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異世界流浪の料理人  作者: 開けドア
大草原脱出編
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夢じゃない

「暑い・・・・」



うつ伏せで寝ていた男は寝苦しさに寝がえりを打ち、仰向きになった。

明るい陽射しの直撃で覚醒し始める。

全身、汗をびっしょりかいているようだ。



「暑い・・・・・・・・・。

 もう朝か・・・・・・・・・、

 早いな・・・・・・・」



ぶつぶつと独り言を言いつつ目を開ける。

そして男が見たのは。


良く晴れた青空だった。



「・・・・・・は?」



たっぷり凝視した後、男は安心したようにつぶやく。



「ああ夢か」



まだもうちょっと寝れる。

そのことにひどくほっとして目を閉じた。


そのままもう寝ようとするも、暑さがひどい。

夢なのに息苦しくなってきた。

無意識に服を脱ごうとするが、なかなか脱げない。



「めんどくさい・・・・・・」



一瞬だけうっすらと目を開けて、黒のダウンを着込んでいることを確認する。

このくそ暑い中、ご丁寧に上までチャックをあげた完全防備仕様だ。

チャックを半分ほど下げたあたりで今度はスポーツバックに気付く。

肩掛けストラップがダウンの上から斜め掛けになっており、これを外さねばダウンも脱げないだろう。



「あーマジで面倒・・・・・・」



男は仕方なく横向きになって、両手でバッグのショルダーを少しずつ動かそうと試みる。

手の感覚を頼りに目をつむったまま、寝ころんだままモゾモゾ動き、頭の上まで持ってくると手を離した。

寝苦しさが一気に解放される。

ようやくダウンも脱ぐことができたようだ。



よしよし、まだ寝れる・・・・。



なんだか頬にチクチクした妙な感触があるものの、無事にダウンも脱げ満足だった。

頭の上に追いやったスポーツバックを枕替わりにして、ごろんと仰向きになる。

そうして男はまた眠りについた。



「っあー・・・・・、よく寝たなーっ」



数時間後、喉の渇きに耐えかねた男は目を覚ました。

だが微睡みが気持ちよく、なかなか目がちゃんと開こうとしない。

途中暑さで一度起きてしまったが、久々にゆっくりと寝れた気がして満足だった。

大きく伸びをする。



「今何時だ?」



仰向けに寝ころんだまま、時計をはめた腕を目の前に持ってきて、なんとかうすく目をあける。

時計の針は午前10時半のあたりを示していた。



「はぁっ??10時半!!?やべっ、遅刻っ」



目を見開き、慌てて飛び起きた。



寝過ごしたことなどなかったのに!!!

携帯、電話だ電話!



眠気は一気に吹き飛び、スマホを探して枕にしていたスポーツバッグを漁るべく振り向いた。

バッグを引きよせ、ファスナーに手をかけたあたりで目の飛び込んできた異常に気付く。



「え・・・・・・、どこ・・・・・?」



そこは遠くまで見渡せる草原だった。

テレビでしか見たことがないような、大変に立派な大草原。



「・・・・・。」



座ったまま、天井を見あげてみた。

しかしそこには見慣れたアパートの天井はない。

代わりに見えたのは、よく晴れた青空だった。

雲ひとつない青い空。

ついさっき夢でみたような気がする。



「空・・・・・。」



もう一度前を見た。



「草・・・・・。」



やはり目の前に拡がる草原。

ついでに言えば誰もいない。


汗をかいた体には心地よい風があたっていた。



「・・・・・。」



男はポカンとし、そろそろと辺りを見回し。

そのまま動けなくなった。



「・・・・・モンゴル・・・・・?」



草原といえばモンゴル。

モンゴルといえば草原。

料理一筋で生きてきた男にはその程度の発想しかなかった。



「・・・・・なんで草原?・・・・・」


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