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第76話 侵攻

教皇軍が完全に撤退し、大聖戦に参加した国々では次々と内ゲバが始まる。何ならうちでも起こった。王の権力を下げようとする派閥が出来たからな。まあヴァーグナーの元封臣がリーダーだったし、そのリーダーに死か転封かを迫ったら無事に収まったけど。


軍を興すという行為は基本的に多額の金を使うし、それで何の成果も得られないと国が傾く。今回の場合、一切略奪が出来なかっただろうし、奴隷兵を得て僅かにプラスになったディール王国ですら起こったんだから、負けたレナート帝国やマシア王国ではほぼ確実に内戦が起きる。何ならマシア王は戦死して、跡継ぎ争いも同時発生だから泥沼化しているだろう。


もちろん、平常通りならそこまで国の深刻な問題にはならないんだけど……エストアニ王国はかなり酷いようで、宮廷ではパルパル教信者が暗躍していることもあってか暗殺の情報が絶えない。そこにうちの軍が進軍してきているという情報が入ったため、内ゲバの方は一時休戦しているけど……こうなってくると、内応してくれる派閥も出て来そうだな。


カルリング王国はもはやジェレミアス公爵の軍にフルボッコされる程度の軍力しかなかったので、カルリング公爵領に侵攻してみると大した抵抗もされずに城塞が陥落する。カルリング王国の中核的な公爵領であり、民兵は結構な数が集まったらしいけど、鎧袖一触だった。小銃や大砲、上級奴隷の自爆特攻に内応してきた人達もいたから完全に虐殺である。


王都陥落により、カルリング王国はこの後徹底抗戦をするか降伏するかの二択になったわけだけど、僅か9歳の王が降伏を宣言。今まで表に出て来なかったのは、周囲の貴族に押さえつけられていたからか。とりあえず降伏を聞き入れ、カルリング王国の解体を行う。


まず内応に応じなかった人物や既に反乱を起こしている伯爵、公爵を相手に領土の没収を命じ、反乱の鎮圧命令を内応に応じた伯爵、公爵に行わせる。無事に鎮圧して没収予定だったカルリング王国の半分の領土を部下に分け与えたら、今度は内応してきた人の領土を没収する。この順番を間違えると、再度戦火の渦に巻き込まれて元カルリング王国領が大きく疲弊してしまう。


もちろん内応に応じた人達の多くはふざけるなと反乱を起こすが、既に周囲は俺の元奴隷の封臣に囲まれているために即座に鎮圧される。逆に即座に領土の明け渡しをした公爵や伯爵には、それと同じ規模の別の土地を与えた。こういう飴と鞭は重要。そもそも主君の危機に対して即座に裏切るような輩とか、大きな領土を任せられるわけないだろ。


あとカルリング王国の9歳の王は、話した感じ結構使えそうなので支配が完全に行き届いていない上テレンス公爵領に送り込んだ。ボルグハルト王国相手のための防衛線を構築中だし、あそこは港町があるので将来的には大きくなる。


その中でも、ボルグハルト王国に接している伯爵領の伯爵として送り込んだ。将来的に俺に対して報復するかは分からないけど、ボルグハルト王国相手に内通するメリットもそんなにない現状、真面目に再起を図るんじゃないかな。後ろのディスモア公爵領の公爵にはコルネリアを据えたし、ディール公爵領までボルグハルト王国軍は届かないはず。


……最初はクラウス公爵領の公爵にしようかとも思ったけど、こっちは俺が開発して、将来的にはリンデさんに任せる予定。一応、家名が入っている地域とも言えなくはないので、側室よりは正妻に渡す方が後腐れはない。


最後にリンデさんの実家であるシュルト公国を従属させて、激しい抵抗を続けるエストアニ公爵領に戦力を集中させる。教皇に売られたので、カルリング王国のようにあっさりと折れるかなと思ったら、頑強な抵抗を続けているから困る。これは国民性の違いなのかな。


こちらに派遣した戦力は一個師団だけとはいえ、死に体の国が7000人近い軍の猛攻を浴びても陥落しないのはエストアニ王国の全地域から強制徴兵を行っているからだ。あとはこちらが内応させようとして、攻撃の手を緩めていた期間に兵の集中が行われてしまったようで、エストアニ王国への攻勢は早まったなという感想しか出て来ない。もう少し内ゲバさせておけば良かった。


少なくともカルリング王国の解体と再構築、シュルト公国との交渉期間中、何百発何千発と大砲の砲弾を撃ち込まれたのに降伏しないのは凄い。この期間だけで半年近いから、それだけこの中核的な公爵領というのを失陥したくないのだろう。


恐らくかき集められた農民兵というか民兵は、10万人強。それがもう死体の山となって至る所で城壁の補強に使われている。この城塞を包囲するには一個師団だと兵数が足りないし、だからこそ保っていた感じ。


まあでも元カルリング王国領の平定に使い走らされていた軍が合流し、14000人の規模となったので包囲を開始。また、最近になって開発された毒ガス弾を使用していくと、日に日に抵抗が弱まって来たので軍が一気に城塞内部へと雪崩れ込む。


それに続いて俺も城塞に入ると、至る所ですすり泣くような声やこちらの兵と交戦する普通の女性の姿が目に入る。今まで何の訓練もしてなかった一般人すら、弓を持って矢を引いていたんだからそれだけ国を失いたくなかったのだろう。エストアニ王国の歴史は、それなりに長い。


半年間も砲弾の雨に晒され続けた結果、城塞内に収容された民間人含む40万人の内11万人が死亡、14万人が重症を負っていた。残った人々も毒ガスと飢えに苦しみ、痩せ細った人しかいなかった。ああ、毒ガスがちゃんとトドメになっていたなこれは。民兵が一斉に抗戦意思を失っていたし、死にはしない程度に苦しむ毒ガスはしっかりと効いていたみたいだ。


発狂して包丁をブンブン振り回す女性に、発砲する兵士。戦争でこういうことはよくあることなので、上級奴隷や中級奴隷なら動揺すらしない。やがて城塞内で聞こえる騒乱は収まって良き、最終的には全員が眠っているかのように静かになった。いや全員永眠させたわけじゃないけど、結構な人数は抵抗したし、今後も国を亡ぼす時はこういうのが続くかな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 周辺国はディールから逃げたクヌート信者多いやろから抵抗も激しいやろなあ
[一言] 自国の民がまだ幸福な分、ヒトラーよりはまだマシかなぁ笑 かの国家は優生学を聖書として精神疾患持ちや能力の低い人間を差別し子どもを産めないような手術を強制したり普通に殺害も行なっていたようなの…
[一言] 死者数でまた女神様に怒られそう。 あと人の心が無いように見える政策ではいつか背後から刺されないのかな。
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