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カナ  作者: みなみ
第一章 出会い
1/16

プロローグ

 ……。

 ……。


「……もしかして、名前を忘れたの?思い出せる?」


 《ユウキ》だっただろうか。

「……そう。あなたは《ユウキ》。」

「苗字を諸星(おせ)。諸星ユウキって言うの。お願い、忘れないで。」


 -------------------

 担任の親戚が倒れたらしい。飼っていた鳥を担任が預かることになって、子供達にいい経験だからと、教室に持って来た。


「これはカナリアといって、歌が上手な鳥なのよ」


 鳥なんて雀と鳩くらいしか知らなかった自分にとって、紅く燃えるような羽を持った【カナリア】はとても印象的だった。思わず鳥の図鑑を借りたぐらいだ。


 餌換えの当番の時にカナリアと目があった。真っ黒な瞳で、その表情は乏しい。自分を気にも留めず、白い狭い籠の中でご機嫌に歌い出す。餌を換える為に開けた扉を閉めもせず、ぼんやりとカナリアを見つめた。

「お前は翼があっていいね。自由の翼。」

「そんな事ないよ」

 独り言は空中で消える前に、いつの間にか近くにいた女子生徒に拾われてしまった。


「一度人に慣れてしまった鳥って、野生に還したところで、すぐ死んじゃうんだって。だから飛ぶ翼があっても自由じゃないのよ」

「私たちは、テレビもあるしゲームもあるし漫画もある。友達とも遊ぶけどこの子は、飼い主しかいない。」


「自由かな」


 その後、俺は籠から飛び出したわけだが

 自由になったかというと、それは別だった、


 カナリアはどうなったか、誰も覚えていない。

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