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第16話 軍拡

今回の戦の情報は、逃げ帰ったダーヴィト軍の一部のせいで周囲に広がってしまい、偽の噂でも打ち消せない程度には俺の異常性が広まってしまった。いや、火薬抱えて特攻する人間爆弾は中世でも倫理的にいかんでしょ。それが最大効率を叩き出すからやったけど、俺の予定ではまだ誤魔化せるはずだったんだよなあ。


まあでもクラスター爆弾やら地雷やら毒兵器はまだ使用していないから、俺的にギリセーフです。結局のところ、神風アタックした人達は死んでないし。……偶発的な実験で試してはいたけど、大爆発に巻き込まれて火だるまになっても死なないならマジで不死隊名乗って良いんじゃない?


情報の伝達が遅い中世、偽の情報を流すだけで正しい情報を打ち消せる、何とかなると思っていたのは甘かったようだ。そして現在ディール公爵領で2つの伯爵領を持つ、ディール公爵に最も近いヨアヒム・ハースは俺を怖がったのか、請求権を得たのにこちらへの宣戦布告をして来ない。向こうから殴ってこないとこちらからの正当化には時間がかかるから、早く殴って来て欲しいけど難しいかな。


今回の戦争によって、増員させた奴隷達は全員に鞭打ちをしていると時間がかかり過ぎるため、今回の戦争によって奴隷の立場から解放され、軍属となった元奴隷達に育成を任せる。活躍すると、本当に奴隷から解放されることを新米奴隷達に示すためでもあるね。これが奴隷達の唯一の希望みたいなものだし。


なお解放されるためには爆弾持って自爆しに行くか大砲の暴発に耐える必要がある模様。その耐久力を得るための訓練では、まずはある程度自傷して貰うことで自己再生特性に対する才能があるかないか区別する必要がある。


そして才能がある人だけ、俺が鞭打ちする形だ。今回購入した奴隷300人の内、才能がありそうなのは53人。こいつらは先輩奴隷達の列に加わって、鞭打ちの的になる。まあ数か月後には、立派に人外ズの仲間入りを果たすんじゃないかな。お手軽不死隊の完成である。


残りの奴隷は、同じく自己再生特性の才能が無かった先輩奴隷や常備軍と共に槍や弓や弩やカタパルトの訓練。大砲は壊れやすいけど、カタパルトはまだ大砲に比べると耐久力があるし、別に威力で大きく劣っているわけでもないので普通に現役です。というかカタパルトは城壁とかに備え付けられているところも多い。こちらが攻める時には、脅威にもなるから対策は必須かな。


さて。ダーヴィトとの戦争に勝ち、ダーヴィトの死体が手元にある状況。これを利用しない手はない。まずはダーヴィトの死体を、隣接することになったダーヴィトの次男、アルトー・ロイターへ返す代わりに金を寄越せと手紙を送る。すると提示した、そこそこの額のお金を貰えたので、もう一度「やっぱりもう少し金をくれ」と手紙を送る。


すると向こうからの返事に少し時間がかかったが、無事にお金が届く。最後に、大金を要求する手紙を送る。当然相手のアルトーはぶち切れ、こちらの使者は斬られた。はい、開戦事由ゲットです。どんな理由があっても、どんな内容であっても、同帝国内の封臣からの使者を殺すのは流石に問題です。


ああ、それにしてもうちの外交官が死んでしまった。悲しいなあ。文字が読めない上、実家がやたらと大きいから扱いに困っていたけど、うちの外交官が死んでしまったのは悲しいなあ。仕方がないからとりあえず、今回の戦争でも無難に俺からの指示をこなしたライトには男爵になって貰って外交官にもなって貰おうかな。


向こう側は、ただ突き返すだけなら、何も問題なかったのに。あ、肉親の死を弔わないのはクヌート教の教義に反するので更に相手の評価を下げることが可能です。真実が伝わったら責められるのはこちら側だけど、教会が真面目に調査することなんてないから言った者勝ちです。


……相手から攻撃された、相手へ送った使者が殺された。相手は父の死体を買い取らなかった。ここら辺を纏めて教会へ報告して、アルトーが支配する伯爵領への正当化を早める。嘘かどうかを確かめることが教会は出来るけど、こちらは嘘を何一つ言ってないから問題ないな。うん。


向こうはまだ領地を引き継いだばかりで、教会勢力に働きかける俺を止めるまで首が回らない状態だろう。あとは寄付しながら請求権が得られるのを待つだけです。鞭打ちしながら、大砲と火薬の生産を進め、破城槌を設計する。領主になって自由に使えるお金は増えたので、軍事に極振りします。


内政?他の領地から金を奪って行けば自然に経済は回る。自領にないなら他領から奪えばいいじゃない。完全にジャイアニズム経済だけど、これが一番効率良いというね。


そもそも情報統制が難しいことを身をもって知ったため、便利な内政道具の開発はある程度領地が大きくなってからです。その前にやってもスパイに盗まれるだけという悲しい事実。


とりあえず賠償金とダーヴィトの次男アルトー君の過払い金のお蔭で、次の戦争までには破城槌を幾つか生産出来そうかな。大砲は……もう少し技術力が上がってから再挑戦だ。威力は高いけど、費用対効果的には微妙な感じ。自爆特攻の確実性が凄いせいで、大砲の活躍の機会は当分先になりそう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 別に、相手は奴隷なんだから 痛みを肩代わりなんてしないで そのまま痛めつけてもよかった でも、主人公はその痛みだけでも肩代わりした 10歳かそこらの子供がそんな地獄に耐えながら 自分たち…
[良い点] 生きるために最良を倫理抜きに選びとる主人公の精神性
[良い点] ウワーナンテコトダー ジッカガデカクテ ジモガヨメナイ デクノボウガ コロサレテシマッター こんな奴でも使いようはあった [一言] 過払い金請求(もっと払え)
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