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異世界流浪の料理人  作者: 開けドア
大草原脱出編
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イベント決定


数時間後、男は昼寝から目覚めた。

ひとつ伸びをする。

すっきり爽快だ。



やはり昼寝はいい。

疲れがとれた。

これで朝まで大丈夫だろう。



ただいま15時38分。

2時間ほどは寝れたのだろうか。


男は勢いよく半身を起こし、胡坐をかいた。

水が入ったペットボトルを手に取り、一口だけ飲む。

体はもっと水を欲していたけれど、我慢した。


本日確保できた水は、ペットボトル1本分と栄養ドリンクの入っていた瓶に一口程度。

せいぜい500ml超といったところか。

朝は水を確保できたことに浮かれ気にしなかったが、必要量には全く達していなかった。

しかもこの陽気の中、1日中歩き通している。

体はかなりの水分を欲しているだろう。



やっぱり水は全然足りてない。

山へ急がないと。



気が急いてきた。

ペットボトルをスポーツバッグにしまい、手袋をはめ立ち上がる。

山を目指して歩き始めた。


そのまま、腰を据えた休憩もとらず歩き続ける。

ただし17時を過ぎた頃から時々立ち止まり、時計と西の空はチェックするようにした。

月が昇る所を見たかったのだ。


ココには月が3つある。

昨晩はあまりにも衝撃が大きかった。

ココは地球じゃない。

ひどい話だ。

しかし今や、男はこのひどい話を受け入れている。

現実なんだから仕方がない。

そうなると純粋に興味が勝った。

今日はこの目でしっかり見るのだ。


火星の探索が、冥王星が、などと惑星のニュースは時々耳にしたが、よく知らない。

そもそも興味がなかった。

それでも一般的な惑星の常識なら知っているつもりだ。

少なくとも、月が3つも見える惑星の話なんて聞いたことはない。

ここが見つかっていたら、もっと大騒ぎしていただろう。

空気があって、水が(今のところ朝露だけだが)とれる、人間が普通に歩ける惑星。

「世紀の大発見」などと、メディアが連日のように騒いでいるはずだ。



水金地火木・・・後はなんだったか。



理科で覚えさせられたが、ちょっと最後まで思い出せなかった。

太陽の周りの惑星達。

たぶん、男のいる所はそのどれでもないのだろう。



日本ではなく地球でもなく、太陽系の惑星でもない。

とんでもない所に来たもんだ。

寝てただけだったのに。

だが日本に帰れるその日まで、俺はここで生きていく。



腹を決めた男は、自分なりにこの環境を楽しもうとしていた。



今晩のイベント、月発見。

決定。



月が3つある事について、もっと知りたかった。

30分毎に時計と空をチェックすることに決めた。


もう草を見る事も虫を探すこともせずに歩く。

イベントはイベントとして、距離も稼がねばならない。

夜通し起きているとは言っても、暗くなったら方向がわからない。

確か昨日は22時半過ぎまで、薄暗くてもなんとか前が見えたはず。

そこまで頑張ろう。



だが歩くのに集中していると、時間を忘れそうになるかもしれない。

お月様チェックはちゃんとしたい。

歩いていると、どうしても足元に目線が落ちるし。

さてどうするか。



「・・・・・・・」



チェックし忘れがないように、腕時計のアラームを抜かりなくセットした。


これで完璧だな。


今晩が楽しみだった。


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