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第64話 教義

うちの諜報員からの報告で、マシア王国がエストアニ王国で親マシア王国派の王子を王にしようとしていると報告が入る。この諜報員、情報の入手量が他の諜報員より多いのは良いけど、大抵の場合潜伏先の国にバレるのがなあ。直近では完璧な老婆に変装してもバレていたらしいし、何がダメなんだろ。


マシア王国については、教皇領が近いだけあって国民全員がクヌート教。教会勢力が幅を利かせているらしく、宗教関係者は納税先が王ではなく教皇らしい。完全に力関係は教皇>マシア王だ。


そこにノイズが入らないかなあと、パルパル教の強化を行う。現在パルパル教狂信者が寛容なことを「何をしても良い」と都合の良いように解釈しているので、現パルパル教教皇かつ教祖の俺から禁止事項を通達。


……宗教は、常識を教える側面もあるから適当過ぎると駄目になる例だな。とりあえず殺人と窃盗と破壊の3つは禁止して、領内の治安が悪化しないようにする。教皇が全戒律を守ってないのを突っ込んだらダメ。何回王都の目玉になるはずの闘技場が実験で破壊されたことか。


詐欺は財産の窃盗、強姦は相手の破壊ということで、改めて線引きを行っていく。これに対してはそんなに不満の声も出ないので、良識のある国民は多かった模様。まあ俺より悪い人間はこの世界に居ないみたいだし、不安視する必要はなかったか。


……戦争で逐一略奪をするだけで、他にやったヤベー事って通貨偽造からの経済破壊と飢饉を引き起こしたことぐらいだよな?略奪の方はそうしないとまず兵站が持たないし、俺が引き起こしたカルリング帝国の飢饉でも40万人が死んだだけなのにそれで世界一の悪人になるのは納得いかない。別世界だけど、スターリンや毛沢東、ヒトラーやポルポトと比べれば全然マシだろ。


あとパルパル教の教義の追加で、この宗教の教義を知った段階でパルパル教の教徒であることを定義づける。これで今日からお前もパルパル教信者だ。他の宗教は掛け持ちに五月蠅いし、クヌート教に至っては禁止されているから、そこを突こう。


まあ実際、教義の内容を知っていたらその段階で教徒で良いだろ。これから先、武力の衝突だけではなく宗教での衝突も多そうだから信徒を増やしやすいように宗教の改造を施していくのは必須だ。認識しただけで教徒と定義づけられたから、今のパルパル教は結構な感染力はあるはずだけど、まだまだ改良はしていく必要がある。


ミラー公爵領の獲得から数か月。反乱が収まり元奴隷の配下達にそれぞれ男爵領を与えて行く。中間管理職として、一番大変なのは男爵だと思う。基本的には村長、町長という立場なんだけど、現地人を上手く支配出来ないとその後が大変だ。


余所者がトップに据えられる以上、町民や村民達は元奴隷の男爵が気に入らない存在になるだろう。そんな中、町民や村民と仲良くやっていけるだけのコミュ力がある奴なんて早々いないので、大半は武力での制圧をすることになる。


……だからまあ、不死身の奴隷の中で特に抜きんでた活躍をした奴をどんどん男爵にしていくしかない。こいつらなら、毒殺や不意討ちが効かないからな。耐久力がもう尋常ではないので、ナイフを突き刺そうとしたら逆にナイフが折れるレベル。ちゃんとした鍛冶屋で作られた剣や刀なら傷は入るだろうけど、切り裂くのはかなり難しい。


また、この奴隷達は漏れなく全員パルパル教信者です。ちゃんと布教活動をするように言ってあるし、定期的に確認しに行くことは伝えてあるからちゃんと布教してくれるはず。戦争時には農民兵を集める役割もあるし、そうでなくても徴税しないといけないから奴隷から解放された彼らはやることが多い。


奴隷から解放されることが目的と化している奴隷達だけど、解放されてもブラック男爵にしかなれない時点で色々と可哀想だな。しかし今のところ、この元奴隷達からの反乱は起きてないし、ちゃんと統治してくれているから問題はない。


元奴隷の中でも有能なライトやグラミリアンは伯爵になっているし、元奴隷の男爵が増えたことでその取り纏めをするようにもなった。……こいつらが反乱を起こしたら厄介だけど、反乱起こした時のメリットよりもデメリットの方が大きそうだし実行に踏み切る勇気はないだろ。


そうこうしているうちに、エストアニ王国で第一王子の軍と第二王子の軍が衝突する。場所はエストアニ公爵領の南、メルヴィル公爵領だな。ここはアノン王国と国境を接しており、エストアニ公爵領の隣ということで人口も農作物の収穫量も多い。


第一王子の所領でもあったから、そこに第二王子が攻め込んだのだろう。地震からの復興もまだまだのようなのに、動ける第二王子はマシア王国からの支援を受けてそうだな?正確な国の大きさがイマイチ把握できていないから、マシア王国に拡張されるのは嫌なんだが、今から軍を送ってもエストアニ公爵領で足止め食らうのがなあ。


まだどちらが勝つとも分からないし、諜報員からの情報待ちになるか。最悪第二王子の方が勝ったら、爆殺するよう指示を出しておこうかな。まだエストアニ王は健在なわけだし、跡継ぎ両方亡くなる方が俺としては嬉しい。どうせ他国のセキュリティなんてないに等しいんだから、渡しておいた爆弾や毒薬を活かして欲しいかな。

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― 新着の感想 ―
「パル?」 「パルパル。」 「パッ!?パルパール!!」 「パール。」
俺、パルパル教の信者になったのか
[一言] ふと気づいた。 今話を読んだ俺、今日からパルパル教の信者じゃん。
2021/07/13 19:45 退会済み
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