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カナ  作者: みなみ
第二章 文鳥
9/16

日常

「ねえ、文太君。結構な頻度で付き合ってもらってるけど、私、勉強の邪魔になってない?」

「なってるよ。」

「やっぱり、なってるんだ!」


 私は今日も文太君と一緒に食堂で勉強していた。


「でも別にどうって事は無いから気にしないで。勉強だけが全てじゃないし。おれは結構、あんたと喋ってるの、楽しいけどね。」

「えっ…」

 楽しいと思ってもらえているのか、となんだか意外に感じた。

「ありがとう、嬉しいかも。」

「アハハハ!」

(あれ!何で笑われた?)

「こうやって、誰かと一緒に勉強するってやった事ないけど、今のところ嫌じゃないし。」

「そうなんだ。文太君、友達いないの?」

「あんたはどうしてそう直球で聞くわけ。」

「ご、ごめん。」


「あんたが居るじゃん。」


 友達、いないんだろうか、やっぱり直球で聞きすぎたかもしれない。

「まあ、作ろうと思っても、難しいんだけど……」

「ご、ごめん……」

「アハハ、同情してくれた?」


 文太君は自嘲するような薄笑いを浮かべた。話はそこで終わって、彼が気を遣ったのか話題を変えてくれた。


「そういや、みんなとはどう?ほぼ毎日会ってるよね。」

「そうだね、ちょっとだけど時間見つけて会いに行ってるよ。」

「へえー頑張るね。」


「一気に4人も友達が増えて楽しいよ。みんなジャンルばらばらだし。セイには美味しいお店教えてもらえるし、木場君とは映画館観に行ったなぁ。あ、セイに教えてもらって見に行ったんだけどみてみて、岡目君のバイト姿。」

「うわ、写メとったの!?うわーー……うわーーーー……なんか変な感じ。」

「みた事ないの?」

「ないよ!興味ないし!う、うあー…にあわねー……。」

「そんな事ないよ、意外とカッコイイよ。」

「アハハ。岡目に言っておく。ていうかおれ達にべったりでさ、大丈夫?」

「ん?何が?」

「……。…付き合ってる人いないの?」

「い、いません!なんでそんな話になるの!」

「あ。やっぱりいないんだ。」

「や、やっぱりって!」

「いや、普通に考えて、彼氏いたら、こんなベッタリ一緒にいるの難しいよね、って話。大丈夫、顔はかわいいんだから安心して。」

 何だろう、棒読み感。褒められたのに嬉しくない。


「……フーン。ね、カナ。」

「は、はい。」

 文太君の声のトーンがちょっと変わった。

「デートしよう。」

「いきなりなんで!?」

「テストの結果がよかったから。はい、これフィールドの小テスト。」

「文太君の所って、答案用紙って返却されるんだー!へー……って、うわ満点だ!」

「暗記得意だから、楽勝楽勝。ね、どう?どっか行かない?」

「ど、どこか…行く位なら……。」

「やったーデート!」

「デート……。」

「やだな、そんなに緊張しないでよ。」

「緊張は、してない、です!ビックリしてるだけです。」

「おかたい~~。若い内にしかできない事って沢山あると思うからさ。色々やっておいた方がいいって。カナ、顔はかわいいんだし。」

「文太君に言われると中身をすごく否定された気分になる!」

 私がいじけると、彼はまた笑った。楽しそうだ。

「アハハ、男受けはしないだろうね。胸ないんだから、もっと儚げでお淑やかな感じが必要なんじゃない。」

「文太君!!!!!!」

「フフフ、怒った。」

「気にしてるのに!!!」

「いいじゃん、脚綺麗なんだから。で、何処行く?」

「こんな状態で行くと思ってるの?」

「思ってる。」


 全く反省の様子が見られない文太君を軽くにらむ。


「ごめん、怒った?つい、楽しくて。カナと、一緒に行きたいです。」

「ぐ……。」


 今日一番の笑顔でにっこりと微笑まれると、怒る気がなくなってしまう。な、何この攻撃……。確信犯だ。


「えっと……。デートって……。」

「映画は木場といってるよね。セイとはご飯いってるでしょ?じゃあ、買い物かな。どう?冬服とか見に行ったりしないの?荷物、持つよ。」

「えっと、じゃあ……。」

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