探す者
男達がそんな会話をしている間も彼女は誰か探しているのかホールを見渡していた。
その時、さっきオールと話しをしていた受付さんが奥の部屋から受け付け所に現れそのまま受け付け所からホールに出てオールの元に報酬を持って行こうとしていた。
「あっ!」
「えっ!」
その声と共に2人は目が合った。
「あー! 受付さん! 良いところにいた!」
と言いながら彼女は素早く受付さんに近づいた。
「あら… お久しぶりですね… シーナさん」
とちょっとバツの悪そうな表情で答える受付さん
「ねー! アイツ知らない?」
「アイツとは…いったいどなたのことでしょか?」
「あたしが、アイツて言ったら! アイツしかいないでしょ!」
と顔を寄せて話す彼女 それに対して受付さんは…
「……ですよね」
と答えた。
一方…やっとのことで部屋の片づけを済ませたオールは椅子に座って本読みながら受付さんが来るのを待っていた。
そしてその時は訪れた…コンコンと部屋のドアが叩かれた。
「はい どうぞ」
そして部屋のドアが静かに開けられた。
「お待たせしましたオールさん それとごめんなさいです」
「…? なぜ謝るんですか」
「それが…」
受付さんが訳を話そうとしたら後ろから
「おーい オール」
「げっ… なんでお前がここに……」
「なんでって オールに会うために決まってるでしょ!」
「あっ…… ですねぇ……」
「では、私これで 後はお2人で」
と言い残して受付さんは受け付け所へと戻っていった。
それからすぐに彼女はオールに近づくとこう言い出した。
「さあ! 行こうー!」
「どこにだよ」
「そんなの一つしかないでしょ」
「依頼か?」
「そうそう!」
「わるいが断る!」
「ええーー! なんで!?」
「なぜて? 俺はさっき依頼から帰って来たばっかりだからだ」
「どうせ また難易度が低い依頼受けて 依頼場所で木の上に寝床作ってのんびり依頼やってたんでしょ」
「ん…」
「ほら 図星でしょ!」
なにも言い返せないままオールは服の袖をつかまれて部屋の外に引っ張られていった。それから2人で廊下を歩きながら1階のホールへと向かった。
そして階段を下って依頼内容が張り出されている掲示板の前までやってきた。
「さあ~て どの依頼にしようかな~」
とウキウキしながら掲示板を見つめるシーナ
「どうせなら 難易度が高いやつがいいよな!」
「別に どれでもいいだろ……」
「まあまあ そんなこと言うなよ それよりオール」
「ん」
「お前 いつになったら 階級審査受けるんだよ」
「えっ……」
「え、じゃないだろ」
「だって めんどいんだもん…」
とやる気のない声と表情で答えた。
「めんどくさいって」
「階級なんて関係ないだろ 実質」
オールのその言葉にシーナは
「プっ… 確かにそうだなぁ」
と少し笑って答えた
「じゃなきゃ お前は俺と一緒に組んでやったりしないだろ」
「そんなことはないぞ!」
そんな会話をしていたら突然後ろから声をかけられた。
「あのー すみません」
「ん?」
2人で同じ反応をしてから後ろを振り返った。するとそこには2人の小さな冒険者が立っていた。
胸元を見れば冒険者の中でも一番下の階級を表す緑色の石がはめ込まれた階級章をつけていた。冒険者が持っている階級章は黒いプレートの真ん中に階段を表す石が埋め込まれている。
その色は下から順に緑・赤・銅・銀・金・白金・透明の色で表す。ちなみに階級はE〜Sまでのランクで表す。
それとプレートの裏には冒険者の名前と冒険者登録をした場所と年が明記されている。