閑話
すみません
前回の続きを書こうと思ったのですが、別のことで忙しくてかけなかったので、書き溜めていて出しても問題ない部分を投稿してます(次回は続きを上げられるように頑張ります)
次回更新は、19日予定です
望月詩乃という少女は不思議な奴だ。
魔法みたいな超常現象が起こせるわけでもないのに、いつも俺の心を癒してくれる。
普段は俺のことを怠惰で面倒くさがりな奴と言う癖に、決して俺のことを見捨てたり突き放したりしようとしない。本来なら、俺みたいな奴は外にでも放り出されるのがオチなのに、詩乃は愚痴を垂れつつも俺をここに置いてくれる。
温かい笑みを浮かべて寄り添ってきてくれる。
本当に不思議な奴だ。
何というか、太陽のような人間である。
周りを照らし、そこにいるだけで人の心を温かくさせる。
本来俺が住む世界では、そんな奴はあまりいなかった。
長年にわたる魔族との戦争で民はみな憔悴しきり、俯くばかりだった。その民を守るはずの騎士や魔術師たちはその民から資産を奪い取り、戦争が行われているというのに贅沢の限りを尽くしていた。
俺が勇者として仲間たちとともに戦争が終わると、今まで俯いていた民たちは顔を上げるようにはなったが、騎士や魔術師たちの態度は変わらなかった。
どれだけ力があろうと戦争に勝つための道具として奉り崇められていた俺には、それをどうすることもできなかった。
簡単だ。
結局は俺も力があるとはいっても普通の人間で、どうしようもできないことに対して諦観していたのだから。
本当は世界を変えれるほどの力が身に宿っているというのに、俺は民を救うことに対しては諦めていたのだ。
もしかしたら。
詩乃みたいな奴なら、あの世界を変えられるのかもしれないと思う。
世界を照らす太陽みたいなあいつなら、俺がどれだけ手を伸ばしても届かない場所に届けるのではないだろうか。
そこで、ふと気が付く。
自分はそんな戯言を考えてしまう程に、異世界に住む少女に気を許してしまっていることに。
ふざければ、怒ってくれ。
辛いことがあれば、泣いてくれ。
楽しいことがあれば、一緒に笑ってくれ。
そんな優しい詩乃に俺はいつの間にか甘えてしまいたくなるほどに心を開いてしまっている。
そのことが俺はたまらなく情けないと思った。
自分には強大な力がある。
人を支えることができるだけの力がある。
なのに――俺は何気ない言葉、何気ない厚意。
力がなくてもできる、優しいことがこの世にあると知っているはずなのに、今まで自分がやってきたことが恥ずかしい。
そして、やはり甘えきってしまう自分が恥ずかしい。
だからこそ、何かに迷い始めている俺に考えるきっかけを与えてくれる詩乃は不思議な奴なのだ。
でも、太陽みたいなあいつにも影が差す時がある。
奏さんと琴ちゃんと話している際のことだ。
はっきりと笑顔を浮かべているはずなのに、どこか作り物っぽい仮面のような。そして、薄い膜を張って遠慮をしているような感覚。
薄い膜の正体がどうしても気になり――何とかしたい、と思う自分がいた。