表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/95

第38話 訓練

新入り奴隷のアンヌちゃんに何が辛かったのか聞いてみると全部と言われた。何か食事の配合とか変わったのかなと思って緑色の液体を飲んでみるけどいつもと変わらないゲロみたいな味の液体だ。まあ回復薬だし仕方ない。ただこれを飲むと耐酸とか耐毒とかのレベルがどんどん上がって行くから、通常の回復薬よりかはお得である。栄養も満点だし。


次にリンデさんに鞭で打ってもらうと、あっという間に骨が見える。うん、こっちはまだ若干痛みを感じるな。そこに回復薬を塗って貰うと、多少染みるけどどんどん傷が塞がっていく。……あれ、そういえばこれ、痛覚軽減の特性が無かったらどれだけ痛いんだろう。


……まあ、痛みでショック死した奴がいないなら大丈夫でしょ。メンタル面は、これからケアしていこうか。とりあえずアンヌに剣を持たせて、妹のエヴァの2人を戦わせてみる。負けたら牢獄3日追加なと言うと、お互いに泣きながら向かい合ったので相当痛かった模様。


そして互いに、化け物染みた回復能力を得たことに驚いている。やっぱり小さい子の方が効果は高かったか。今回捕らえた奴隷の中で、最年少は断トツでアンヌとエヴァだ。幼いながらに綺麗になりそうなことが分かる顔立ちだったから、売ったら高値だっただろうけどアンヌの方は剣の才能もありそうだったので売らなかった。


ついでに言うと、妹の方もそこそこ剣を扱えそうな雰囲気だ。幼いながらに特性で剣術を持っているということは、上限は相当高いということ。良い拾い物したなあ。目が死んでるけど。


「そういえば、塗る方の回復薬ってどんな味なの」

「パルマーさん、猛毒を超える劇薬を飲もうとするのは止めて欲しいですわ」

「いや、ちょっとぐらいなら大丈夫でしょ。

……ぶっふぉ。これ口の中だと焼けるな。

あ、でも喉越しはサイダーみたいで美味しい」

「一般人は10グラム程度で致死量ですわよ?」


塗る方の回復薬は、飲んでも効果があるので飲んでみたら多少は効果があるようで、先ほど鞭で抉り取られた肉の部分はもう粗方修復された。リンデさんにも飲ませようとしたら、笑顔で断られたのでこの姉妹対決で負けた方に飲ませよう。毒らしいけど、耐毒レベルを上げていれば死にはしないでしょ。


5歳児による、傍から見ればお遊戯にも等しい剣での決闘は、姉の方に軍配が上がる。妹に手をだすなと勇ましかった姿は何処へ行った。今は自分から妹を地獄に突き落とす修羅のような性格になったな。


頭を殴られるような形でエヴァの方が気絶していたので、口から塗り薬を投下すると激しく咳き込んで目を覚ました後、気絶した。身体がえらいビクンビクンとしているけど、見た感じ死にそうにないからセーフだな。


ふと、気付けば背中側から剣で斬られていた。斬ったのはアンヌで、脇から剣が突き刺さっている。しかし深くは突き刺さってなかった。うーん、耐久面は向上したのに、非力だからまだ戦場では使えなさそう。


しかし奴隷の首輪がしてあったら普通は主人を攻撃できないというか、攻撃しようとした時点で強烈に苦しくなるから満足に動けないのに、刺すところまで行った精神力は凄いな。


当然、アンヌは取り押さえられて右手と左手を剣で串刺しにされる。反抗心旺盛な子だから、将来的には相当強くなりそう。こちらを睨みつけるアンヌに対して、ポンと頭に右手を乗せる。


そして左手で自分の喉の部分を切り裂き、大量の血をアンヌへと噴出させる。奴隷でも民衆でも、統治する際に一番楽なのは恐怖を与えることだ。その後で、良い所をゆっくりと把握して貰った方が最終的な評価は高くなる。


最初から期待値が高いと、実態を見て落胆し、満足度や評価が下がる恐れがある。しかしながら最初の期待値が最低だと、こうやって下限値を下回って反乱を起こされる時以外は、基本上がり目しかないのだから同じようなことをした時でも満足度や評価は上昇傾向になる。


普段良いことしかしない優等生が一回タバコ吸うだけで評価がガタ落ちするのと、普段タバコを吸っている不良が一回良いことするだけで評価が爆上げするのと同じことです。とりあえずは、この状況を納めるためにめっちゃ震えているアンヌに向かって喋りかける。


「俺はお前を、奴隷を絶対に殺さない。今いる環境が地獄なのは、お前自身が弱いからだ。強くなれば、いずれは奴隷からも解放してやる。だからそれまでは、必死になって耐えろ」


ここでポイントなのは、殺さないとは言っても殺させないとは言わないことです。本当に殺したくなった時は戦場に行かせるし、最前線でこき使います。しかしまあ、強くなった奴隷を実際に解放した例は結構あるから、こういう演説は古参兵ほど効果が高い。


新兵が忠誠心低くても、ぶっちゃけ何も問題ないです。重要なのは化け物染みた耐久力を持つようになった古参奴隷。そちらの士気と忠誠心が高ければそれで良いや。新兵時代に受けた酷い仕打ちは、時間と共に薄れていくものだし、そこまで計算して仕込みをしているから今はこれで問題ないと思える。


あとはまあ、アンヌとエヴァは結構な有望株だからちゃんと教育をしようか。将来的には、部隊を率いる隊長格にはなりそうかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
漏らしてるな確実に。 想像しただけでちびりそうだもん
[良い点] ツンデレダネ! 何をツンして何がデレっとなったかは別として。 [気になる点] 反抗できるだけの正気がいつまで持つかなぁ? [一言] うわぁ、ごしゅじんさますごくやさしいですぅー。
[一言] 主人公が魔王過ぎる。なんだコイツはたまげたなぁ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ