表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界流浪の料理人  作者: 開けドア
森でお勉強編
53/169

おかしな森


「やばいな、今日はもう無理かな」



時計は午後4時37分。


男がはじめてウサギ肉を手に入れてから4時間以上経っていた。

収穫はゼロ。

その後はウサギの姿を見ていない。


リスらしきものは結構な数を見ていた。

かなり高い木の上にいたため、あくまで「らしき」レベル。

遠目でも、あの姿かたちならリスでいいだろう。

リスももちろん食べられるが、今の所つかまえる手段がない。

可食部分も少ない。

ウサギ1匹の代わりにリスだけで腹を膨らまそうとすると、7~8匹はいるんじゃなかろうか。

捌く手間を考えると、効率が悪すぎる。

つかまえるのも相当に苦労しそうだ。

どうしても困ったら考えることにしようと見逃すことにしていた。


特筆すべきは虫の存在。

大草原の昼間には全くいなかった虫もちゃんといた。

名前はわからないが、何種類か発見している。

なぜか皆カラフルだった。

天敵にみつからない工夫はないのか?

擬態しなくていいんだろうか?

例えば土を掘り返した時に出てきたミミズは鮮やかな紫。

もうちょっと地味だったら日本のそれにそっくりだった。

おしい。

まっ黄色のカマキリらしきもの。

いかにも強そうだ。

他にも明らかに色がおかしい虫をちょいちょい発見した。

もちろん触れてはいない。

日本のヒルのように血を吸われでもしたらかなわない。

気付いた時は全て、注意深く距離を取った。



「おかしいな・・・・・」



まただ。

また木のつるをみつけた。

別に木のつるがあること自体はおかしい事じゃない。

色々役に立つので、見つけたら確保している。

おかしいのは、同じつるでも木の幹に結ばれているからだ。

男が道しるべにと、括り付けた木のつるだった。

同色系統でも不自然さで目立つようにと蝶々結びにしたもの。



なぜここにある?



男は森の中を深く分け入っているはずだった。

まだ未踏の地をどんどん進んでいるつもりだ。

しかしこの木のつるは、既にその場所を一度通っていることを示していた。

そういう視点で辺りを見回せば、通ったことがあるような気がしてくる。

おかしい。

迷ったのか?

迷うも何も、ゴールを決めずに歩いているのに。



「ちょっと休憩するか」



歩き通しだったから、少しぐらいは休んでもいいだろう。

大木を背にして腰を下ろし、荷物も下ろして水を飲んだ。

まだまだ元気だ、水が旨い。

水の旨さに改めてじーんとする。

やはりいい。

喉が渇いてすぐに水を飲める。

これぞ幸せ。

目を閉じ、しみじみと浸っていると物音が聞こえた。



「ザッ」



あの音は!

すぐにナイフを手に立ち上がった。



ウサギだ。



男が目にしたのは、みるみるこちらに迫ってくるウサギの姿。

・・・・・が2匹。


両肩を並べてというほどではないが、左右からほぼ同じような距離を一気につめてきていた。

なかなかの迫力だ。

そしてやはり普通のウサギより体が大きかった。

あのガタイの突撃を受け止めたら命が危ない。



なんてこった。



男の目が輝いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ