アルフレイグル
蛇が足を持ったなら
そいつはただの 無駄なもの
足を生やした身体では
もう 木の幹を 這えやしない
ならばと蛇は翼を持った
これならきっと 役に立つ
翼は背中に生えている
これなら幹も 這えるだろう
翼を持った蛇
空飛ぶ鳥も 敵じゃない
足を持った蛇
持ったが故に 地に落ちた
蛇足と蛇翼
どちらも同じ 得るはずでないもの
ある時 蛇翼は気が付いた
自分を見上げる 仲間の目
仲間を見下ろす 自分の目
大きく深い溝がある
ある時 蛇足は気が付いた
自分を見遣る 仲間の目
仲間と比べる 自分の目
冷たく暗い崖がある
だから蛇翼は神に願った
「空飛ぶ翼はもういらない。
これは得るべきものじゃない。
仲間の元へ戻してくれ。」
だから蛇足は神に誓った
「地を行く足はもういらない。
だけど自分は得てしまった。
仲間の元から離れよう。」
また ある時
蛇翼に向かって雷が墜ちた
そうして蛇は 地へ還った
蛇足は遠くへ旅をした
そうして蛇は 空へ昇った
どちらも同じ 蛇のお話
タイトルの「アルフレイグル」という言葉は、ただの造語です。
元々この詩は、別の物語(未公開)の中に登場させるために作ったものなのです。
この詩にはなかなか重要な役割を担わせておりまして(笑)
その物語というのは帝国ものでして。
簡単に言いますと、貴族の少年が渋々 下剋上して皇帝になる、っていうやつなんですが、その少年が、「自分が得たのは望まぬ地位だが、決して投げ出すことはしない。」と、自戒の意を込めて、帝国に古くから伝わる詩のタイトル『アルフレイグル(翼をもった蛇)』をそのまま国名に定めたのです。
詩を書く前に国名を決めてしまったので、こんな無理のある造語になってしまいました(汗)
ちなみに、この物語は完結がまったく見えないので、公開はされないと思います(苦笑)
以上です。お読みくださいまして、誠にありがとうございました!