Triple Date 1話
深夜があてたチケットを使って、深夜×柚子葉、翔×華、衛×優衣のトリプルデートが実現
※華はChange The Relationに少しだけ出てくる翔の彼女です。
ある日曜日。
深夜と柚子葉は二人で近くにあるショッピングモールでデートしていた。
柚子葉が推薦で大学合格が決まったこともあり、深夜がデートに誘ったのだ。
誘った深夜はまだ受験勉強があるのだが『息抜きも大切』ということと、最近デートしていなかったこともあり、
いい機会だからということでこうして二人でデートを楽しんでいる。
ある程度買いたいものを買った二人がモールの中を歩いているとベンチに見知った顔が座っているのに柚子葉が気づいた。
「ねぇ、深夜。あれ、衛君と優衣ちゃんじゃない?」
「あ?…あぁ、確かにそうっぽいな。ちょっと行ってみるか」
「うん」
二人がベンチに近づくと、衛達も気づいたのか衛が気さくに手を挙げた。
深夜もそれに応えるかのように手を挙げる。
「うっす」
「よぉ。デートか?」
「あぁ。そういう衛達もだろ?」
「まぁな。買い物も済んで帰る前に一息ついてたところ。そっちはもう帰るのか?」
「別に帰ろうと思えば帰れるけど、せっかくだしこの辺をブラブラしてた。そしたら、お前らを見つけたってわけ」
「ふぅ~ん。ま、そろそろ俺らは帰るけど一緒に駅まで行くか?」
「そうするか?どっちにしろ帰るときには駅からバスに乗らないといけないし」
深夜が柚子葉にたずねると、柚子葉はうなずいた。
「そうだね。そろそろ帰ろうか」
「じゃ、そういうことで」
深夜達が承諾すると衛と優衣は立ち上がり四人で駅へと向かう。
前を深夜と衛が、後を柚子葉と優衣が歩く形だ。
各グループで話をしていると、どこかから『カラン、カラン』と鐘の音が聞こえた。
深夜が音が聞こえたほうを向くと、ガラガラクジを行っているスペースがあった。どうやら、そこで今当たりが出たようだ。
「そういや、服とか買ったときにあの券をもらったっけ」
衛は財布の中から、クジの券を取り出した。券には3000円分の券がついていた。
それをきっかけに深夜や柚子葉、優衣も財布から券を取り出した。
四人の合計は、13000円。一回3000円でできるため、一人一回はできる計算だ。
「せっかくだし、引いていこうぜ!」
衛は三人の意見を聞くこともなく、ガラガラクジのスペースへと向かっていく。
三人は顔を見合わせると誰からともなく苦笑いを浮かべると衛の後を追う。
四人はクジのスペースに着くと、まず提示されている景品に目を向ける。
ショッピングモールということもあり、景品は様々なものがある。
電化製品、洗剤やサランラップなどの家庭用品、高級肉など食料品、レジャー施設入場券など・・・。
「おい、どれ狙うよ」
「こんなの狙ったって当たるわけないだろ」
衛にそう聞かれた深夜だったが、答えることもなく係員に3000円分の券を渡してクジをまわす。
二回転ほどして、出てきたのは4等の玉だった。
「ま、こんなもんだろ。次が誰が引く?」
4等の景品である、洗剤を受け取った深夜は三人に声をかけた。
「じゃ、俺が行くわ」
次に引くのは衛だった。
深夜と同じように二回転ほどして出たのは、外れ玉だった。残念賞は定番ともいえるポケットティッシュだ。
衛の次に引いたのは優衣で、優衣も同じようにポケットティッシュだった。
そして、最後に引くことになったのは柚子葉だった。
柚子葉がクジをまわし、出てきたのは銀色の玉、二等の玉だった。
「大当たり~~!!」
係員は手持ち鐘を鳴らしながら大きな声を張り上げるので、近くの人も柚子葉に視線を向ける。
周りの視線に恥ずかしがりながら二等の景品を受け取り、少し離れた所に立っている三人の所へ向かう。
「当たっちゃった…
「二等出すって凄いな」
「たまたまだよ…」
深夜が二等を当てたことに対して賞賛すると柚子葉は恥ずかしそうに照れる。
「ところで、二等の景品はなんだっけ?」
衛は二等の景品が気になるのだろう、中身をたずねてきたので、柚子葉は景品としてもらった封筒の中身を取り出した。
「…遊園地のペアチケットみたい」
「へぇ~、結構いいじゃん。次のデートはそこで決まりだな」
衛が深夜と柚子葉をからかうかのように言い、深夜はチケットの内容が気になるのか、柚子葉からチケットを受取り内容を確認する。
だが、柚子葉は申し訳なさそうに首を振る。
「でも、衛君や優衣ちゃんから券を分けてもらったんだし…」
「気にしないでください。皆同じ条件ですし、それを引いたのは柚子葉さんだから柚子葉さんがもらうものだと思います」
「でも・・・」
優衣は気にしなくてもいいと言うが、柚子葉はそれでも気にかかるようだ。
と、そこに深夜が声をかける。
「気にしなくていいと思うぞ。これ、三組まで無料らしい。なんで俺と柚子、衛と伊藤で分ければいいだろ。ただ、同時に入園しないと行けないっぽいから、一緒に行くことになるけど」
深夜はチケットをピラピラと揺らしながらそう説明すると柚子葉は少し安心した様子でうなずく。
「うん。四人で券を分けたんだから、そうしようよ」
柚子葉が衛と優衣にそう提案すると、二人もうなずく。
が、少しして衛が柚子葉に尋ねる。
「三組ってことは一組余るけど、どうすんの?」
その問いに柚子葉は困惑した様子で深夜に視線を向ける。
視線を受けた深夜は肩をすくめた。
「別にどうもしないでいいんじゃないか?絶対に三組で行けってわけじゃないんだから」
「でも、もったいないじゃんか」
「んなこといったってなぁ…」
「あ、翔と中田を誘おうぜ。一回は優衣を翔に会わせたいと思ってたんだ」
「翔に?なんでまた?」
「別に深い意味は無いけど、彼女ができたこと言ってないからなぁ。いい機会かな、と」
「まぁ、俺は別にいいけど…。柚子はいい?」
深夜が柚子葉にそう尋ねると、柚子葉は笑顔でうなずく。
「私は大丈夫だよ。中田さんともちょっとだけ話したことあるし」
「え?…あ、そうだったな」
柚子葉の言葉に深夜は少し思い出すかのような仕草をする。
そして、直ぐに思い出したのか申し訳なさそうな苦笑いを浮かべた。
中田 華は翔の彼女だ。以前深夜が翔の誕生日プレゼントを華と選んでいるところを柚子葉が目撃した。
その光景を見た柚子葉が傷ついたことを思い出したからだ。
「伊藤は?全然知らない奴と一緒に遊ぶことになるけど」
気を取り直して、深夜は優衣にも尋ねた。
一度も会ったことのない人と遊ぶということになると、負担が大きいだろうと言う配慮だ。
「えっと…何度か衛先輩の話の中で出てきましたし、私も一度会ってみたいと思ってましたから」
「じゃあ、翔も誘うか。いざとなれば、入園した直後にバラバラになってもいいと思うし」
「だな。深夜から翔を誘っといてくれ」
「あぁ。どうせ明日も顔を合わせるから、話しとく」
衛にそう言われると、元々そのつもりだったのだろう深夜はすぐに承諾した。
そして、月曜日。深夜は翔に日曜日のことを伝えた。
その話を聞き乗り気になった翔がすぐに華に確認すると、華も乗り気らしい。
こうして、深夜と柚子葉、衛と優衣、翔と華のトリプルデートが実行されることとなった。




