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完結後番外編  作者: タカ
Promise
17/26

初デート 前編

初デートを行った二人。しかし、なかなか優衣が待ち合わせに来ず・・・

今日は優衣と付き合いだして初めてのデートだ。

今までは俺の家で一緒に生活していた。決して同棲とかそういうものではなくて…その時は本当に同居といった感じだったなぁ。

結局母さんに止められてたから告白は優衣が元の家に戻るっていうのが決まった日に俺からした。

危なく何度か家にいる間に告白したくなったけど、我慢した自分を褒めたい。

好きになった女の風呂上がりとか…本当に勘弁してほしい。どれだけ俺に我慢させれば気が済むんだよっていうほど我慢大会だった。

けど、そんなこともあって今は晴れて恋人同士だ。

で、俺から今日のデートを申し込んだ。付き合いだしてからあんまり話せる機会がなかった。

学年が違うし、俺は俺で、あいつはあいつの友達付き合いだってある。

恋人同士になったからって言って友達と付き合うのは疎かにしたくないし、して欲しくない。

だから、友達との約束があるならそっちを優先するように優衣には言ってあるし、優衣も了解してくれてる。

かと言って、やっぱり好きになった女と会えないのは…やっぱりきついものがあるんで俺が映画を見に行こうって誘った。

幸いあいつも予定が入ってなかったようだからデートになったわけだが…あいつがまだ来ない。

俺だって普段は遅刻癖がついてるけど今日はさすがに遅刻は不味いと思って10分前には待ち合わせした駅前に着いたって言うのに…。

あいつが遅刻って結構な違和感…。遅刻って言ってもまだ5分だけだけど。

ちょっと携帯に電話してみるか。遅刻なら遅刻って連絡ぐらいすればいいのに。


『プルルルル…プルルルル…、ただいま電話に出ることが…』


電話をかけてみたけど…留守電になった。

まぁ、電車とか乗ってるからあいつなら電源切っててもおかしくないな…。もう少し待つか。

とか思ってたら、もう30分も立ってるのに一向に連絡もない。

ヤバい…、本当に心配になってきた。何であいつに関しては俺こんな心配性なんだよ。

どうする…、あいつの家に電話してみるか。いや、でも電車が遅れてるだけかもしれないから無駄な心配をかけるのも…。

でもそれならメールで連絡があるだろうし…。


「あ~も~!!」


クッソ、こういう時にどういう対処したらいいんだよ!

携帯を持ったままもう一度待ち合わせ場所の周りを見渡すと駅の中からドッと人が出て来た。

どうやら今駅に電車が着いたようだ。

皆歩いている中で一人その群集の中から走って出て来た。


「はぁ…はぁ…はぁ…、すいません!遅くなりました」

「遅い!」


優衣が走ってきて謝ってきたが俺はそれを一喝した。

別に遅くなったのが問題ではない。それよりも問題なのは…


「そんなに怒らなくてもいいじゃないですか…」

「遅くなったのは別にいいけど、遅くなるなら連絡ぐらいしろよ」

「え?」


俺の言葉に優衣は不思議そうな顔をしている。

なんだよ、俺の言葉にどこがおかしい部分でもあったか?俺は間違ったことは言ってないとおもうけど。

30分も遅れて何の連絡もないとかどう考えても優衣が悪いはずだ。


「私メール送りましたよ?電車が遅れてるからって…」

「嘘つけ。俺が電話した時お前留守電だったぞ」

「あ、最初は電源切ってたんです。優先座席付近だったので…。その後移動してからメール送りましたよ」

「そんなの届いてないんだけど…。誰か間違えて送ったんじゃないか?」

「え?」


俺の言葉に優衣がカバンの中から携帯を取り出したので俺も後ろに周っててその画面を見る。

そして、優衣の頭を軽く小突く。


「おい…」

「…えへ」

「えへ、じゃねぇよ!送信完了まで確認しとけよ!」

「な…、そこまで言わなくてもいいじゃないですか!送信できたって思って閉じたんです!電車の中だったからすぐに閉じたほうがいいと思って」


優衣の携帯を開くと、『送信に失敗しました』と画面が出ていやがった。

だから、俺の携帯に届くわけがないだよ。送信完了の画面が出るところまで確認すれば再送することだってできたはずだ。


「ったく。だから、言ったじゃないか。俺には届いてないって」

「う…、そんなにしつこく言わなくたっていいじゃないですか!送れたって思ってたんです!」

「だから、それを最後まで確認しろって言ってるんです!」

「私の言い方を真似しなくてもいいじゃないですか!」

「だったら、ちゃんと確認してくれてもいいじゃないですか!」


つい、いつものように優衣と軽く言い合ってしまう。

でもこのやり取りが俺は好きだし、優衣も嫌いではないはずだ。


『クスクスっ』


二人で言い合ってると…笑い声が聞こえる。

周りを見ると駅にいた人が俺達を見て、笑っていた。

急に恥ずかしくなってきた。普段こういうのって二人でいる時にだけしてたから周りに見られるのは慣れてない。


「…行くぞ」


優衣の手を掴んでさっさと歩く。早く、この場を離れたい…。

何も言わないので優衣も恥ずかしいのだろう、後ろを付いて来る。

でも、俺が早足で歩いているので優衣は少し小走りの形になっている。少しして息遣いが荒くなってきたので立ち止まった。


「…早かったか?」

「いえ…大丈夫です」


優衣はそういうが少し息を整えている。

このまま歩くよりかは少し息を整えさせた方がいいだろう。


「あの…」

「ん?」


優衣の近くでボーっと街を見てると隣から小さく呼ぶ声が聞こえた。

顔を向けるとどこか申し訳なさそうに優衣が俺を見ていた。


「どうした…?」

「すみません…」

「何が?」

「遅れてしまって…」

「だから、それはいいんだって。それに、送れたと思ったんだろ?」

「はい」

「なら、次こういうときがあったら最後まで確認しろよ」

「…はい」


俺のいうことに優衣が少し俯いた。

そんなに…きつく責めるつもりはなかったんだけどなぁ。

俺が分かってほしかったことは、これだけだったんだけど。


「あのな…俺は送らなかったことを責めてるんじゃないんだぞ?」


優衣の頭に手を置いて顔は優衣には向けないようにする。

面と向かって言うには…恥ずかしすぎる。


「心配するだろ?」


…何か視線を感じる。

視線の元にはもちろん優衣だ。そして、その意外っていう顔を止めろ。


「…なんだよ」

「心配して…くれたんですか?」

「うるせ、行くぞ」


俺はさっさと歩いて、後ろから優衣が付いてくる形になっている。

小走りで俺の横に付くとさっきまで落ち込んでいた顔はどこにいったのか笑っていやがる。


「先輩、心配してくれてありがとうございます」

「うるせぇ、そんなニヤニヤしやがって。まぁ、調子戻ったようだな」

「本当に心配してくれたんですか?」

「…彼女、だからな」


…うっわ、俺今自分で鳥肌が立った。

自分で恥ずかしくなってくる…。って、なんか隣の優衣が静かなんだが…。

ちょっと顔を見てみると…なんでそんなに顔が真っ赤なんだよ!


「お、おい…。優衣、顔赤いぞ」

「先輩が…そんなこと言うからじゃないですか」

「ほら、行くぞ」

「あ、待ってくださいよ!」


俺は優衣の手を握って目的の場所を目指して歩き、後ろの優衣も文句を言いながらも付いてくる。

軽く文句を言いあいながら…俺達は出鼻をくじかれた形になったけど初デートで街に繰り出した。

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