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第45話 拒絶

毎週のように教会へ行って積立金をしているが、その度に性悪女神との交信はしていた。罵倒するついでに、女神から特性に関わることや神の世界の情報を引き摺り出していたわけだけど、今日になって様子が変わった。


『このサービスは終了しています』


俺が何度女神に対して言葉を投げかけても、罵倒や賞賛を繰り返しても、返答は全てこれだ。あまりにも唐突だったし、先週も元気に俺のことを罵倒していたのに何でだろう?


先週の交信では確か……。


『……あなたが引き起こしたカルリング帝国の大規模飢饉で、何人の命が失われたと思ってるの?』

(帝国の総人口と人口密度。俺が買い漁った食料の量と今年の収穫量。後は昨年の貯蔵量とかを考えると……飢え死にしたのは30万人ぐらいか?)

『40万9361人。これが昨日までの、あなたが引き起こした経済破壊で殺した人数よ』

(なんだ。まだ40万人じゃないか。カルリング帝国全体の総人口、2000万人近いからまだ2%だな)

『9361人を端数にするなあ!』


あの性悪女神が珍しく、カルリング帝国の死者数を教えてくれるという役に立つことをしていたな。ちなみにこれだけの人を殺しても女神が直接この世界に介入するわけにはいかないので別に天罰とかはないです。でも交信出来なくなったから、これから何らかのアクションが起きるのか、はたまた女神がこの世界を見捨てたのか……。


ぶっちゃけ、40万人も殺していたら9361人とか端数にしかならないと思うの。あと別に俺が直接殺したわけじゃないし。あくまで俺がやったことは、食料の買い漁りと経済の破壊。それだけだ。直接殺していない以上、人を殺した罪悪感というのは毛ほども感じない。


都市部に住む人間ほど餓死者は多そうだし、2%が飢え死にしたと聞いてもそんなもんかとしか思えない。1人殺せば殺人者、100万人殺せば英雄とも言うし、ここまで来たら目指すは八桁ですよ。


ただまあ、これから女神という情報リソースがないのはちょっと辛い。何だかんだ言って、色々と口を滑らせてくれたからな。特性の上限設定とか、特性取得のための経験値とか、全部システムで機械的に行われていることを知った時にはガッツポーズだったし、ちょくちょく普通なら知ることが出来ないような情報は入って来ていた。


俯瞰的な視点を持つ存在でもあったし、交信出来なくなるのは寂しい……こともないわ。結局最後の最後まで女神らしい手助けは何一つなかったし、失っても惜しくはない存在だった。


また交信できるようになるかもしれないし、それまでは放置で良いや。今日も教会勢力にお布施を払い、お金じゃなくて食料を下さいという神父を無視し、領内の様子を見て回る。


経済崩壊が起きてからも、うちの領内では飢饉が起こることはなく、むしろ炊き出しが毎日行われているからか、食料は溢れているような状態。教会勢力が食料を欲しがったのは、単純に通貨の価値がなくなっているからだ。別に食料を本当に欲しがっているわけじゃない。


少なくとも、飢えで死んでいる人はいないだろう。毎日大規模な炊き出しをして、パンを持たせて帰らせているんだから死んでたら困る。


……自国が他国より裕福になろうとしたら、手段は二つある。一つ目は自国を裕福にすること。そしてもう一つは、他国を自国より貧しくさせること。他国を貧しくさせる手段というのは、戦争以外にも色々とあるものだ。


都市部の人間や傭兵団といった存在が、食料を隠している農村を襲い食料を略奪しているという情報も入っている。最低限自分の食い扶持だけは残していた賢い農村部の村民も、等しく飢饉を味わうことになるだろう。そうなれば、畑を耕すための馬や牛に手をかけることになる。


田畑を耕すための動物を殺せば、必然的に耕す深さが浅くなって来年以降の収穫量が減る。何という素晴らしきサイクルかな。そういえば、田畑を深く耕すための道具はそろそろ開発しても良いな。情報の流出の心配は薄れたし、人の出入りもかなり減った。来年と再来年の収穫の時期を考えても、今がベストだ。


年齢も今年で14歳になり、成人まであと1年となった。ということはリンデさんがここに来てから1年が経過したということで……あの頃はトリオレ伯爵領をゲットして、複数領持ちの伯爵になったばかりだったな。それが1年でディール公爵になって、帝国全域の経済破壊をしたと考えるとかなり順調だな。


エストア公爵領はエストアニ王国内で再分割した結果、アニエス君がエストア公爵領を構成する伯爵領の内の2つを支配することになった。なのでまあ、エストア公爵になる日は結構近い。エストア公爵領は5つの伯爵領で構成されているので、エストア公爵になるために必要な伯爵領は3つで良い。


つまりは戦争で1つ伯爵領を切り取って、エストア公爵になるために必要なお金を払えばエストア公爵になれる。エストア公爵になったら、すぐにエストア公爵領にいる他の封臣達を支配下におけるだろうし、そのタイミングで俺が宣戦布告するわけだな。


これは思っていたよりも、回収が早そうだ。エストアニ王国ではまだ経済破壊活動を行ってないし、エストアニ王国には善人寄りの人間が多いっぽいし、飢饉だったエストア公爵領は食料援助で持ち直しそうなのもグッド。あとで収穫に行くから、それまでに太らせておいて欲しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公安心して、君を死ぬか落ちるかしかない 積んだ状態に設定して転生させたのは性悪女神だ すべて…ではないにせよ大本の罪は女神にある [気になる点] 主人公が反逆起こされないといいなあ…っ…
[気になる点] きっと、女神は自力で贄を供えてほしかったんだね……。 可哀想な眼髪様!(入ると痛い)
[一言] 外来種を放流して原生の在来種が駆逐されるとか、結局全部女神のせいなんだよなぁ…。 けしかけたのもお前だろ?っていう。
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