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第弐話 談話室

談話室に行くと、姉貴はすでにアルコールを口にしているらしく星咲にセクハラまがいのからみかたをしていた。

星咲と香楠さんを両隣に座らせて、まさに両手に花状態。

姉貴の醜態をみても、香楠さんは笑顔を一つも崩していない。

・・・スゲェ。

星咲は普段、あれだけお姉様お姉様と姉貴から離れないのに、今は心底助けてほしそうな目で僕を見ている。

姉貴・・・酔うとタチ悪いからなぁ。

僕は、星咲の視線をかわしつつ桜さんに話しかけた。

「そういえば、みなさんはお友達なんですよね。学生時代のお友達とかですか?」

「うん?あぁ。ホントは、『仲良し5人組』だったんだけどね」

桜さんの言葉を聴いた瞬間、玖子さんは一瞬、ともすれば普通に見逃してしまうくらい一瞬だけフッと暗い表情をした。

「ある事件があってね。今じゃその子はお墓の下。とても可愛い子でね。ねぇ深夜」

「・・・」

深夜さんは、サングラスのせいで表情はわからないが、無言でうなずいた。

「その一件からバラバラになってたんだけど、最近たまたま玖子と街で会ってね。着心と深夜に連絡を取って久々に集まろうってなったわけさ」

どうしようもない空気が部屋中を包んだ。

そんな話を振ってしまった事に心底後悔する。

星咲にからんでいた姉貴も、急におとなしくなった。

そんな空気を破ったのは、香楠さんだった。

「みなさん。それでは私たちの出会いに乾杯し、その女性に献杯を捧げましょう」

みんな目の前に置いてあるグラスを取り、軽くグラスをあげた。

一旦、香楠さんは奥に入り料理が乗った皿を次々とテーブルに並べだした。

どうやら、ここにはメイドさんやお手伝いさんといった種類の人はいないらしい。

「香楠さん、こんな大きな家で一人じゃ大変じゃないですか?」

僕が言うと、

「香楠はね。自分以外の誰かに何かをやってもらうのがとても苦手なんだよ天堂くん。もっとも、私は例外。あんまり嬉しくない例外だけどね」

と星咲が言った。

星咲がいつもの星咲に戻ってる。

よかったよかった。

「さしほちゃん、さっきまでとしゃべり方がちが〜う。なんかこわ〜い」

「そんな事ないですよお姉様☆」

・・・前言撤回。

だめだこいつら。

それから僕たちは食事をし、大宴会に突入した。

姉貴がどんどんテンションを上げているのに反して、星咲の顔がどんどん憔悴していく。

疲れるだろうなぁ。あのテンションについていくの。

そんなやりとりを見ていると、深夜さんが僕の横に座った。

「女の方が多いなんてある意味ハーレムだな。少年、誰か口説いてみたらいいんじゃないか?玖子なんて意外にすぐ落ちるかもしれねぇ。少年は玖子の好みっぽい顔をしてるからな」

・・・この人本当に科学者なんだろうか?

「そうね。デッサンモデルくらいにはなりそうね。可愛い顔してるし。でも、男としてはどうかしら?」

うわ。

なんか否定された。

普通に否定されるよりショックでかい。

「玖子にフラレたの?じゃあ私様が慰めてあげようか?」

なんだか妙な笑みを浮かべている。

・・・怖いよう。

ってか、フラレたもなにも僕はまだ何も言ってないんですが。

そんなやり取りをしてる間も、着心さんは一人でグラスをかたむけている。

かと思うと、

「すまんが、お先に部屋に戻らせてもらう」

と言って一人で談話室を出て行ってしまった。

僕がその後姿を見ていると、

「気にするな。アイツは結構人見知りでね。俺たちだけでいる時はあんなにおとなしくないんだけどな」

「そうなんですか?」

「おう。しかも甘えん坊」

「そうなんですか!?」

意外な一面。

「天堂くん。てんどうくんてんどうくんてんどうくん!!!」

星咲の声が聞こえた。

見ると、姉貴が酔いつぶれて星咲のももを枕にして寝ていた。

「どうしたらいい??星咲さしほはどうしたらいい天堂くん!!!」

「・・・そのまま一緒に寝ちゃえば?」

「い、いや、それは出来ないよ天堂くん!私は高校生だからね。もっとこう、健全な・・・」

女同士で寝るのに、なにが健全じゃないか小一時間ほど問い詰めてやろうかと思ったが、星咲は思いのほかテンパっていたので助けてやることにした。

「姉貴、起きろよ!」

「うにゃ」

だめだこりゃ。

「私がお部屋にお連れしましょう」

「え?でも・・・」

「私、こう見えても力はある方なんですよ。秋羅さんは、どうぞ皆さんとおくつろぎになっていてください」

そう言って、香楠さんは姉貴に肩を貸した。

「それじゃ、すいませんがお願いします」

香楠さんはニコッと微笑むと、姉貴を連れて談話室を出て行った。

「飲めよ少年」

「あ、ども」

ショットグラスに入った液体を渡された。

見ると深夜さんも桜さんも玖子さんも持っている。

星咲はお酒飲めないのだけど、それでも苦そうな顔をしながらワインを舐めている。

「乾杯☆」

キンッとグラスを合わせ、一気にショットグラスの中身をあおる。

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

なんだこれ!?

喉が焼ける!!??

「はっはっはっは。世界最強の酒だからな。ホラホラ。もっと飲みな」

「ちょ・・・深夜さ・・・ガボッ」

100%無理やり飲まされる。

その様子を見て桜さんたちが笑っていた。

・・・助けろよ。

う〜、頭が回らない。

「天堂くん?大丈夫かい?顔が真っ青だよ??」

星咲の、心配したようなちょっと小馬鹿にしたような声が聞こえた・・・気がした。

グルグルグルグル。

世界が回る〜。

やっべ。

香楠さんに迷惑かけちゃうんじゃねぇ??

・・・そのまま、意識が飛んだ。

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