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第49話 開発

レナート帝国の第三皇子を捕らえて開発中のディール伯爵領に戻ると、雁首揃えて詐欺師達が縛られ吊り下げられていた。新税として、国が国民を労働力として扱えるようになったけど、問題は当然多発した。偽装、手抜き、着服、妨害……。まあ、考えられる限りの悪行はされているので、それらの対策として国家維持部隊という組織を作る。


こいつらのお仕事は、人々が不正をしていないか見守ることです。不正があった場合は、即座にそいつを捕らえて奴隷にするのもお仕事。この存在のお蔭で、奴隷が増える増える。人権フリーな奴隷は働かないならそれこそ食事抜きとかにも出来るので、半強制的に働かせることが出来ます。可能なら、全国民を奴隷にしたいわ。


そしてその部隊を管理するのに、嘘を言うと光るアーティファクトを使用している。毎日彼らはこのアーティファクトの前で「私は今日も不正をしませんでした」と言う必要があるので、そう簡単に不正は出来ない。


で、今縛られているのは案の定アーティファクトが光ったから捕らえられたアホ達だね。まともな知能があるから高い給料払って雇ったのに、数か月で組織が腐るとか悲しくなるよ。しかも彼らは、些細なミスを温情で見逃したとかちょっと休憩時間が長かったとかではなく、意図的に組織を腐らせた奴らなので改心しなければ殺します。


特にアーティファクトを使う側の人間が不正をしたのは許されないよ。というかアーティファクトを使う側の人間を、俺がチェックしないとでも思っていたのか?ぶっちゃけ一度やらかした人間を、再度雇用するのは凄く不安だけど、再雇用しないとまともな人材がいない悲劇。


とりあえずアーティファクトを掲げて、1人ずつ尋ねる。


「これからは、不正をせずに国に尽くすと誓えますか?」

「はい。不正は二度としないと誓います!」


これで光ったら、容赦なく発砲をする。出来立てほやほやの拳銃で更生の余地がない者の頭を撃ち抜くと、血が蛇口から出るみたいに噴き出すから結構衝撃的な光景だろう。残念ながら、まだ頭を貫通する威力はなかった。現段階ではちょっと、実戦投入は微妙だな。


なお、一度光って処刑を実行した後は全員が心の奥底から改心した模様。あ、この国に二度目のチャンスはないから次からは即刻処刑します。汚れ仕事は、領主自ら行います。これからの不正の率は、下がっていくことを期待しておこう。


この国家維持部隊のお蔭で、城壁の増築はかなり進んだようで、王都はたぶん数万単位の軍でも落とせない構造にはなっている。どんどん人も集めているから、最悪民兵だけでも守れるね。そもそもそんな状況になった時点で外交的には負けなんだけど、そこを気にする国民はそんなにいない。今のところは、国の運営がかなり上手く行っているんじゃないかな。


この新税により、封臣達からは今年の収入が半減するのかと心配をされたけど、検地のお蔭で今まで6~7割程度の税しか徴税出来ていなかったことが分かったので、今年から納められる年貢の量自体は1.5倍です。でもそれが半減になって、0.75倍になるから国民達にとって新税の存在は大きい。


……実質1.5倍の増税なのに、お得感だけで誤魔化せているのは笑える。労働力を得られるお蔭で国としての生産力は上がったし、余剰の財力で奴隷を買い漁るのも、奴隷の供給が少ないから限界が来ている。なのでまあ、残りの余剰資金は研究活動に全振りだな。銃はもっと改良して大量に作って、もうすぐ来る戦乱の時期に活躍して貰おう。


あとは、原子爆弾みたいなものを作りたい。魔法や魔力という地球とは別次元のエネルギーがあるんだから、それを活かして核分裂爆弾みたいなものは作れないかな。可能なら都市の1つや2つ、壊滅させる手段が欲しい。それを集めて、敵国の都市を人質みたいに扱いたい。


知らない人のために解説を挟むと……核分裂爆弾の仕組みはまず、ウランやプルトニウムなどの原子核に中性子をぶつけると、幾つかの核分裂性物質と幾つかの中性子が飛び出す。この時にエネルギーが発生するし、この中性子が更に他の原子核にぶつかるから、連鎖的に核分裂が起きて爆発的なエネルギーを生み出すことが出来る。これを、魔力とかで模倣出来ないかな。


広島ではウランを、長崎ではプルトニウムを原子核として使う、使い分けの実験をアメリカがしていたのはわりと有名。とりあえずはまあ、連鎖が起きそうな魔力の実験を繰り返すしかないかな。


小さいながらも、国になったことによるメリットは大きい。エストアニ王国軍の撃退が終われば、内政と略奪の両輪を回してどんどん国を大きくしていこう。


……問題はそのエストアニ王国軍が、エストア公爵領にてアニエス公爵とヨアヒム伯爵の軍を粉砕していることだ。ボルグハルト王国軍に負けたり、カルリング帝国軍に勝ったりと、連戦続きなのによくやるよ。


というかエストアニ王国軍は普通に1万を超える数で攻めて来たし、傭兵も雇ってるなこれ。ジェレミアス公爵の援軍は望み薄だから、単独で何とかしないといけない。簡単に仮想敵の兵数が増えるから、傭兵は頼りになる存在であるのと同時に、厄介な存在でもある。……とりあえず、うちでも傭兵団は募集するか。

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― 新着の感想 ―
[一言] メリケンは下種の極み正義。これ豆な。 そんなもんだからベトナム帰還兵の事を思いながら”パリは燃えているか”を脳内に流せばいつ何時でも愉悦に浸れる。
[良い点] 今話もありがとうございます! ……う~ん、これぞ、ザ・恐怖国家wwww 俺、いつの間に地球の20世紀半ば辺りの物語を読んでたっけなぁ? [気になる点] そろそろパルマーはヒトラーやスター…
[一言] やっぱすげえぜアーティファクト!
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