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第40話 錯誤

エストアニ王国へ略奪を仕掛けるに当たって、情報収集をするために密偵達を送り込むけどエストアニ王国の軍事力がイマイチ分からない。ボルグハルト王国に負けていたから弱いというイメージが先行していたけど、下手したら総兵力2万はあるとかカルリング帝国に喧嘩売るより辛そう。


しかしまあ、ここ以外に喧嘩を売れるところがない以上、行くしかないだろう。戦争経済を採用している以上、戦争を止めたら窒息すると言い聞かせて軍備を拡張する。実際は、別に戦争しなくても領土がそれなりに豊かなので問題ない模様。となりのクラウス公爵領やポワチエ公爵領の方が豊かだけどな。


というか直前まで戦争をバンバンやっていた公爵領にしては破壊された城塞も少ないので修繕の方も特に滞りなく行われている。そうして先日、ヴァーグナーとアルフレート相手に、共闘を持ち掛けるために送った書簡の返答は全く同じだった。


「「お前が一番に仕掛けるなら乗るわ」」


……要するに、俺が潰れ役を引き受けるのならエストアニ王国への略奪に乗るわということだ。ならば仕方ない。俺が一番に仕掛けよう。当然、潰れ役になるつもりはないが、俺が一番に仕掛けたらヴァーグナーもアルフレートも軍を出すという約束を得たので、このことは大々的にカルリング帝国内で発表する。


そしてうちの奴隷達が掲げる旗を、全てヴァーグナーが使っている旗に取り換える。名乗る際は全員、ヴァーグナー軍を名乗るように徹底して指導し、グラ公爵領へ仕掛けた。

挿絵(By みてみん)


まあ一番に仕掛けろとは言っても、その方法や進行方向ついては特に指示が無かったし、俺が攻め入ったら1週間後には攻めるという確約をヴァーグナーから貰ったなら、それを利用しない手はない。あ、アルフレートの方は警戒して確約まではしてくれませんでした。口約束止まり。でもこっちも約束は守るんじゃないかな。


もちろん、グラ公爵領を支配する公爵とは戦闘することになったけど、1000人の不死隊が壁になっている間に500人の常備軍の方で散々に村々を襲い、略奪を繰り返す。俺達は無敵の聖君ヴァーグナーの軍だぞヒャッハー。溜め込んでいた財や、村娘達の捕縛は慣れて来たのもあって、かなり捗りました。


なお当然ヴァーグナーの方から文句が飛んでくるけど、お前はちゃんと1週間後に侵攻しろよと返事をして、4日目ぐらいで一度撤退をする。これ以上滞在すると、エストアニ王国の常備軍がやってくるから仕方ない。そして約束の期日に、ヴァーグナーは俺の名前を騙ってミラー公爵領へ突っ込んだ。やってること変わらなくて笑った。


まあ俺と違うところは、既に出動して警戒態勢だったエストアニ王国の常備軍にヴァーグナーの略奪軍が捕まったことで、結構激しく殺し合ったみたい。双方の軍に1000人以上の死傷者とか、お互いに殺気が凄い。恐らくヴァーグナーの軍規模は5000ぐらいだから、エストアニ王国の常備軍もそれぐらいかな。


そんな中、ボルグハルト王国がエストアニ王国に宣戦布告。あ、話が違う。宣戦事由はアルフレートの嫁6号が持つグラ公爵領の請求権の行使。あいつ嫁の請求権を利用して支配領域を広げるつもりか。いやまあ支配領域を広げる1つの手段ではあるんだけど……中々にえげつないことしてるな。


こうなると、エストアニ王国はボルグハルト王国との戦争に集中しないといけなくなるので常備軍はそちらに移動。ミラー公爵の軍が残るわけだけど、それをヴァーグナーの軍と共闘してすり潰す。俺がグラ公爵領に侵攻してから、ここまで僅か2週間という。


「ミラー公爵の軍の捕縛、終わったみたいよ。

……全員奴隷にするつもり?」

「いや、ミラー公爵に売り返す。このままだと武器や防具も丸々持って行かれることになるから、流石に金要求したら払うだろ」


リンデさんは引き続き奴隷の教育の方をしているので、今回はコルネリアが従軍しているわけだけど元傭兵団の副団長だったから降伏した敵軍の捕縛とかは手慣れている。兄のハンスはもっと手慣れている。……ハンスに関しては、その内伯爵にするだろうな。領土の拡張を続けていったら、流石に手が回らない伯爵領も出て来るし、そうなった時に親族に有能な奴がいるのはありがたい。


結局エストアニ王国軍を引き付ける役はアルフレートになったわけだけど、あいつ絶対にこの会戦でグラ公爵領まで分捕るつもりだな。まあその分、俺とヴァーグナーは略奪しまくったわけだけど。互いに『聖君』と『敬虔』の特性を持っているのに、ミラー公爵領全域が火の海に包まれたのは流石に酷過ぎる。こうなってくると、ミラー公爵領に攻め入って分捕るのは利益出るかな。


そもそも、請求権がないのが辛い。公爵領全域の請求権を得ようと思ったら、教会に凄まじい額のお金を積まないといけないし、それこそ請求権を持っている人を嫁に迎えるのは選択肢としてありだ。でもそういう請求権を持っているほど、婚活では人気だし、幼い頃から相手が決まっているというね。


カルリング帝国内部での戦争は第一皇子が死んでから増えたような気がするし、皇帝の軍はジェレミアス公爵のお蔭で結構なダメージを負っている。現状、俺はカルリング帝国内に対して宣戦出来ない。それならちょっと、隣の公爵領を他国へ売ろうか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公がやりたい放題なの大好き [一言] 応援してます頑張ってください
[良い点] 今話もありがとうございます! ……おお、略図とは言え、地図が! これで想像が捗る! そして…… >俺達は無敵の聖君ヴァーグナーの軍だぞヒャッハー。溜め込んでいた財や、村娘達の捕縛は慣…
[良い点] 長男の軍勢騙って略奪するの草 真似した長男が被害受けてるのも最高
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