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第22話 邂逅

この世界における騎士とは、貴族が持つ常備軍の中で、明らかに抜きん出て強い高給取りの隊長格、という認識で良い。魔法があるから、本当の意味で一騎当千の活躍をする騎士がいるのは珍しくない。ハンスとかコルネリアとか、アルフレートに雇われた時の戦果を聞くとそれぞれ十数人を殺していて凄いと思った。


こいつら普通に強いわ。この双子に加えて前の戦だけで50人ほどを殺した団長のパーシモが居たし、少数精鋭だから結構な活躍をしていたみたいだけど、ヴァーグナー1人に半壊させられた模様。あいつ1人で戦局がひっくり返るとか聖君マジ聖君。頼むから領地でふんぞり返っていてくれ。


傭兵団と騎士団の違いは、騎士が率いているかいないかの違いぐらいです。後は団員が常備軍かそうじゃないかか。騎士は基本、男爵に任命され、1つ2つ村や街を与えられ、そこを拠点とする。ハンスは元傭兵団の現常備軍を率いて、騎士団として活動する感じだな。非戦時は便利屋みたいなものでもある。


元パーシモ傭兵団を全員抱え込んだけど、これはフェンツ伯爵領の他に、トリオレ伯爵領も持つようになったので常備軍を300人増やしたということなる。常備軍としては、元からいる200人と合わせて500人とちょうど良い規模。奴隷兵700人と合わせて1200人は、明らかに過剰気味の戦力。でも周りの方が強いからこれは仕方ない。


結局ダーヴィトの持っていた3つの伯爵領は、長男が引き継いだディール伯爵領をジェレミアス伯爵が、次男が引き継いだトリオレ伯爵領を俺が、三男が引き継いだエルンスト伯爵領をディール公爵領内で俺の最大のライバルとなったヨアヒム・ハースが占領。あっという間に、ロイター家は歴史から姿を消した。隙を見せたら、あっという間に食われる。これ中世の常識。


伯爵領4つ持ちな上、鉱山持ちで貨幣の鋳造をしているから無尽蔵にお金が湧くジュレミアス伯爵相手は流石にまだ難しい。ということで、次に喧嘩を売る相手はもう伯爵領3つ持ちのヨアヒムしかいないという事実。隣接するクラウス伯爵領を持つヴァーグナーに喧嘩を売る?……無理っしょ。リアル一騎当千な上、公爵の分際で王国を解体するような奴相手は無理っしょ。むしろ攻めて来ないことを祈らないと。


そんなことを考えていたら、とうとうリンデさん到着。ちょうど俺の誕生日前日なので、スケジュール調整は完璧だな。というかもう13歳になるのか。ちょっと日本に居た時の記憶が薄れて来たけど、まあ日本に居た時は孤独な人間で大した人生歩んでなかったし別に良いや。知識が残っていたら問題ない。


久しぶりにリンデさんと対面したわけだけど、前よりも身体が一回り大きくなっていて、これでまだ11歳って鯖読んでないか不安になるレベル。どう見ても14歳~15歳ぐらいなんだけど。そして前回に会った時も思ったけど、まだ11歳なのに胸が大きい。


まあ、頑丈や屈強みたいな身体的な良特性を持っていると早熟で身体が大きくなりやすい傾向にあるから、身体的な良特性の中で最上位クラスの怪力持ちであるリンデさんが早熟なのは分かる。あれ、そう考えると同じく頑丈という身体的な良特性を持っていて子供体形なコルネリアって……。


「あの、パルマー様?そちらの女性は?」

「側室兼騎士のコルネリア。パーシモ傭兵団の副団長だったハンスの妹だな」

「パーシモ傭兵団?

もしかして帝国一臆病な傭兵団の、パーシモ傭兵団ですか?」

「……シュルト公爵領にまでそんな噂が流れてるんだ。

ええそうよ。帝国一臆病な傭兵団、元パーシモ傭兵団副団長ハンスの妹のコルネリアよ」


俺が側室と言った途端に、ちょっと眉をひそめたリンデさんだったけど、コルネリアがパーシモ傭兵団の関係者だと知って新しい玩具を見つけた子供のような表情をしていた。というか契約期間中に戦線離脱をしただけで帝国一の臆病とか言われるのか。一時的なものだろうけどちょっと可愛そう。


リンデさんとコルネリアはお互いに近寄り、挨拶を交わして握手をするけど、どう見てもコルネリア側が思いっきりリンデさんの手をギュッと強く握っている。おい16歳児。相手は11歳児だぞ手加減しろやと思った瞬間、コルネリアを持ち上げて投げるリンデさん。


特性「怪力」持ちに持ち上げられ、全力で投げられたコルネリアさんは、数メートルは先の壁に結構な速度で背中側から打ち付けられ、ゴフっと女の子が出してはいけないような声を出す。はえー、これが修羅場か。


「私のお母様が貴族の側室という立場のせいで色々と辛い目に遭っていたので、私は側室の方を大事にしようと考えていましたが、そちら側に仲良くする気がないならこちらもそれなりの対応をいたしますわよ?

って、あら?」

「それなりのレベルを考えような?コルネリアが頑丈じゃなかったら、下手したら死んでたぞ」

「……パルマー様はあの女の肩を持ちますの?」

「あの女も俺の物だからな。身体的、精神的苦痛を俺以外が与えるのは許さない」

「ちょっとドン引きしますわよその発言」


とりあえずリンデさんの手首を掴んで、止めるように言うとドン引きされた。そしてコルネリアの方を見ると、ちょっと涙目になりながらも立ち上がったのであれで無傷の模様。そりゃ戦場で活躍できるわけだ。頑丈の特性も、怪力ほどではないけど羨ましい。

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― 新着の感想 ―
ああなるほどな。こんな世の中だからみんな漢なわけだ。
[一言] 出来物三兄弟。 他領や主家にしてみれば、食い合ってくれていて幸い。 万一誰か一人を頭領にガッチリスクラム組んだりしたら、周囲からしたら悪夢のようかも?
[良い点] 今話もありがとうございます! おお、修羅場回。w だけど…… [気になる点] >特性「怪力」持ちに持ち上げられ、全力で投げられたコルネリアさんは、数メートルは先の壁に結構な速度で背中側…
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