強力な毒を飲まされたら俺でも死ぬわ。最後まで上手い演技を貫き通したピエールは、勇者に刺さっている剣を踏みつけ、氷漬けになっている俺に対して頭を下げる。


これにてピエールは勇者を殺し、魔王を封印した存在になった。実績はこれで十分だし、ある程度の武力があることは見せてくれた。ディール帝国は次代も安泰だろう。皇帝としての生活は15年も過ごせて満足したし、この氷が溶けるまでの間、一眠りしようか。

次回最終回です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! ……何だろう、ひどい茶番劇を見た様な気がした。w [気になる点] この茶番劇で、世界管理システムや神々を騙せるのかねぇ? そして……え? 「次回最終回」?…
[一言] めちゃ好きです、できたらもっと見たいなって気持ちも、、、
[良い点] もうちょっとつづくんじゃしてもいいのんよ?
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