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異世界流浪の料理人  作者: 開けドア
森でお勉強編
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光の花の根っこを確認



「これ、どこまで掘りゃーいいんだ・・・・」



月達に見まもられながら、男は地面を懸命に掘っていた。

ウサギのツノがあれば楽勝と思っていたのだが、意外にも時間がかかる。

額にはうっすら汗がにじんできた。

筋肉痛が大分マシになったとはいえ、かなりキツイ。


光の花の採取、一つ目の作業。

土ごと掘り起こす方法が、こんなにしんどいとは。

日本全国の農家さんに脱帽だ。

いつもありがとうございます。

いや、残念ながらもうお世話になれない。

ありがとうございました・・・・・が正しいか。



「しかしこれ、食えるのか?」



光の花の根っこは、球根ではなく。

普通の雑草のような根っこでもなく。

なぜか、長芋型。

手元は暗くてわかりづらいが、深緑色。

食えるかどうかはともかく、長芋とくれば折らないように地中深く、慎重に掘り進めなければいけない。

条件反射だ。

なんとか傷つけないようにと、男は奮闘していた。

ちょっとずつ、周りから慎重に。

ちなみに草原は、豊かでやわらかな土壌ではない。

当然、ツノをもってしても地面はなかなか固い。



「そろそろ抜けてほしいよな・・・」



もう50センチほど深く掘りすすめていた。

これ以上の深くなってくると、ツノを持った腕一本だけを穴に入れて掘り進めるのもきつくなる。

すくなくとも肩など体の一部分が入りこめるよう、周りも広く掘らなきゃいけない。

ツノを置き、長芋モドキを慎重にひっぱってみた。



「おっ・・・動いてるな」



ぐらぐらと揺らすこともできた。

もう少しで抜けそうだ。

俄然やる気が出てくる。

ラストスパートだ。

猛然とツノを使った。



「よし・・・・抜けたっ」



やった。

やりきった。

達成感と共に全体を眺める。

70センチほどあるんじゃないかという長芋モドキ。

もちろんその先には深緑色の茎、そして赤い光の花がついている。

地面から抜いても、赤い花は赤いまま、やわらかな光を放っていた。

その後、青、紫、白、黄色と、全ての色の花の根っこも掘り出しにかかる。

最後のほうはコツを掴み、それほど時間がかからなかった。

掘り出したものを地面に全部並べてみる。



「見分けがつかないな・・・・・」



咲誇る光の花がついていなければ、そして花の色がなければ全部一緒。

根っこは全て、深緑色の長芋モドキ。



「深緑・・・ってのが嫌な色だな・・・・」



普通の芋なら、皮や中身が緑に変色したものは食えない。

食えないというより食わない方がいい。

皮だけなら綺麗に取り除けばいいのだが、料理人として扱うのは絶対ダメだ。

イモの緑は危険信号。

毒だ。

随分昔、どこかの給食センターでの食中毒が少しテレビで騒がれた。

衛生管理がしっかりなされているから原因不明とのこと。

しかしすぐにわかったイモの毒。

緑に変色した芋が原因だった。

衛生管理というよりも知識不足。

料理人なら常識範囲。

一視聴者として、マニュアルすらもなかったのかと驚いたものだ。

だから芋のミドリは要注意。

この光の花の長芋モドキも食えないかもしれない。

せっかくの長芋。

非常に残念だ。



「ま、とりあえず一つ目、しゅーりょー・・・」



掘り出した長芋モドキを置いといて、二つ目の方法にかかることにしよう。

男はハンティングナイフを取り出した。


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