第82話 五カ年計画
大陸を無事に統一した後、別大陸への侵攻は見合わせて内政に力を入れる。大陸統一後、まずは第一次五カ年計画を発表。計画の内容は農作物の改良による食糧生産増産、インフラ整備、軽工業の発展、地下資源の大規模調査など考えられること全てを計画に盛り込んだ。実行出来るかは知らん。そこを考えるのは俺の仕事じゃないです。
言うだけならタダだし、大量虐殺を行ったとはいえ、大陸全土で1億人は存在していたから9000万人分のマンパワーが残っている。1億人もいたら、1000万人を殺害したとか誤差だよ誤差。残りの9000万人が足を引っ張らない存在になっただけで、1000万人が死んだ価値はある。
……皇帝になった。良い女が嫁になった。毎日、贅を尽くした料理を食べることが出来るし、耐久力が尋常じゃなくなったので、眠っている時の暗殺に怯えることもなくなり、快眠出来るようになった。「今日は気分が乗らないから祝日」と言っても誰も反対しないし、急にゴロゴロしたり、お手製のボードゲームやTRPGで遊んでも良い。
こうなってくると、あとは子や孫に良い生活を送って欲しいとしか思わなくなる。五カ年計画×2を計画してやれと言うだけで、ぐうたら惰性を貪る生活、10年もやったら飽きるだろうという俺の予想。そこから別大陸への侵攻を開始すれば、勇者召喚のインターバルはクリアしているし、俺を対象とした勇者が召喚されるんじゃない?
元奴隷の公爵や伯爵の宴会や小銃での狩りに行ったり、ピエールの成長を見守ったり、鉄道を敷設している奴隷達に「はよやれや」とパワハラしたり、嫁達やメイドにセクハラすること早5年。あっさりとディール公爵領を中心に、東西南北に鉄道が敷設され、魔導列車が走るようになる。技術革新が凄まじい。
超小型の魔素爆弾を新設した海軍の船の動力として使い始めたし、魔法技術が万能過ぎてイマイチ電気を上手く扱えない。一応、超小型の魔素爆弾を動力にした発電所は建設したけど、電力を使用する用途が現状存在しないという。
鉄道網が出来たけど、圧倒的に増えた輸送量に追い付いていないため、次の計画ではぐるっと大陸外周部に線路を敷設すると共に、現在ディール公爵領から4方向に延びる線路を8方向に増やす。日本の高度経済成長期のように、インフラ整備するだけで景気が回るとかある意味最高の状態だな。
ちなみにこの5年で、ピエールの耐久力はそれなりに伸びた。しかし未だにリンデさんが拳骨をすると泣きわめくので痛みは感じている模様。ピエールの弟や妹達も出来たわけだけど、後継者はピエールで確定している。これはこの5年の間に、新たな継承法を制定したからだ。
分割相続とかいうカルリング帝国の負の遺産をそのまま引き継ぐわけには絶対にいかないので、長子相続にしようとしたのだが、リンデさんの実家のシュルト家が待ったをかけて「後継者指名制度」を提案した。この後継者指名制度はその名の通り、家長が次の家長を順位付けして決めておくというもの。
新たな後継者が誕生する度に継承順位第一位を変えても良いし、何もなくても家長が存命時なら好きに順位を弄れる。家長が死んだ時、初めて順位が確定し、継承順位第一位が次の家長になるということだな。こちらの方が都合が良いので、こちらを採用して継承法として公布、施行する。
ちなみにこの継承法は、上の順位の者が順番に、相続される財産の9割を取るというものになっている。継承順位第一位は90%、第二位は9%、第三位は0.9%という超格差。だけど元々長男が100%相続する長子相続と、財産の割り振り的にはそんなに変わらない気がする。
この法が制定された直後、シュルト公爵は次男のサヴェージさんを第一位に指名。リンデさんの兄なので面識があるというか、一度戦った仲だな。長男が無能なら、次男を指名出来るこの制度は非常に便利。その内、内乱の火種にもなりそうだけど、長子相続でも絶対に跡継ぎ争いが無いとは言えないのでどっちもどっちだ。
第一次五カ年計画が無事に成功したので、第二次五カ年計画を発表。第一次と銘打っていた以上、第二次があるのは確定していた。内容は鉄道網の構築と、肥料と品種改良による更なる食糧増産。軽工業へのベルトコンベア導入。魔導自動車の開発と大量生産など。
基本的には第一次五カ年の延長線上みたいな感じ。どうせ大きな方針転換とかしても効果出ないだろうし、そもそもが暇潰し目的なのでやる意味がそんなにない。とりあえずやってる感を出しておけば国民は騙せるし付いてくる。一応、ちらほら成果はあるしな。特に魔導列車は人と物の輸送を格段に楽にしたから、これからも重宝されるだろう。
この5年間、特に飢饉も起きず、地震や異常気象による被災もなかった。そのお蔭か、支持率は脅威の99%超えを5年間維持しているし、去年に至っては100%だった。明らかに異常な数値なので、まだまだ畏怖の感情は残っているのだろう。ピエールが成長するまで、間違いなくこの畏怖は残っていると確信出来たので、あと少しの余生、存分に楽しんでおこうか。




