後ろで静かに弓を弾く
これは…1人の弓使いの話し…
場所はとある森の中、そこにモンスター討伐を行いにやって来た4人の冒険者がいました。
「いたぞー! 」
1人の冒険者がモンスターを見つけ仲間達に知らせます。その声を聞き他の冒険者もその場所に近づきます。そしてそこには彼らが、討伐の依頼を受けた対象のモンスターである地龍が静かに寝ていました。
「デカイな!」
「ホントに私達だけで討伐できるの?」
「大丈夫だって! この地龍はヒゲを落とせば倒せるて! 古書に書いてあったんだよ!」
しかし彼らが討伐しようとしてる地龍の体長は約6メートル以上あるものでしたがその冒険者は寝ている地龍にゆっくりと近づき地龍の顔の前までたどり着くと腰の鞘からゆっくりと剣を抜き。そして勢いよく剣を振り下ろしヒゲに叩きつけましたがその瞬間… 剣はヒゲに弾かれその場で折れてしまいました。
「えっ…!?」
「ヤバくね!」
するとそれまで寝ていた地龍の目が開き冒険者達の方を睨みつけそしてそのまま目の前にいた冒険者に荒い鼻息を吹きかけました。鼻息によりその冒険者は仲間達のところまで吹き飛ばされてしまいました。
そして地龍は寝かせていた身体を起こすと冒険者達に対する威嚇の咆哮を浴びせたのでした。
その咆哮を受けて2人が失神してしまい残りの2人も腰が抜けて動けない状態。しかし、そんなこと御構い無しに地龍はどんどんと距離を詰めてきます。
そして地龍が一番近くに倒れている冒険者の側まで来ると巨大な口を開き冒険者に喰らいつこうとした瞬間…
(ヒュー!)と音と共に1本の矢が地龍の舌を射抜いたのでした。
「……!?」
突然の出来事に驚く2人
しかし、それよりも舌を射抜かれたことで地龍はその場で激しく尻尾を振り回して暴れ始めそうな状態でしたが、また森の中から(ヒュー!)と音が聞こえ。今度は一度に2本の矢が飛んできてそして地龍の弱点であるヒゲを射抜き落としました。
地龍には2本のヒゲが生えていましたが、仮にヒゲを片方だけ落とすことさえできれば地龍を倒すことができます。ただし、それは若い地龍の場合で歳を重ねた地龍場合はヒゲを片方だけ落としてもすぐに再生してしまいます。
今彼らの目の前にいる地龍もかなり歳を重ねているので、仮に彼らがヒゲを切り落としていてもすぐに再生して攻撃されていたことでしょう。
しかし飛んできた矢はヒゲ2本を同時に射抜き落としたので、地龍のヒゲが再生する間も与えずに倒してしまいました。
そしてヒゲを落とされた地龍はその場でピクリとも動かなくなり…やがて腰を抜かしていた2人の冒険者はその場から立ち上がり動かなくなった地龍の前まで近づき動かないことを確認しました。
すると2人の背後から足音が聞こえてきました。2人が後ろを振り返るとそこに迷彩柄の服でフードを被り手には弓を持った人物が立っていました。そして弓を持った人物は2人の方に近づきそのまま2人を通り越して倒れている地龍の顔まで近づき膝を屈ませて何かを確認していました。それから弓の人物は立ち尽くしている2人の方に振り返るとフードを被ったままで、こう言いました。
「なー 手伝ってくれないか?」
「えっ…!?」
「だから 素材取るの 手伝ってくれないか?」
「ああ……はい、わかりました…」
「お前達も 討伐依頼を受けて地龍を狩りに来たんだろ」
「ええー…そうですけど」
「あのー あなた?」
「俺? 依頼を受けた時に組合からお前ら以外にも依頼を受けた冒険者がいたと聞いてないのか」
「そういえば 組合の受け付けの人が私達の前に1人依頼を受けた冒険者がいたと言っていました」
「それが俺…」
「あなたはソロで依頼を受けたんですか」
「あ〜それが何か… 基本的に俺は自由にやりたいから… それで報酬の件だけど俺が半分でいいよな」
「は、はい 倒したのはあなたですから」
それから弓の人物から少し離れたところで冒険者の2人は何やら小声で話し始めた。
「なあ あの人てもしかして」
「ええ 多分」
そう言いながら2人は地龍から素材取りをしている弓の人物をコソコソと見てから話しを再開しました。
「フードを被った弓使いで ソロでやっていて」
「それでいて 胸につけている階級章はBランクのものてことは」
「噂には聞いたことがあったけど 階級は依然としてBランクのままだけど 実力派Aランク以上と言われているソロの弓使いの冒険者」
「その容姿は色白でいつも迷彩柄のフードを被り服の背中には弓矢と梟の羽がデザインされている」
その者の名前は―オール ―凄腕の弓使いである。